クアトロで見せた、赤裸々なMIOの“模索する痛い”思い

| 静かにステージに現われたMIOが、静かに歌う”NANOSECOND”。声の震えが伝わるような儚さと、幻想的な雰囲気でライヴは始まった。そして2曲目の”灰色の太陽”で、MIOは涙を見せた。
3/29に大阪・心斎橋クラブクアトロに続き、東京でもライヴを行なったMIO。この日の観客は男女とも半々……、やや女性が多いだろうか。二十歳前後の人が多いように思える。この、元気で体力のありそうな層が、みな一様にMIOの声にじっくり耳を傾けている。そう、あまた存在する女性シンガーの中でも、MIOのうたは、やはり、じっと聴きいってしまう。と同時に、「なにをそんなに思いつめているのだろう?」とMIO本人をじっと見つめてしまうような、「痛い」ものだと感づくのだ。常にナーヴァスな姿勢で、すべての物事に意味を持たせるために模索するような……。 |
![]() |
ライヴ後、「大阪でノドを壊してしまい、声がうまく出なくて。それが気になって、バックとちゃんと合わせられなったのが悔しかったんです」と話してくれたMIO。それと同時に「ここにいる意味」を考えて、涙を流したのではないだろうか。 真正面から直視する勇気もなく、追求すると壊れてしまいそうな恐怖に目をそむけてしまう、自分の存在、その「場所」と「意味」……。いつも潜んでいる根源的テーマにMIOは等身大に立ち向かう。我々の代弁者としてのMIOの歌は、とても痛く、そして優しい。 |
|
●星野まり子
|
《セットリスト》 ナノセカンド 《encore》 |
