【インタビュー】Lead、原点回帰がコンセプトのミニアルバム『REPRISE』リリース「いまの等身大はこれ」

Leadが原点回帰をコンセプトに、当時の楽曲のオマージュをちりばめながらも、現在のサウンドにアップデートした楽曲6曲を収録したミニアルバム『REPRISE』をリリースした。
10月から東名阪ツアー<Lead Upturn 2025~LIFE ON DA BEAT~>を開催する。9月4日、オフィシャルサイトから発表があったように、現在メンバーの古屋敬多は活動を休止している。Leadはどうなってしまうのかという不安を吹き飛ばすように、谷内伸也、鍵本輝はすぐに2人でLeadの活動続行を決めた。
そのため、今回は撮り下ろしの写真もインタビューも2人で実施。最新作、ツアーについてのインタビューを行なっていても、さりげなく敬多の話を入れてくる彼ら。なぜ彼らは2人でもLeadの活動を続行する道を選んだのか。その背景にある彼らの敬多に向けた熱い想い、ファンを思いやる気持ちを感じられる取材となった。
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◾︎当時聴いてた音楽というテーマで絞れた。そこはこれまでと大きく違ってて楽しかった
──2人での撮影、2人でのインタビュー、いつもとは違うのでなんか不思議な感じですね。
谷内伸也:僕らもそうなんです。
──まず、新作のコンセプトに“原点回帰”といものを掲げた理由から教えて下さい。
鍵本輝:ライブの企画のほうが先に走ってたんです。今回のツアーのサブタイトルが“~LIFE ON DA BEAT~”というんですけど、これは僕らの1stアルバムのタイトルで。
谷内:先に、ツアーをこういうテーマでやりたいなというのがあったので、その前にリリースするならライブと連動できるようなコンセプトで作品を作って、新旧を極端に見せようと。1stアルバムと最新作を見せるライブにしたいなと思って、ライブ前に出す本作品を、原点回帰というコンセプトにした感じです。

──そもそも、なんでいま1stアルバムを掲げたライブをやろうと思ったのですか?
鍵本:元々去年ぐらいから温めていたテーマではあったんですけど、アイデアは出し惜しみせずやろうと。
──でも、こういうものはみなさん周年とかにひっかけてやるのが一般的かなと思うんです。
鍵本:25周年とか、キリのいい周年のときにやるべきだと思うんですけど、全然いいじゃん、いまやっちゃおうぜみたいな。これが周年に向けてのホップステップになったらいいし。いまの時代感も、ちょうど1周回った感があるので、そういう時代の流れの後押しもうけながら、タイミングとしてはちょうどいいからやろうぜって流れでした。
──2002年デビューだから、いまのY2Kブームとぴったりハマる訳ですよね。その空気感が後押しになったと。
谷内:そう。デビューした頃、中2だったんですけど。その頃に影響を受けたサウンドやファッションなんかを、いまの僕らが取り込んでやったらどうなるんだろうっていうことですね。
──なるほど。それで、あの頃のトレンドをそのままではなく、アップデートしてやってみたと。
谷内:そういう意味での『REPRISE』というタイトルです。
──ジャケットやアー写の背景に映っているものは当時のもの?
谷内:でっかいパソコンとかCDウォークマンとかそうですね。
鍵本:できるだけ当時を再現しようとしたんです。
谷内:自分たちのグッズやポスターも当時のものを集めて。なかには敬多の私物もあったりするんですよ。
鍵本:昔のグッズとか実家から送ってもらったみたいです。あとはスタッフさんが大切に管理してくれたものやポニーキャニオンのスタッフさんの私物も混ざってます。
──ミニアルバムという形態は作ってみてどうでしたか?
鍵本:今回は6曲全部が新譜なんですよ。いつものフルサイズのアルバムだと、ここにプラス2~4曲シングルが加わるんですけど、それがない分、6曲に思いを込められました。1曲1曲に向き合っていく時間がしっかりとれて、ちょうどいいなって。
谷内:フルアルバムも毎回楽しいんですけど、シングル曲の影響がない分、収録曲も完全にコンセプトありきで考えられますよね。そこがフルアルバムとの1番の違いかなと思いますね。
──コンセプト作品を制作するのは、Leadとして今作が初?
谷内:ですね。
鍵本:ずっとやりたかったことではあるんですよ。いまファンク系が自分たちのなかでキテる時期だったら、ファンク系だけを集めたアルバム作りたいなとか。敬多からは、日常に溶け込むような楽曲を集めた作品を作ってみたいという意見が出ていたりもしましたね。
谷内:今作を作るときも敬多からもう1回そういう案が出てきたんですよ。けど、ライブがこの後に控えてるから、日常に溶け込む系のコンセプトだとライブではどうなのかなって話になって、最終的にここに落ち着いたんです。
鍵本:制作の作業の仕方もこれまでとは違っていました。さっき伸也がいってたように、フルアルバムだとシングルが入るから、その影響でシングルのお友達になるような曲を探していく作業になるんですね。でも今回はコンセプトありきだったので、俺たちが当時聴いてた音楽というテーマで絞れた。そこはこれまでと大きく違ってて、楽しかったですね。ニュージャックスイングやツーステップ、その辺のジャンル感で楽曲を集めてもらって、100何曲もずーっとそういう曲ばかりを聴いてると頭がバグってきちゃってパニックになりましたけど(笑)。そのなかにめちゃくちゃいい曲がたくさんあって、一番バチンときたのが「Roller Coaster」だったんです。

──リード曲として先行配信したナンバーですね。ニュージャックスイングなんだけど、いまの時代感もしっかりと感じる楽曲になってましたね。
谷内:サウンドは懐かしいんですけど、ミックスの仕方で印象が変わるんですよ。
鍵本:使ってる機械は新しいからね。
谷内:俺、この曲は最初からプッシュしてたんですよ。それがリード曲になったのはよかったんですけど、その段階ではまだデモ曲状態だったんですね。そこから完成までもっていくのに時間がなかったから不安もあって。「できるのか? できないのか? どっちなんだい?」の、なかやまきんに君状態だったんですけどなんとか仕上げました。シンプルなのに高揚できて、疾走感もある。あと久々に3人でラップの掛け合いをやってるんですけど、そこもポイントになってます。今回のコンセプトである原点回帰というところでは、この曲、ビートはニュージャックスイングなんですけど、その裏で鳴ってるベースの“ドゥッドゥッドゥッドゥッ、ドゥードゥ”っていうところはファンク感も感じられて。それらすべてが合わさった感じの曲で、すごいLeadっぽいなという気がします。
鍵本:もうこれはイントロからカッコいいんですよね。最初は違ったアプローチだったんですけど、なんかもうちょっと欲しいねと話し合って、「何が始まったんだ?」っていうようなハイライトを感じたいとオーダーしました。あと、大体ラップベースのこういう曲はサビになると歌がメインになることが多いんですけど、この曲はサビなのかフックなのか、それともドロップなのか、一見分かりにくい構成になってて。洋楽っぽいかもしれません。聴く人によってはサビ感もあると思うんですけど。
──でも、そのサビ感があるところで音数が。
鍵本:少なくなるんですよね。だから、ドロップでもあるという。その微妙な感じを楽しんで貰いたいですね。
──この曲、ダンスはカッコいい系ですか?
鍵本:そうです。ちゃんとローラーコースターを表現してるところがあるんですよ。
谷内:めちゃくちゃ緻密な構成になっています。振り入れは敬多も入れて3人でやったんですけど、3人が入れ替わり立ち替わりしてくところがすごい緻密なので、見てて楽しいと思います。
──それでは、他の曲もいろいろ質問していきたいと思います。1曲目「The love is perfect」はデビュー曲「真夏のMagic」をオマージュした楽曲ですね?
鍵本:まさにその通りです! 歌詞もメロもすべてがそうです。
──サビの転調まで同じ!
鍵本:はい。「真夏のMagic」を書き下ろしてくれた笹本安詞さんには、「真夏のMagic」に潮風のストーリーが香る新しい曲が欲しいですとオーダーさせて頂きました。最初「えっ?」といわれましたけど。
谷内:20年越しにそんなオーダーが来るとは思ってなかっただろうからね。
鍵本:でもきっと嬉しいよね。提供した曲が誰かのデビュー曲になって、何十年後に「もう1度あのときの感じの曲を」っていわれたら、俺「マジで!」ってなるもん。そんなに大事にしてくれてるんだって感動しちゃう。
谷内:うん。そうなる。
鍵本:それで生まれたのがこの曲です。
谷内:ありがたいねー。
鍵本:ちょっと楽曲に踏み込んで「サビのメロディーはこういう風にしたらどうかなと思うんですが、笹本さんはどう思いますか?」といったら「いや。これがいいんだ」とパーンと返事がきまして。それぐらい曲に対する思いがあったんで、メロディーは笹本さんのこだわりのまま収録しました。

──作家さんなりにオマージュを貫いてくれていた訳ですね。
鍵本:ええ。そこまでしてくれる作家さんって、いまはあまりいないのかなと思います。「全然変えますよ」っていってくれる優しい作家さんが多いなか、こんなにも熱い思いをもって取り組んでくれたんだというのが分かって、逆に嬉しかったですね。
──いいお話です。
鍵本:ちゃんとレコーディングにも立ちあって歌のディレクションをしてくれたんですけど、「コーラスどうする?」っていわれて、全然自分たちでやってもよかったんですよ。でも、デビュー当時「真夏のMagic」の頃は、僕たちコーラスはやってなかったんですよ。それこそ「真夏のMagic」は笹本さんが歌ったコーラスが収録されてるんですね。それで、この曲はせっかく「真夏のMagic」のオマージュなんだから、コーラスも「笹本さんお願いしますよ」といってやってもらったんです。「高いよ」、「ギャラ発生するよ」っていわれながらも、やって頂いて。
谷内:だから、コーラスもあの当時と同じ声が聞こえてくるからエモいんですよ。
──歌は「真夏のMagic」の頃を意識して歌唱したのですか?
鍵本:それはあんまなかったですね。あれからもうだいぶん時も経ってるんで、どちらかというと成長を感じて欲しいなという思いで歌いました。







