音楽だけでなくアートやファッションにも才能を発揮しているスタイリッシュなメンバー、ビリー・マーティンインタヴュー!

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――まずは、シンプル・プランとの全米ジョイント・ツアーについて教えて。ツアーは楽しめました?

ビリー:クールだったね。アメリカには両方のバンドが好きなキッズたちがたくさんいるし、ジョイントしたのは正解だったと思う。新しいことするのも楽しいしね。リンキン・パークコーンといった、ビッグバンドが参加する大規模なツアーが数多くあるけど、ファンにとっても、それは素晴らしいことだと思うよ。僕たちの音楽では、バンドの数が限られてるかもしれないけど、Warped Tourがあるし、納得の行く組み合わせになってるよね。たくさんのファンが見に来てくれたし、ジョイント・ツアーは成功だったよね。やってよかったよ。

――『The Chronicles~』では「Mountain」と「Ghost of You」の作詞にクレジットされてますよね(マデン兄弟との共作)。今まで以上に曲作りに参加したのではないですか?

ビリー:普段はギターパートを書いているんだ。いつもはベンジーとジョエルがアイデアを出して、アコギでメンバーに披露するんだよね。僕は自分のパートだけを書くんだけど。まるごと1曲作る自信がなかったんだ。他のメンバーのところへ持って行って“これはどう?”なんて言える自信がね。というのも、僕はこれまでバンドでプレイしてきたような曲よりも、もっとダークで、メランコリーな曲が好きなんだ。“自分にぴったりの曲がある”っていつも思ってた。

――ぴったりの曲?

ビリー:うん。休暇でガールフレンドとタヒチへ旅行したときに、ギターを持って行ったんだけど、そこで、気に入った場所に腰を下ろして、適当にギターをかき鳴らしたんだ。そのときに、アイデアが生まれた。きちんと記録しておきたかったから、旅行にはビデオカメラを持っていったんだけど、レンズにキャップをして、映像は映さないで、ギターの音だけを拾うようにしたんだ。自宅に戻ってから、収録したものを起こして、デモを作った。そして、手を加えてレコーディングしたんだ。

――なるほど。それで「Mountain」と「Ghost of You」が生まれたんだ。

ビリー:「Mountain」はずっと前から自分たちのものになっている気がする曲だね。エンディングを壮大にしたかったから、“こうしたらどう?”って感じでちょっと書き足したりもしたんだ。クールに仕上がったよ。

――確かに壮大なサウンド感が出てますよね。

ビリー:ずっと自信が持てなかったんだよね。“ベンジーとジョエルはすばらしいソングライターだけど、俺はギタープレイヤーで結構”って感じでさ。でも、ミュージシャンである前にアーティストなんだよね。だから、クリエイティヴなエネルギーがあるし、無数のアイデアがある。それらを閉じ込めておくのはうんざりだよ。好みは関係ないってわかったんだ。バンドはこれまでと違ったテイクを使えるし、新しいタイプのインプットがある。そういったことで、自分で曲を書いてみたんだ。みんな興味を示してくれたよ。次のアルバムでも、書くつもりだよ。すでに数曲出来上がってるんだ。今後もっとたくさん書こうと思ってる。

――それは楽しみですね。ポップな曲よりダークな曲が好きなんですか?

ビリー:絶対にダークがいいよ!グッド・シャーロットの作品のダークな面は僕が影響を与えてるね。『The Young And The Hopeless』はポップで明るい感じだったよね。あの作品ではストリングスやピアノを使ってオーケストラ的なバイヴでプレイしたかったんだ。悲しいパートでは、本当に暗く悲しく、ハッピーなパートでは、心からハッピーに表現したかった。白紙の状態から作ることが出来て、良かったと思うよ。

――メンバーの曲の好みを教えて。

ビリー:バンドの中では、ジョエルがハッピーでアップリフトな曲を好み、ポールは奇妙で美的なもの、そしてベンジーはダーティなパンク・ロックが好きなんだ。言ってみれば、野心的なダークさが好きかな。こうした全ての揃った作品を聴くと、“生きて行こう!”って思うだろ?これはハッピーでアップリフトだ。あと、「Predictable」のビデオがあるんだけど、これがとてもダークなんだ。多彩でバランスがとれてるから、すごくクールだよ。

――それは見たいですね!ライヴのときに気をつけてることはありますか?

ビリー:ライヴのときは、ファンに“クールなショーだった!”と思って会場を去ってもらいたいよね。これまでにも多くのコンサートを観てきたよ。Tシャツとジーンズでステージに登場して、演奏するのもクールだけど、マリリン・マンソンナイン・インチ・ネイルズみたいに、クールなファッションでキメて、巨大なステージとライトがあって、細部にまで指導が行き届いてるのも凄い。“高いカネを払っただけの価値はある”って感じだ。大切なのはエネルギーに満ちた、観客とインタラクティヴなショーを行うことだね。キッズたちが全てを忘れ、楽しんでくれることがいちばんだよ。

――ところで、アルバムのカヴァーアートを手がけてますよね。アートに興味を持ったきっかけは何?

ビリー:5歳の頃からアートにかなり熱中していたんだ。ディズニー映画を観て、スクリーンに登場するキャラクターを描いてた。だから、アニメかコミック、または何らかの形でアートの仕事がしたいと思っていたんだよ。ギターを弾き始めたのは15歳の頃からだね。イラストは、白紙の状態から描き上げるんだけど、音楽も同じだよね。何もないところから、頭に浮かんだものを形にしていく。クリエイティヴなことが好きなんだ。ティーンエイジの頃に音楽がアートに取って代わった。絵を描いたり、漫画本を集めたりするよりも、ロングヘアでギターをプレイするほうが、クールだと思ったんだよね。その頃はアートから離れて、ミュージシャンになりたかった。

――アートへの興味はだんだん薄れてしまった?

ビリー:音楽が実を結んだけど、アートへの情熱を抑えることはできなかったな。今でもいつも何かを描きたいと思ってるよ。2年くらい前から、狂ったように絵を描き始めて、再びマンガへの興味も湧いて、子供の頃に好きだったことをやり始めたんだ。

――狂ったように(笑)。

ビリー:そう(笑)。音楽もアートも同じくらい好きだから、バランスをとるのが難しいんだよ。イラストを描いていたのは、かなり前のことだし、今は思ったようには描けないね。以前ほどの腕はないよ。でも、アルバムカヴァーに何か描いて欲しい、って言われたとき、やってみようと思った。快く引き受けてチャレンジしたんだ。どの程度のものが出来るか分からなかった。いくつか描いたけど、かなり時間がかかったんだよ。

――そうなんだ?じゃあ力作だね。

ビリー:スタジオでは昼から夜中までレコーディングが続いて、そのあと、部屋へ戻って、朝の5時までカヴァーアートの作業をした。それから6時に寝て、昼前に起きて、またスタジオへ戻るといった毎日だった。毎日、明け方まで描いてたんだ。

――すごいスケジュールだなぁ。

ビリー:大変だったけど、仕上がったときは最高の思いだった。“アルバムには俺が作った曲もあるし、アートワークも手がけてる”ってね。できれば、次のアルバムでも引き続き同じことをしたいな。バンドに“目で見て楽しむ要素”があるのは素晴らしいと思う。ロブ・ゾンビなどもアートワークを手がけてるし、ビデオ監督やステージデザインも行なってるよね。トゥールのアダム・ジョーンズもそうだ。“これはトゥールの作品”“あれはロブ・ゾンビ”って言うのと同じに、“このアートワークはグッド・シャーロットのビリー”って感じで受け止めてほしいんだ。サウンドと同様にビジュアル面も大切だと思う。とてもエキサイティングだったな。

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