【速レポ】<中津川 WILD WOOD 2025>Penthouse、シティソウルで華々しく”初上陸”

今、日本を席巻する6人組のシティソウル伝道師・Penthouseが中津川にやってきた! 彼らは最近の勢いそのままにリハからすでに本域のパフォーマンスを見せつけ、いったんステージ袖に戻ってしまうのが惜しいくらい本番前からいい雰囲気をつくり出していた。何より、男女のコーラス隊2名を含む8名の大所帯はその見た目だけで華やかで楽しくなる。


本編のスタート時も、洋楽マナーに則ったコール&レスポンスからはじまり、挨拶代わりの「Welcome to the Penthouse」、そして今年デジタルリリースされたばかりの「ナンセンス」へとテンポよくつなげていく。浪岡真太郎(Vo,G)と大島真帆(Vo)によるツインリードボーカルが牽引するこの楽曲では、迫力あるパフォーマンスで観客をいきなり圧倒。Penthouseのなんたるかを問答無用に見せつけた。
ファンキーな「ナンセンス」から打って変わって、続く「夏に願いを」は8ビートで疾走する“ど”がつくほどポップな楽曲。それでいて間奏のギターソロはハードロッキンで激シブ。このバランス感覚が巧みで、幅広い層からウケている理由がよくわかる。




大島によると、Penthouseは今回が岐阜初上陸。そこで、この場にいるのは岐阜の人なのか、愛知から来た人なのかと即席アンケートを実施。結果、両県からのお客さんがほとんどだということが判明。そこから大島は、観客に対して次に披露する「September」カバーの楽しみ方を丁寧に指導。しかも、押し付けるのではなく「自由に盛り上がればいい」と言いつつ、「コーラス2人の動きを真似すればそれっぽくなる」とあくまでもアドバイスに留める。さらに「中津川、イケるか!? 本当にイケるのか!?」と発声を促し、一緒に盛り上がる準備を整えてから演奏に入るのだった。そして、この「September」カバーのシャレてること。リズムを中心に大胆なアレンジが施された面白い解釈で、4名のボーカリストが次々とソロをとる豪華なマイクリレーを繰り広げる。この時点で十分に楽しさを堪能。そして、忘れた頃にやってくるあの名サビ。こんなの楽しいに決まってるじゃないか。ずるい。しかし、フルコーラスは歌わずに小気味よく「Jukebox Driver」へとつなげる。賢い。
次曲「…恋に落ちたら」では、演奏に入る前に《ナナナ》のシンガロングを練習。その甲斐あって、本番ではステージと客席が心をひとつにしたシンガロングが成功。いや~、Penthouseは初めて訪れる土地での作法がばっちりわかっている。嬉しい。楽しい。大好き。

《ナナナ》の大合唱で楽しんだあとは、「Taxi to the moon」へ。洋楽フィーリング溢れる楽曲で、ソロ回しもソウルフル。だからといって、とっつきにくいかというとそういうことはなく、everybody is welcomeな雰囲気しかない。
しかし、パフォーマンスは自信満々に見えたが内心はそうではなかったようで、「みんなが来てくれるのか、盛り上がってくるのか不安だった」と大島が胸の内を吐露。ステージ周辺を埋め尽くす大勢の観客と彼らの盛り上がりに安堵した彼女は、「これをきっかけにPenthouseを聴くようになって、ワンマンライブで再会できたらうれしい」と声を弾ませた。するとすかさず10月25日@名古屋、26日@東京で開催するライブの告知を挟み込む浪岡。実家が盛岡だという彼は、地元に中津川という川が流れてるから、今日のライブは実質凱旋公演だと強引に断言。そんな小話で場の雰囲気を弛緩させてから、「フライデーズハイ」へと移る。間奏の矢野慎太郎(G)と大原拓真(Ba)と平井辰典(Dr)によるインプロっぽいパートがかなりカッコよかった。特に、大原はまるで体の一部かのように巧みにベースを操り、楽器の楽しさを自然に伝えてくる。


ライブスタートからここまで演奏もステージ運びもまったく淀みがない。しかも、自分たちのスタイルが完全に成立しているというわけではなく、自分たちの人間臭さもしっかり伝えてくれる。そして、要所要所でしっかり見せ場をつくってくるのだ。シンプルに、ステージ運びが上手なんだと思う。パフォーマンス内容も濃いし、触れるべきポイントが多い。レポートにまとめるのもひと苦労。ほら、こんなに長くなったでしょう?
最後は「我愛你」と「一難」で駆け抜けたのだが、「我愛你」でもしっかり歌唱指導。歌えないなら手を振って、手を振らなくても体を揺らすだけでもいいという配慮が沁みる。でも、これは決して下手に出ているのではなく、あくまでもこの場をみんなで共有して、より楽しい時間を過ごそうという気持ちの現れ。ポップシーンを駆け上がっていくアーティストのすごみというのはこういうところにも現れるんだなあ。ラテンノリのアッパーな「一難」を聴きながら、この6人組の魅力に唸るしかなかった。

取材・文◎阿刀大志
撮影◎ハタサトシ
■セットリスト
1. Welcome to the Penthouse
2. ナンセンス
3. 夏に願いを
4. September
5. Jukebox Driver
6. ...恋に落ちたら
7. Taxi to the moon
8. フライデーズハイ
9. 我愛你
10. 一難
■<中津川 WILD WOOD 2025>
9月20日(土) 岐阜県中津川公園内特設ステージ
9月21日(日) 岐阜県中津川公園内特設ステージ
open10:00 / start11:00 / 21:00終演予定
岐阜県中津川市茄子川1683-797
【Day1:9/20(土)出演者】※A-Z順
ザ・クロマニヨンズ、Def Tech、04 Limited Sazabys、Hedigan’s、HEY-SMITH、一青窈、jo0ji、JUN SKY WALKER(S)、神はサイコロを振らない、KREVA、日食なつこ、Nothing’s Carved In Stone、奥田民生、レキシ、サバシスター、SiM、土岐麻子、東京スカパラダイスオーケストラ、ヤングスキニー、レトロマイガール!!(Opening Act)
【Star Guitar】DJ 西寺郷太(NONA REEVES)、須永辰緒(sunaga t experience)
【Day2:9/21(日)出演者】※A-Z順
ACIDMAN、The BONEZ、Chilli Beans.、Dragon Ash、GLIM SPANKY、go!go!vanillas、iri、木村カエラ、Omoinotake、Original Love、Penthouse、Rei、レトロリロン、スガ シカオ with FUYU、水曜日のカンパネラ、打首獄門同好会、w.o.d.、吉澤嘉代子、Khaki (Opening Act)
関連リンク
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