ハナレグミ&くるりが強力バックアップ、湯川潮音デビュー!2
──実際の作業はどのようにして進められたんですか?
湯川:「緑のアーチ」は、まずは私が詩を書いて、1個1個の言葉の気持ちとか、ここはこういうテンポとか、どういうイメージかとかをご飯食べたりしながら何度も話し合いました。永積さんは普段からいろんな話を聞いてくれて、今どんなことを考えていて、これからどうしたいか、とか私の将来のことも心配してくれている人なんです。曲もとても丁寧に作っていただいて、出来た時は“本当に暖かい仕上がりだな”と思いました。永積さんも気に入ったみたいで、「今、家で50回歌ってきたんだけどさー」とか言って(笑)。
──「裸の王様」の場合は?
湯川:岸田さんには、始めに詞の大ざっぱなイメージをお渡ししました。そこから岸田さんのほうでイメージを膨らませて、メロディをラララで歌って返してくれて。その上に私が詩を書きなおした、という感じです。この曲は、初めていただいたときに、前に進んでいるというか、芯の強い曲だなって思ったんです。だから、聴いたらすぐスラスラと言葉が出てきましたね。
──それぞれの曲に歌詞を付ける際、最も注意した点は?
湯川:2人とも素晴らしいミュージシャンですよね。経験も豊富だし。でも、モノを作る時になったら、そういうのはまっさらにしました。その人自身とその人の作っている音楽が好きで一緒にやらせてもらっているので、その人、そしていただいた曲から受けたイメージ、さらに自分が今考えていること、言いたい事の終着点を探して作るようにしています。どれかだけがはみ出していると、偏ったものになってしまうので。誰かと一緒に作らせていただく時は、そういうことに気をつけています。
──湯川さんは「逆上がりの国」や「ひなげしの丘」など、独特な言葉遣いをされますが、歌詞のアイディアはどのような部分から得ているのでしょうか?
湯川:本を読むのも好きなのですが、辞書を眺めるのも好きなんです。広辞苑とか(笑)。単語を見るのが昔から好きで、シール集めをするような感覚で言葉集めをしていました。言葉のストックは結構あって。一つの言葉から、詩の世界が広がることが多いです。
──レコーディングでの制作秘話などはありますか?
湯川:実は「裸の王様」は2回レコーディングしているんです。わたしは初めてこの曲をいただいて聴いた時、芯があるというか、重みのあるというか、ドシンと胸に来る曲だなって感じたんです。1回目のレコーディングが“ほぼ完成!”という時に、そんな最初の出会いで感じたことをふと思い出してしまって。“私、この曲と初めて出会った時、もっと胸にドシンと来る、朗々としたイメージじゃなかったっけ?”って。出会いの感覚って忘れがちですけど、感覚的には一番正しいところだと思うんですね。わたしはこの曲に対して、“自分にとって大きな存在になっていく影響力のある曲” という印象があったので。だから、“ここは振り出しに戻さなきゃいけない”って思って、レコーディングを一からやり直したんです。わたしもブースで大泣きしたんだけど、その後に録った最初のテイクが採用されたんです(笑)。
──では、最後に湯川さんは、今後どんなアーティストになっていきたいと思っていますか?
湯川:近い将来では良いアルバムを作ることです。でも将来的には、民謡のようにいつでも人の傍にある、ずっと語り継がれるようになるような、自分が死んでも残っていくような音楽を目指していきたいな、と思っています。
取材・文●宮崎敬太
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