彼の最高傑作、あるいはロックの名盤として…
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彼の最高傑作、あるいはロックの名盤として… 『ALL THINGS MUST PASS ~ NEW CENTURY EDITION ~』リリース! |
![]() 『ALL THINGS MUST PASS ~ NEW CENTURY EDITION ~』 2001年1月24日発売 東芝EMI TOCP65547~48 3,670(Tax in) 1. アイド・ハブ・ユー・エニタイム |
伝記本『アンソロジー』やベストアルバム『1』などのビートルズのミレニアム・プロジェクトの余韻が残る中、今度はジョージ・ハリスンのソロ作『オール・シングス・マスト・パス ニュー・センチュリー・エディション』の登場である。 ジョージの実質的なソロ第一弾となるこのアルバムのリリースは’70年11月(日本では翌年2月)。 ’70年といえば、4月のポールによるビートルズ解散発表やアルバム『レット・イット・ビー』のリリースによって、世界中の音楽シーンはビートルズに関するネガティヴな話題で持ちきりだった年であるが、『オール・シングス・マスト・パス』は、そのビートルズ解散イヤーを締めくくる形でリリースされている。 セールス的にも大成功を収め、全英全米ともに第1位。シングルカットの「マイ・スウィート・ロード」(ここのロードとはROADではなくLORD。つまり神の意)も同じく米英で1位を獲っている。 この年、ビートルズの各メンバーは相次いでソロ作をリリースし、話題を呼んだが、結果的にこのアルバムが最も売れたため、当時は「最も得したビートル」と言われたほどだった。 ビートルズ時代のジョージは、レノン/マッカートニーの両巨頭の陰に隠れ、常に第三の存在であった。そのため、ビートルズのアルバムで発表する曲数も限られ、解散直前のシングル「サムシング」まで、彼の作曲能力もあまり注目されることはなかった。 ここに収められているほとんどは、その間に書きためられた曲だという。 まるで掃き出すように当時としては異例の3枚組。豪華なボックス仕様でリリースされた。参加アーティストもまた豪華。リンゴ・スター、エリック・クラプトンなどその後のソロに欠かせない友人がプレイし、プロデュースはフィル・スペクターが務めている。 彼の繊細なメロディラインとヴォーカルをバックが巧みに引き立て、独特のポップセンスを表現している。高いクオリティは、今でも彼の最高傑作、あるいはロックの名盤としてシーンに君臨している。 デジタル・リマスタリング、ニュー・ジャケット、未発表曲など話題満載の30周年記念エディションであるが、やはり新レコーディングされた「マイ・スウィート・ロード」に感動する。 単なる1曲に過ぎないが、ここには10年以上ブランクのあるジョージの、新たな音楽活動再開への気概を感じさせ、単なるリイシュー・プロジェクトで終わらない可能性を感じさせる。 ファンは何よりもそこが嬉しい。 文●竹中吉人 |