──SOPHIAのデビュー10周年である2005年の1stシングルであるこの曲は、
どのようなテーマで作られた作品なのでしょうか?
松岡: “イチバンタダシイコタエ”を探すのはどんな時か?っていうと、辛い時しかないんですよ。
何か壁にブチ当たってる時とか、ダメージを受けてる時。ここから抜け出すためにどの道を行けばいちばん正しいのか? ラクになれるのか? って考えてる時だと思うんです。僕が今、何も悩みがなくてすべてに満足してたら“イチバンタダシイコタエ”をわざわざ考える必要はないんですよね。
これは僕の勝手な予想ですけど、この曲が響くのは、何か悩みを抱えてたり、壁にブチ当たってたり、“この現状から脱しなきゃいけない”ってもがきながら、でも諦めてない人たち。または、今は幸せでも、そこにたどり着くまでに何か辛いところから頑張って幸せになれた人。あと、傷ついたことがある人。傷ついた人に対して優しく手を差し伸べたことがある人。そういう人に届くと思うし、そうあってほしいという僕の願いもありますね。
──松岡さん自身、悩みがないわけではないと。
松岡: 悩みだらけですよ(笑)。
──けど、そういう悩みすら肯定してくれるような大きい曲ですよね。それに、何も知らずにパッと聴いても、“いい曲だな”と思える親しみやすさがあって。演奏する上で何か気を配ったことはありますか?
豊田: 何も気負ってへん。10周年とか、今年一発目のシングルとかいろいろあるけど、俺自身は何もそんな気にしてへんし、いつもただ目の前にある楽曲をどう自分でベストを尽くすかっていうだけで。だからええ感じに、ええ曲作ろうって気持ちだけで演奏してますね。それだけ大事にしてたらええんちゃうかな。
──10年というキャリアを重ねながら、そういう気持ちをキープする秘訣は何かあるんでしょうか?
豊田: ………何やろな? 考えたことないな(笑)。
黒柳: すごい、自然にやってると思うよ。自分たちは自分たちのことをカッコイイと思って、カッコイイものをみんなに見てもらおう、聴いてもらおうって思ってるだけだから。
リーダー(松岡)が詞を書いてる時に考えてることとは、また違うスタンスというか言葉で表現しない部分を僕らは持ってて、 でも結局は“カッコイイものを作りたい”とか“いいライヴをしたい”って気持ちは同じで。
それをやりたくてここまできたっていうのが正しいんだと思う。だから、みんな“続けてきた”とは思ってないんじゃないかな。 バンドって、学校みたいに入学して卒業があるわけじゃないし、ゴールがあるわけじゃないから。
都: 僕は、“音に思いを乗せる”って表現が近いかな。ただ単にドの音を弾くのと、何か気持ちがあって弾くのとでは、演奏も違ってくると思うんですね。
僕はそれがバンド・マジックというか、バンドだからこそ、そうなるんじゃないかなって思ってて。 ライヴはもちろん気持ちいい。けど、レコーディングしてる時でも気持ちいいなって思える瞬間があるし、
そういう思いを乗せて、気持ち良く弾けて、それがちゃんとCDになって形になって、みんなに伝わったらいいなと思いますね。
──あらためてSOPHIAって、とても人間くさいバンドですよね。格好いいところも、
時にはコケるところも全部音楽になっていて、曲を聴くことで、バンドという生きものに触れている感じがします。
松岡: たぶんそれが、僕らにとっては普通のことなんですよ。
さっき黒ちゃんが言ったみたいに、自分らでカッコイイと思ってるから出すんだし、 変なところは見せたくない。ただ、“俺ら、コケてる姿もカッコイイんやで”って言うんじゃなく、
いいところもヘンなところも全部ある人のことをカッコイイと思ってるんですね。 エンターテインメントよりもリアリティのほうが大事っていう。
──なるほど。最後に、4月23日からツアーが始まりますが、全国で待っている人たちに何か一言。
豊田: ライヴは久しぶりやから、いっぱいいろんな人に見てほしいなぁ。自分もすごい楽しみなんですよね。
過去の楽曲や新しいのも織り交ぜて演ると思うけど、その中で今現在のSOPHIAが顕著になると思う。 自分としては、何をやっても気持ちいいし、そういうのってステージにすごく出ると思うんですよ。
今までのSOPHIAを知ってる人でも、“あれ? SOPHIAってこんなバンドやったっけ?”って思うかもしれへんから、 ぜひ聴きに来てほしいですね。
赤松: 最近、表に出てないけど、ちゃんと動いてるから。 ここんとこ結構、みんなもSOPHIAに触れる機会がなかったと思うから、ぜひ来てください。
ライヴのメニューは一緒でも、同じことは二度とできません。だからいろんな場所に聴きに来てください(笑)。
取材/文●梶原有紀子
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