夜の部のイベント<happy voice night>に続いて、その打ち上げパ-ティとして行なわれたこの<midnight charm>は、さながら'90年初頭の下北沢のクラブ的雰囲気でコミュニケ-ションを求める若者たちが大勢詰め寄せた。彼らはまた、この東京で生まれようとしている新たなる動き、波動の予震を感じている者たちでもあるのだ。 オ-プニングのDJは先ほど演奏を終えたばかりのハックルベリ-フィン。彼らの音楽性とは一風異なった渋い選曲は、ライヴトンパツ(編集部註:“ライヴいっぱつ目”の意)のWindy hillのメンバ-からのリクエストだとか。そのWindy hillはマイナ-調のオリエンタルな曲を女性ヴォ-カル、ツインギタ-、ハモンドオルガン兼パ-カッションに、Spangle pop lile lineのヴォ-カルをゲストに加えた編成でネオアコ-スティック、アンビエント・サイケチックな、70'sアメリカンな色づけで演奏する。 続いて、DJがブリティッシュ・ロックをかけている。Swinging popsicleの手によるものだ。パ-ティらしく、かしこまった礼儀は要らない。楽しければノリが生まれる。会場となったラウンジ・フロア-では、DJの前で騒ぐ者、バ-カウンタ-で決める者、コミニュケ-ション・フロア-で語る者、それぞれが各々楽しんでいる。ライヴははやしいとのどこか懐かしい子守歌のような歌声に変わる。ギタ-の弾き語りをバックにガ-ルフレンチ、ボサノバ、やさしい音楽を聴かせる。 GOMES THE HITMANのYAMADAの80'sブリティッシュロックのDJの後はマニアックな人気を誇るシャ-ペンの登場。ギタ-、ベ-ス、キ-ボ-ド兼ボンゴでアメリカン・フォ-クロック・テイストにギタ-ポップを合わせたようなサウンドが独特だ。バンドの中心人物でもある、青いTV JOCKYのアコギを抱えたヴォ-カル、キマタのキャラクタ-も併せて独特の空気を生む。 ル-プリズムを中心としたcellophaneのSHIROのDJの後は、元祖ブリティッシュ・ギタ-ポップのアプロ-チを見せるvasallo crab75だ。ベ-ス・トラブルがあったがアクシデントもイベントのうち! 新しいム-ブメントをいち早くキャッチしている世代には暖かいム-ドが何よりの声援だ。 DJは本日の紅一点、CHAT★CHATに変わり、80'sジャパニ-ズ・ポップの亜流を回す。 時刻は午前3時を回っているが、時は気にならない。Spangle pop lile lineは若手No.1デザイナ-藤枝憲を擁する美大系ア-トバンド。ダウナ-なヒ-リング・サイケを4人の演奏者が、時にツインギタ-・ベ-スレスに、ツインギタ-・ドラムレスにと楽器を持ち替えてプレイ。こちらも独自の浮遊感を漂わせた。 耳なじみはないが、思わずセットリストが気になってしまうツボを得たDJはcellophaneのmizobuchi。そしてイベントはラスト・バンドのHONEY SCHOOL MATES。ムスタングを抱えたヴォ-カリストがカッコいいガ-ルズ・ギタ-ポップ。もはや日本ではスタンダ-ドと化したこのジャンル。しかし、改めてその直線的なギタ-のリフは耳に残り、分かりやすく心地よく響くのだ。 まるでさまざまなカクテルを味わったかのような一夜にDJはさよならの演出をし、オ-ディエンスは会場を後にする。ひと時のコミュニケ-ションに別れを告げるその表情は、再会への笑顔をまとっていた。 |