＜TOUR「ジャイアニズム痛」＞2006.5.19＠NHKホールレポート

＜TOUR「ジャイアニズム痛」＞2006.5.19＠NHKホール　レポート

【SET LIST】

1. dogma

2. ビルドゥングス・ロマン

　～フレディー

3. liveEVIL

4. ジャイアニズム痛

5. Believe

6. love tripper

7. 東京傷年

8. Nadirecur

9. ジャイアニズム誤

10. ジャイアニズム惨

11. 真実の花

12. M-aria

13. 勿忘草～Kの葬列～

14. 茜

15. HATE

16. ネオテニー

17. バックストリート・チルドレン

18. クラッシュ！ナイトメアチャンネル

19. 自傷

EN1

1. トラヴェル

2. 惰性ブギー

3. 極東乱心天国

4. 時分の花

EN2

1. Star[k]night

最新アルバム『anima』を携えて敢行した＜ナイトメア
2006 [anima]lism＞から、わずか２ヵ月のインターバルで行なわれた＜ナイトメア
2006 TOUR「ジャイアニズム痛」＞。今ツアーは東名阪の３公演のみではあったが、その最終日となった５月19日、東京・NHKホールでのライヴは、ベスト・アルバム的な選曲と加速度的にバンドとしての精度を高めているパフォーマンスにより、これまでのナイトメアの集大成と呼べるステージとなった。

オープニングから、『ナイトメア完全完売集　ジャイアニズム　～俺の物は俺の物～』（インディーズ時代にリリースされた完売作品の音源を多数収録したコンプリート・アルバム）収録曲である「dogma」「ビルドゥングス・ロマン」を続けざまにプレイ。そして、新領域に達したサウンド・メイクでバンドの進化を印象付けた最新シングル「livEVIL」へと一気に畳み掛ける。

「久しぶり！　イイ感じじゃないか。お前たちのジャイアニズムを見せてくれ！」というYOMI(Vo)のMCに応えるように、オーディエンスもさらにテンションを上げていく。

咲人(G)のしなやかなリードと、柩(G)のアグレッシヴなバッキングによるアンサンブル。Ni～ya(B)の奥ゆかしく安定したビートと、RUKA(Dr)が叩き出すダイナミズムと繊細さを兼ね備えたリズム。その中でありったけの感情を込めて力を振り絞るように歌い、オーディエンスと対峙するYOMI。それぞれの何が欠けても完成することはできない、ナイトメアの魅力の原点を見た気がした。

ライヴ中盤のこと。初めてのNHKホールということで、柩が「NHKって何の略だか知ってる？」とYOMIに振ったところ、「日本放送協会」と見事一発で正解。すると「一発で当てちゃったらつまんないじゃん！」ということで、他のメンバーにもNHKにちなんだ“あいうえお作文”を出題。「ナイトメア　柩　協会」(YOMI)、「Ni～ya　ホントは　気持ち悪い」(Ni～ya)と続けて爆笑をさらい、お次は咲人。しかし「あいにくそういうネタは持ち合わせていないんですけど…」と激しく照れまくり、考え込んだ末に「ナントカ　ホントニ頑張って　ここまで来たぞ」と現在の心境に重ねた回答でメンバーとファンを湧かせた後、YOMIが「紅白に出られるような、大きいバンドになりたい」と決意を熱く語った。

そして、メロウなミドル・チューン「真実の花」をしっかりと聴かせた後は、「HATE」「ネオテニー」とクライマックスへ向けてさらにヒート・アップしていく楽曲を連発して本編が終了。絶叫のようなアンコールに迎えられ、Ni～Yaが咲人をおんぶしてステージに登場すると、そのまま客席にダイヴ！　こうした茶目っ気に加え、「みんなが俺たちを必要としてくれるなら、もっともっといいバンドになっていきたい」(YOMI)と言う言葉が象徴するように、ファンとの絆を大切にし、その期待を裏切らないからこそナイトメアを愛さずにはいられないのではないだろうか。この日のラスト・ナンバー「Star[k]night」で大合唱するオーディエンスの声を、全身で受け止めるように両手を広げたYOMI。すべての演奏が終わった後も、名残惜しそうに客席を隅々まで見渡し、達成感に満ちながら気合を新たにしたかのような清々しいメンバーたちの表情が印象的だった。

写真●宮脇進／文●望木綾子