――ハロルド作石さんが2年前、ロットングラフティーの九州ツアーを取材されたそうですね?
ハロルド作石(以下、ハロルド):地方でのライヴツアーやホテル、機材車の中を知りたくて。
――噂で聞いたのは、機材車移動中のことで『BECK』でもネタにされた事件があったとか?
N
OKI(Vo&Harp):高速道路で機材車が爆発したんですよ……。で、燃えてる車に最後に残された物販を、先生お気に入りの“丸”(ロットン名物スタッフ)が取りに行きまして(笑)。
ハロルド:僕の大好きな丸ちゃん(笑)。
N
OKI:ブワァー!ってもう3分の1ぐらい機材車が燃えてるんですわ。で、「丸~っ、取ってきて~っ!」って言って。丸が「分かりました!」って。僕は丸の背中を見ながら、ここで彼が爆発に巻き込まれたら、毎年ここに来なあかん思ってた。丸の命日なるかもしれんて。
NOBUYA(Vo):正直もう死んだと思ったな。
ハロルド:どんな風だったの?
N
OKI:いや~、もう機材車バーン後ろ開いて火出てて……。いや、まず、いきなり車が突然止まって。でも車止まる事には慣れてたから。ハザード出して端に寄せようとして。そしたら誰かが「火ィ出てるでー!!!!!!!!!!」って言いよって。「火ィポタポタ落ちてる~」みたいな。
NOBUYA:とりあえず機材をすぐ降ろしたんですよ。でも、全部出したと思ったら1個だけでっかいケースが残ってて。「あ!
物販ケースや!」って。
N
OKI:ある意味金や~みたいな(笑)。領収書が入ってる~って(泣)。
NOBUYA:CDも入ってるし、Tシャツとか全部入ってる(泣)。
――それはキツイ。
NOBUYA:それで、あれ燃えたら洒落ならん!思って。
N
OKI:「丸~っ!」って叫んだな(笑)。
ハロルド:ブワーっと水を頭からかぶってから突入?(笑)
N
OKI:水なんてないから(笑)! 水あったら車にかけますよー。


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(左から)ハロルド作石、NOBUYA、N

OKI
ハロルド:それで物販はちゃんと無事だったんですか?
N
OKI:無事!
NOBUYA:丸、物販ケース持ってスローモーションで戻ってきよったな(笑)。
N
OKI:でも、機材車が円谷プロみたいなってて(笑)。火薬の数多すぎっていう(笑)。で、その日のイベントの主催のバンドに電話して、「今、機材車が『バックドラフト』(消防隊を描いた映画)みたいになってるわ。無理やわ、今日のライヴ~」って。
ハロルド:ライヴはじゃあ……。
N
OKI:もちろんキャンセルで。とりあえず高速のおっさんに次のパーキングまで連れてってもらって。
NOBUYA:レンタカー待ってる間はパーキングで機材を囲みながらトランプしてましたね。
――あはは、大変だ(苦笑)
N
OKI:もう、ありえへんぐらい落ち込んでたんですよ。ちょうど前の日に機材が車のなかで崩れないように、巻いて固定する業務用の、プロ用のベルトを買っちゃってたりしてて。それが仇になった(笑)。機材、外に出す時に外れへん(笑)。
NOBUYA:ライターで焼き切ったりしてな。
N
OKI:で、みんなガンガン落ち込んで。でも俺ん中ではすげぇネタできたぁーって(笑)。鶴瓶みたいに拡げて話してやろ思ってた。
――その話が『BECK』のネタとして伝わったんですね。凄いつながりだぁ。そういえばロットンの最初の印象は?
ハロルド:そうですね、色んなタイプの曲があるなって。アメリカのいわゆるミクスチャーの感じもあれば、80年代の日本ぽい感じの曲もあるし。マジで色んなものがあるんで、すごい面白い。
――お好きな曲とかは?
ハロルド:京都で初めてライヴで見た1曲目が「暴イズDEAD」で、凄い印象的だったんです。その時、すごいタイトって言うんですかね、ひとつのエネルギーが爆発してる感じが伝わってきて。それで「あぁ、このバンドいいライヴするな」って思って。それが印象に残ってます。あと、お客さんの盛り上がり方やノリ方が凄い良かったんですよ。京都でライヴ見た時、お客さんのオーラが見えましたもん。
NOBUYA:京都で作石さんに見てもらったハコって、プロレスの入場みたいに客席を通るんです。だから僕らがライヴ終わって帰る時に作石さんに呼び止められて、「無茶苦茶良かった~」、「何か塊だった! 何か見えた!」って言ってくれたんです。これはすごい嬉しかったっすね(感動)。