【連載】Vinyl Forest vol.2 ── Max Essa「Panorama Suite / Uptown Vibration 」
ここ最近のNu-Disco、Balearicの流れの中で、やはり外せないレーベルがある。私・Blue Eclairの第一回目は、個人的にお勧めしたいレーベルから9月にもリリースされるヴァイナル、Max Essa「Panorama Suite / Uptown Vibration 」を先行してレヴューしたい。「Is It Balearic?」レーベルとしては13番目のリリースとなる。音楽不況と言われる昨今、筆者はレコード不況ならぬ“レコード布教”をしていく次第である。
◆Max Essa「Panorama Suite / Uptown Vibration 」レーベル画像
「Is It Balearic?」レーベルは、Timm SureとAmpoのユニットであるCoyoteが看板アーティストだ。レーベル名に“バレアリック”と冠しているだけあって、レーベル・コンセプトはどこのレーベルよりもわかりやすい。と、同時に、彼らなりのメッセージであるとも感じる。
サマーホリデーからカムバックしてきたこのレーベルの一発目は、多くのリミックスにも参加し、NangやBear Funkでも活躍中のMax Essaが登場。彼は今のダブついたシーンに一石を投じるだろう作品を今回届けてくれた。と言うのも、“Balearic”というキーワードには、必ずと言っていいほどついてまわる「ただのビーチサウンド」、「脱力系」、「チルアウト用音楽」等々のイメージ。そういった印象を吹き飛ばしてくれる、まさに“Nu Balearic”の始まりを感じさせてくれる作品だからだ。
特に本作A面の「Panorama Suite」に関しては、たんなるチルアウトミュージックでは語れない壮大なスケール感が聴きどころ。「Panorama Suite」は伸びのあるシンセで幕開けをする。さらにエコーがかかったギターアルペジオがより深みを増していく。中盤から後半にかけては天空に上昇していくようなシンセで昇天。Max Essaの特徴であるどこか寂しさ、哀愁感を漂わせてながら終えて行く展開の構築は、毎回関心させられる。ご本人からは「super chilled balearic slomo disco」とのこと。20分にも及ぶ大作をぜひ、フロアで、大音量で聴いて、感じて欲しいと思う。どう料理するかはあなた次第だ。
ちなみに本ヴァイナルには収録されない予定だが、「Panorama Suite」には別ヴァージョンがある。今後、アルバムなどで収録されることを期待したい。
続いて、B面は少し印象が変わる。「Uptown Vibration」からは、さながら80年代のNYCファンク・ブギー・サウンドの雰囲気を感じ取って頂けるだろうか。<Dancing to the vibrations>という男性のヴォイスループとカッティング・ギターが繰り返され、バックにはピアノリフ、シンセが絡む。オリジナル・ヴァージョンもいいのだが、今回は、間違いなくリミックス・ヴァージョンをお勧めしたい。なんとリミックスはあのスウェーデンのMark Seven。Mark Sevenといえば、筆者も自身のミックスに収録しているAl Usherの「Lullaby for Robert」や「Traveloge」が記憶に新しい。ちなみに豆情報だが、Mark Sevenは「JUSWAX.COM」という、なかなか面白いレコード店を運営している。一度覗いてみてほしい。
このヴァイナルを全て聴き終わった後は、心地よい空間にトリップしている自分に気づくだろう。ちなみに本作、Max Essa「Panorama Suite / Uptown Vibration 」のリリースは9月中旬頃とのアナウンス。日本のリスナーにも9月中には届けられるはずだ。
text by Blue Eclair
◆Blue Eclairs Room
──【連載】「Vinyl Forest」とは
筆者の私達は音楽好きなのは言うまでもないのだが、それでも年齢を重ねるにつれ不感症になりつつある。原因はハッキリしていて、テクノロジーの進化によって低価格、高品質な制作環境が容易に手に入る昨今にもかかわらず、楽曲のクオリティが退化の一途を辿っているからだ。低コストで在庫を抱えずに済むからレーベルは多くのリリースができる反面、現場ではとても使えないトラックも非常に多い。
そこで、データ音楽販売が主流となった昨今のダンスミュージック界隈の懐事情を鑑みて、
「私たちは、レーベル側が在庫リスクを背負い、インディながらも頑なにVinylをリリースするという行為そのものが、レーベルが充分な楽曲クオリティを保証しているのではないのか?」
という持論(フィルタリング)で巡り会えた珠玉の刺激物と、今では考えられない予算を投じてリリースされた名盤をご紹介していく。
text by Dee-S&Blue Eclair
◆Max Essa「Panorama Suite / Uptown Vibration 」レーベル画像
「Is It Balearic?」レーベルは、Timm SureとAmpoのユニットであるCoyoteが看板アーティストだ。レーベル名に“バレアリック”と冠しているだけあって、レーベル・コンセプトはどこのレーベルよりもわかりやすい。と、同時に、彼らなりのメッセージであるとも感じる。
サマーホリデーからカムバックしてきたこのレーベルの一発目は、多くのリミックスにも参加し、NangやBear Funkでも活躍中のMax Essaが登場。彼は今のダブついたシーンに一石を投じるだろう作品を今回届けてくれた。と言うのも、“Balearic”というキーワードには、必ずと言っていいほどついてまわる「ただのビーチサウンド」、「脱力系」、「チルアウト用音楽」等々のイメージ。そういった印象を吹き飛ばしてくれる、まさに“Nu Balearic”の始まりを感じさせてくれる作品だからだ。
特に本作A面の「Panorama Suite」に関しては、たんなるチルアウトミュージックでは語れない壮大なスケール感が聴きどころ。「Panorama Suite」は伸びのあるシンセで幕開けをする。さらにエコーがかかったギターアルペジオがより深みを増していく。中盤から後半にかけては天空に上昇していくようなシンセで昇天。Max Essaの特徴であるどこか寂しさ、哀愁感を漂わせてながら終えて行く展開の構築は、毎回関心させられる。ご本人からは「super chilled balearic slomo disco」とのこと。20分にも及ぶ大作をぜひ、フロアで、大音量で聴いて、感じて欲しいと思う。どう料理するかはあなた次第だ。
ちなみに本ヴァイナルには収録されない予定だが、「Panorama Suite」には別ヴァージョンがある。今後、アルバムなどで収録されることを期待したい。
続いて、B面は少し印象が変わる。「Uptown Vibration」からは、さながら80年代のNYCファンク・ブギー・サウンドの雰囲気を感じ取って頂けるだろうか。<Dancing to the vibrations>という男性のヴォイスループとカッティング・ギターが繰り返され、バックにはピアノリフ、シンセが絡む。オリジナル・ヴァージョンもいいのだが、今回は、間違いなくリミックス・ヴァージョンをお勧めしたい。なんとリミックスはあのスウェーデンのMark Seven。Mark Sevenといえば、筆者も自身のミックスに収録しているAl Usherの「Lullaby for Robert」や「Traveloge」が記憶に新しい。ちなみに豆情報だが、Mark Sevenは「JUSWAX.COM」という、なかなか面白いレコード店を運営している。一度覗いてみてほしい。
このヴァイナルを全て聴き終わった後は、心地よい空間にトリップしている自分に気づくだろう。ちなみに本作、Max Essa「Panorama Suite / Uptown Vibration 」のリリースは9月中旬頃とのアナウンス。日本のリスナーにも9月中には届けられるはずだ。
text by Blue Eclair
◆Blue Eclairs Room
──【連載】「Vinyl Forest」とは
筆者の私達は音楽好きなのは言うまでもないのだが、それでも年齢を重ねるにつれ不感症になりつつある。原因はハッキリしていて、テクノロジーの進化によって低価格、高品質な制作環境が容易に手に入る昨今にもかかわらず、楽曲のクオリティが退化の一途を辿っているからだ。低コストで在庫を抱えずに済むからレーベルは多くのリリースができる反面、現場ではとても使えないトラックも非常に多い。
そこで、データ音楽販売が主流となった昨今のダンスミュージック界隈の懐事情を鑑みて、
「私たちは、レーベル側が在庫リスクを背負い、インディながらも頑なにVinylをリリースするという行為そのものが、レーベルが充分な楽曲クオリティを保証しているのではないのか?」
という持論(フィルタリング)で巡り会えた珠玉の刺激物と、今では考えられない予算を投じてリリースされた名盤をご紹介していく。
text by Dee-S&Blue Eclair
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