【速レポ】<中津川 WILD WOOD 2025>Nothing’s Carved In Stone、絶妙タイミングで魅せた鋭い音景

2025.09.20 20:36

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Nothing’s Carved In Stoneのライブは本当に気持ちがいい。17時を越えて、多少肌寒くなってきたが、クールダウンした空気が彼らの演奏の鋭さと呼応して、気持ちよさが増す。照りつける太陽の下よりも、今日のようなタイミングがベスト。演奏を聴いているだけでかなり楽しい。まず、オープニングナンバー「Freedom」でいうと、日向秀和(Ba)のベースプレイがいい。細かいところまで気が配られたフレージングにはニヤリとさせられたり、ため息が漏れたり、彼のプレイに耳をそばだてているうちにあっという間に曲が終わっている。どこを切り取っても楽しい。まあ、それはこの曲に限った話ではないのだが。

◆ライブ写真

続く「Isolation」では、生形真一(G)のプレイをピックアップしたい。ときにはベースを引き立たせ、自身のソロではお立ち台に上がり、痺れるくらい豪快なプレイで魅せる。順番は前後してしまうが、「雨が降ってるときのためにこの曲を用意したんですけど(中略)、俺らにとっての太陽はここにあるよっていう歌で、みんなの名前だと思ってコールします!」と力を込めて村松拓(Vo,G)がタイトルコールした「きらめきの花」における生形も本当に素晴らしかった。同期で鳴らしているのかと一瞬錯覚するくらい正確に刻まれるギターリフが最高にクールで、だからこそその裏で鳴っている日向のベースプレイが生きてくる。

「Diachronic」では、大喜多崇規(Dr)のドラムが映えた。ときにブレイクビーツ的に刻んだり、ときに大きなグルーヴを描いたり1曲の中で大胆に変化するが、主張はし過ぎず、派手なプレーヤーが揃っているこのバンドの屋台骨を支えている。大げさではなく、一生聽いていられる気持ちよさがある。

今にはじまったことではないが、このバンドでボーカルを張っている村松拓(Vo,G)は本当にすごいなと思う。彼のボーカルがゴリゴリに効いていたのは「Brotherhood」だ。ぼそぼそと不鮮明になりがちな低音域を、しっかりとした輪郭で色気たっぷりに響かせられるロックボーカリストはなかなかいないんじゃないか。

MCでは、そんな村松がひと笑い起こした。「今日、早起きして新幹線に乗ってきたんですけど、名古屋から出てる特急『しなの』が、僕らがホームに着いた瞬間に運行取りやめになって、『俺たち、移動できないんじゃね?』ってなって聞いてみたら、倒木が線路を塞いでしまって、僕らは会場にたどり着けないってことだったんですよ……フェスの名前を思い出しました(中津川 WILD WOOD)。名前が悪いんじゃないの?って(笑)」。

ここまでは鋭利な刃物のような演奏でほどよい緊張感が生まれていたが、このMCで場の空気がいくぶん弛緩。ここからエンディングへ向けて熱量を高めていった。「You’re in Motion」で観客はさらに前のめりになり、力強く突き上げられる拳の数もグッと増えた。シームレスに突入した「Out of Control」では、村松のボーカルが中心となって展開する緊張感のある平歌から、解放感のあるサビへとつながる流れが脳内麻薬の分泌を促進する。激しく明滅する照明に頭の一部が痺れ、そんな痺れた部分を日向のベースが無造作に刺激していく。たまらん。これはロックの皮を被った最高のダンスミュージックだ。そう、彼らが鳴らしているのは紛れもなくロックなんだけど、ライブにおける彼らの演奏にはダンスミュージック的な要素もあると自分は感じている。縦ノリで盛り上がるのもいいけど、もっと踊り狂う人がいてもいい。

ラストに届けたのは、「Dear Future」。サビのシンガロングはこの日一番の一体感を生んだ。「ありがとうございました! Nothing’s Carved In Stoneでした!」と高らかに叫んだ村松は非常に満足気だった。呼んでもらえればいつでも来る、彼はそう宣言した。間違いなく、本気だ。

取材・文◎阿刀大志
撮影◎Viola Kam (V’z Twinkle)

■セットリスト
1​. Freedom
2​. Isolation
3​. Brotherhood
4​. きらめきの花
5​. Diachronic
6​. You’re in Motion
7​. Out of Control
8​. Dear Future

■<中津川 WILD WOOD 2025>
9月20日(土) 岐阜県中津川公園内特設ステージ
9月21日(日) 岐阜県中津川公園内特設ステージ
open10:00 / start11:00 / 21:00終演予定
岐阜県中津川市茄子川1683-797
【Day1:9/20(土)出演者】※A-Z順 
ザ・クロマニヨンズ、Def Tech、04 Limited Sazabys、Hedigan’s、HEY-SMITH、一青窈、jo0ji、JUN SKY WALKER(S)、神はサイコロを振らない、KREVA、日食なつこ、Nothing’s Carved In Stone、奥田民生、レキシ、サバシスター、SiM、土岐麻子、東京スカパラダイスオーケストラ、ヤングスキニー、レトロマイガール!!(Opening Act)
【Star Guitar】DJ 西寺郷太(NONA REEVES)、須永辰緒(sunaga t experience)
【Day2:9/21(日)出演者】※A-Z順 
ACIDMAN、The BONEZ、Chilli Beans.、Dragon Ash、GLIM SPANKY、go!go!vanillas、iri、木村カエラ、Omoinotake、Original Love、Penthouse、Rei、レトロリロン、スガ シカオ with FUYU、水曜日のカンパネラ、打首獄門同好会、w.o.d.、吉澤嘉代子、Khaki (Opening Act)

 

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