【ロフト2周年】無意識の中でSEX以上の快楽を得られるステージング…。

ポスト
Welcome to Adobe GoLive 4
~

 
この日の新宿ロフトのステージを通し
 観客たちを導いていったのは、単なる白熱したライヴではない。

無意識の中でSEX以上の快楽を得られるステージング…。



2001.04.21(sat)
TONIGHT ARTISTS

WRENCH
RISE FROM THE DEAD
GUEST:54-71

身体を躍動させるだけじゃなく、気持ちも恍惚へと導く音楽……いや、正確に言うならば、精神的な高揚を促していくからこそ、自然と身体も躍動してしまう音楽と言った方が正しいだろうか。54-71RISE FROM THE DEAD、 そしてWRENCH。この3バンドが、この日の新宿ロフトのステ-ジを通し、観客たちを導いていったのは、単なる白熱したライヴではない。ノン・アルコ-ル、ノン・ドラッグでも、充分に魂を恍惚の境地へと導き、精神的な開放という術を得られるという、とても感覚的に刺激的な快楽だった。


▲54-71
余計な音を極力排除し、必要最小限の音魂をステ-ジという空間の中へ吐き出すことにより生まれる、異常に緊張感の高い空間美的な演奏。まさに触れただけでスパッと切れそうな音の上で、ヴォ-カルが毒舌めいた調子で、吐き出すように言葉をシャウトしていく。叩き、紬ぎ出し、説き歌う一音一音に意味を持っている演奏。だからこそ、緩急静激入り交じった表現を用いながらも、空間の中を奔放に飛び交っていく張り詰めた音の心地よさは、見ているこちら側のテンションへも、同じように、嬉しい麻痺感覚を与えてくれるのだろう。“静寂の中の狂気”。その言葉の意味を知りたければ、直接、54-71へ触れてくれ。

続いて登場したのは、RISE FROM THE DEAD。ド頭から轟音貫く音の激烈なグル-ヴを醸し出しつつ、その音の中へとダブやトランス等のスペイシ-な要素を折り込み、激しい恍惚感を導き出していく彼ら。バンドのベ-スにあるのは、かなりラウドなロック・スタイル。だが彼ら自身が、バンドのセッション・グル-ヴが高まっていく中で生み出される恍惚的な感情を、音として具現化したいという欲求を強く抱いてるのだろう。激しい音と音とがぶつかり合う中で生まれる台風のようなグル-ヴ。そこへ絡みつくスペイシ-で装飾的な効果は、聴き手の感覚を圧倒的な音の渦の中へと巻き込み、完璧に身体をビリビリと“グル-ヴな轟音”というドラッグでブッ飛ばしていく。


▲RISE FROM THE DEAD
時にはゆったりとしたグル-ヴの中で、時には荒々しいハ-ドコア的な姿勢も見せながら、DJが心地よいウネリを作りながら楽曲を繋ぎ、1つのル-プ的な快感を作っていくのと同じ効果を、彼らは生身の身体と演奏を持って、思いきり体感/精神へと響かせていってくれた。

そしてオ-ラスに登場したのは、WRENCH。ラウドなサウンドをベ-スへ据えながらも、ダブ/トランス的な要素を全面に押し出す表現スタイルで、心の奥底へ潜む恍惚という感情をゆっくりと表へ引き上げていくよう、観客たちの感情をジワジワと導き出していく彼ら。正直、今の僕は、WRENCHの音の素晴らしさを、どう言葉で表現して良いのか迷っている。何故なら、彼らのライヴに触れていると、理屈抜きに身体も魂も空白状態へと陥り、ただただステ-ジから轟き渡るラウド/トランス/ダブな音の洪水へ身を任せ、完璧にイッた表情で嬉しく身体を揺らしていってしまうんだもの。ステ-ジ前半で見せた、シンセ等を駆使したラウドながらもトランス的な…そう、まさにハイプしきった、ドラッギ-・スタイル。そして後半で炸裂した、シンセ等を極力排除し、4人が絡み合う激高な感情のグル-ヴのみで生み出される、ナチュラル・ハイプなラウド・サウンドの数々。


▲WRENCH
魂を開放し異次元へと導く、その恍惚の音楽という経文を耳にし平然でいられる奴こそ、僕は信じられない。みずからの感情を完璧に異世界へと連れ出し、無意識の中でSEX以上の快楽を得られるステ-ジングを毎回魅せてくれるWRENCH。あの恍惚を一度覚えたら、絶対に離れることなんかできやしない。

3バンドの演奏を通し、思いきり魂を別世界へと引き連れていかれてしまったこの日のライヴ。音だけじゃない、魂をも導いていってこそ音楽なんだという姿勢を、この日の3バンドには教えられたような気がする。

文●長澤智典

この記事をポスト

この記事の関連情報