【インタビュー】10-FEET、TAKUMAが語る極上ギターサウンドの秘訣「魔改造が止まらない」

2025.09.24 12:00

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■いい音と弾きやすいセッティングを確保したら
■気持ちいい顔で沼に入ってもらえるんじゃないかな

──そしてアンプに関しては、コミューンがモディファイしたマーシャルJVM410Hがメインですね。コミューンのことを知ったきっかけは?

TAKUMA:僕がコミューンを知ったのは、難波(章浩 / Hi-STANDARD / NAMBA69)さんなんですよ。難波さんの当時のバンドのギタリストAKIRAくんが、コミューンがモディファイしたアンプを使っていて。恵比寿LIQUIDROOMに難波さんのライブを観に行ったんですけど、そのとき「STAY GOLD」が始まって、「飛び入りで弾きなよ」って難波さんが言ってくれたんですね。で、AKIRAくんの機材を借りて弾いたら、“なんじゃ、この音は!”と。それがコミューンがモディファイしたマーシャルだったんです。

──オリジナルのマーシャルとの違いは?

TAKUMA:かゆいところに手が届きすぎて、かきすぎて血が出て、かさぶたになって、またかゆくなります。もう、どんな球を投げても絶対にキャッチしてくれるし、なんでもできちゃうアンプですね。ただ、湿度というか、ウェットさとかドライさとか、いわゆるアンプのカラーはちゃんとあるんです。

▲右はMarshall JVM410H (Commune Modify)+Marshall 1960A、左はVHT Pittbull ULTRA-LEAD。

──TAKUMAさんは一時期、ケンパー(プロファイリング技術を搭載したデジタルギターアンプ)も使用していましたよね。

TAKUMA:ケンパー、使ってましたね。その後、ブラックスターのガスGシグネチャーモデルS1-Blackfire200とか、ヒュース&ケトナーのTRIAMP MKⅢ、ディーゼルのVH-4を使っていたときもあったし。いろいろ使ってきましたね。Zepp HanedaではVHTのPittbullをセットしてましたし。

──アンプ遍歴も凄まじいです。

TAKUMA:今、“どんなアンプでもマーシャルの音が出る”っていう、マーシャルのコンパクトエフェクターで、オーバードライヴシリーズというのが発売されていて。この前、キュウソネコカミのセイヤとその話で盛り上がったんです。「これ1台持ってれば、ツアー会場に置いてあるアンプでマーシャルサウンドが作れるかも」ってセイヤが言ってて。それができるなら、オレンジアンプとかフェンダーのツインリバーブをクリーンセッティングにしておいて、オーバードライヴシリーズをONにするとマーシャルの歪みを得られるとか、そういう選択肢もあるのかなと思ってますね。

──それはすごい。

TAKUMA:マーシャルには、ある種のドライさとか音の硬さがちょっと足りないと思っていて。もちろん硬い部分は出てるんですけど、マーシャルのローはふくよかだから、硬い部分が目立たなくなっている感じなんです。だから硬いローを目立たせつつ、ふくよかなところをマーシャルエフェクターでフォローすることが、特にツインリバーブみたいなアンプだったらできるかもと思ってて。

──なるほど。マーシャルを超えることができるかもしれない。

TAKUMA:マーシャルには、ツインリバーブみたいに真っすぐに飛んでいく音の飛距離は求められないというか、レンジ広めにドシャーッと出るんですね。現場では、“もっと前に飛んでくれ”って思うときもあるんです。だから、マーシャルにツインリバーブの飛距離と硬さがあったら最高やなっていう理想が、このエフェクターで実現できるかもしれんぞって。近年のコンパクトエフェクターが、ハイエンドなハイゲインアンプを凌駕するような、おもしろい時代にもなっていくかも、とちょっとそう思ってます。

──新たにハマる沼ですか?

TAKUMA:そうですね、それが怖くて、まだマーシャルのコンパクトエフェクターは買ってないです。とりあえずピックアップの沼が終わるまで我慢しようかなと。

▲ステージ袖にセットされたエフェクターボード。写真右下から時計回りに、SOURCE AUDIOのイコライザーSA170 Programmable EQ、Providenceの3ループルーティングボックスRX-L1、LINE6のディレイストンプボックスモデリングペダルDL4、SchecterのトレモロThe Trembler、MXRのザックワイルドシグネチャーフェイザーZW90 Wylde Phase、tc electronicのリバーブHall of Fame、IbanezのアナログディレイAnalog Delay MINI、RowinのコーラスRoto Engine、Boot-LegのミッドコントローラーDr.Mid Rich DMR-1.0、左上はVital AudioのパワーサプライVital Audio VA-08 Mk-II。

──そう言いながら、TAKUMAさんのエフェクターボードにはマニアックなコンパクトが取り揃えられていますよ。

TAKUMA:ギターテックの山ちゃん(山本氏)の私物もあったり。いろいろ教えてもらいながら使ってます。

──TAKUMAさんがリクエストしたエフェクターはありますか?

TAKUMA:RowinのコーラスRoto Engineは僕のもので、Boot-LegのミッドコントローラーDr.Mid Rich DMR-1.0はブースターとして昔から使ってます。LINE6のディレイDL4も昔から使っていて、あとは山ちゃんチョイスです。

──エフェクターボードにあるプロヴィデンスのループスイッチャーで3つのループが組んでありますが、それらは?

TAKUMA:ディレイと、音色補正と、空間系という分け方ですね。

──ということは、ギターのベーシックサウンドはアンプ直ですか?

TAKUMA:そうですね。基本は直です。

▲ステージ上の足元にセットされたフットペダル類。写真右下から時計回りに、BOSSのMIDIフットコントローラーFC-50、Jim DunlopのワウペダルCBM95 CryBaby Mini Wah、BOSSのクロマチックチューナーTU-3S、BOSSのボリュームペダルFV-500、KORGのチューナーPitchblack mini、Hand BuildによるA/Bボックス2Way Selector、LINE6のストンプボックスモデラーM9。
▲モニター前にRadialのアクティヴDI J48、Hand BuildによるA/Bボックス2Way Selectorの下にはジャンクションボックスをセット。

──エフェクターボードはステージ袖にセットされていましたが、TAKUMAさんの足元のフットスイッチでもON/OFFができるんですか?

TAKUMA:今、僕が足元で操作しているエフェクターはワウペダルとボリュームペダルぐらいかな。足元にある他のフットスイッチは、全部ボーカル用なんです。BOSSのFC-50は、ボーカル用として使っているLINE6のマルチエフェクターM9の切り替え用です。

──ギターのピックアップ交換のハマり方といい、TAKUMAさんの出す音はどんどん変わりそうですね。

TAKUMA:でも聴いている人はあんまり分からないかも。自分的には変化を感じているんですけど、今までの延長線上の音なので、たぶん属性は似ていると思うんです。でもね、音の張りとかは、めちゃくちゃ変わったと思います。

▲ラック式ワイヤレスシステムの上段には、ボーカルモニター用ミキサーとしてYAMAHAのアナログミキサーMG10XUをセット。
▲マイクスタンドのピックホルダーにセットされたFernandesのTAKUMAシグネチャー。おにぎり型で0.8mmを使用。

──今後、現在のメインのエクスプローラータイプにも手が入りそうですか?

TAKUMA:Bizen Worksのオリジナルピックアップとか、P-90タイプとかも貸していただいているので、もうちょっと旅するつもりです。あと、まだ使ったことないレールハンマーとかも試してみたいし。自分のアンプ、セッティング、楽曲で、やろうとしていることに合いそうなものがあったら、試していきたいですね。

──マニアックに進んで行きそうですか?

TAKUMA:でも、僕はボーカル&ギターじゃないですか。やっぱり改造に手を出しているギタリストは、コンデンサーとか回路にまでこだわるし。それに僕はシミュレーターをほとんどイジれないんで。そういうものでとんでもない音を作ることができるギタリストは、相当なプロフェッサーやなと思います。

──バンド仲間から「音がいいですね」って声をかけられるんじゃないですか?

マネージャー:<SATANIC CARNIVAL2025>のときに、coldrainのMasatoさんが来て、「10-FEETってギターの音、変わりました? 今日、ライブを観ていて、メタリカの音だと思いました」と言われました。

TAKUMA:あの日、僕もcoldrainのメンバー全員に言われた。一人ずつ来ては、「ギターの音、めっちゃ良かった」って。なんかのドッキリ仕掛けられてるのかな?と思ったぐらいに、代わる代わる(笑)。ギターだけじゃなくて全部の音を褒めてくれたんですよ、嬉しかった。

──最後に、自分らしいギターサウンドを見つけるためのアドバイスをお願いできますか?

TAKUMA:僕は昔、メタリカとかパンテラに憧れてギターを始めたんですけど、そのセッティングとかをギター雑誌で見て、同じようにやっても“あの人の音にならないやん”というのがほとんどだったんですよ。でも今は、機材のしっかりとした情報がタイムラグなく入ってきやすいし、なおかつYouTubeとかもあるから、憧れている人の音が簡単に作りやすい時代だと思うんです。とはいえ、バンドを始めたばかりのときにピックアップがどうこうなんて、わけわからないと思うんです。

──初心者は特にそうでしょうね。

TAKUMA:例えば、さっきのマーシャルエフェクターは無敵だと思うんですね。そういう無敵なエフェクターとかアンプをひとつ持っていればいいと思う。たとえば、高いアンプじゃなくても、小さなアンプシミュレーターだったり、ギターのジャックに挿してイヤホンで聴けるようなアンプでも、今はめちゃくちゃいい音のやつがいっぱいあるから、そのいい音を大事にしてほしい。最初にヘボい音しか鳴らないと、おもしろくなくてギターやめちゃうんですよ。思っている音が出せるものを、上手に買い物をする。そして、弦高を低くする。

──弦高を低く、ですか?

TAKUMA:そう。低くし過ぎたら音が滲んで鳴らなくなるけど、そのギリギリまで低くする。低いままだと上達が遅くなるけど、それでもいいんですよ。とにかく簡単にラクに弾ける状態にして、まずいい音が出る気持ち良さを知ってほしい。そうしたら、そこからいろんな機材をディグることも、練習も、楽しくなっていくから。弦高を上げることの意味もわかっていくと思う。最初にズッコケたら、本当にギターをやらなくなってしまうから。いい音の確保と、弾きやすいギターのセッティングを確保してもらったら、湯舟に浸かっているぐらいの気持ちいい顔で、沼に入ってもらえるんじゃないかな。

取材・文◎長谷川幸信/梶原靖夫(BARKS編集長)
撮影◎堅田ひとみ(機材)/かわどう(ライブ)

 

■「第ゼロ感 (sequence ver.)」
2025年9月24日(水)配信開始
配信リンク:https://lnk.to/10feet_dzk_seq
▼再上映『THE FIRST SLAM DUNK』
全国映画館にて10月13日(月祝)〜26日(日)の2週間限定
https://slamdunk-movie.jp/news/2025072501.html

 

■アニメ『ウマ娘 シンデレラグレイ』第2クールオープニング主題歌担当
放送日時:2025年10月5日から毎週日曜16時30分より
放送局:TBS系全国28局ネットにて
・TBS系全国28局ネット:10月5日から毎週日曜16:30~
・BS11:10月14日から毎週火曜25:00~ 
・AT-X:10月8日から毎週水曜21:30~
     10月10日から毎週金曜9:30~(リピート放送)
     10月14日から毎週火曜15:30~(リピート放送)
▼配信情報
配信開始:2025年10月5日(日)17時から
配信:ABEMA、Netflix、U-NEXT、アニメ放題にて先行配信
そのほか、各種配信サイトでも順次配信開始
https://anime-cinderellagray.com/onair/

 

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