【速レポ】<SATANIC CARNIVAL 2026>四星球が求める“最高のライヴ”「悪魔に魂を売ってます。みなさんの笑い声を聞くために来たんです!」

いきなりだが、四星球にとっての「リハーサル」とは何なのだろうと考えてしまうオープニングだった。
本番前約10分のサウンドチェックのためステージに上がった4人はまず「ふざけてナイト」を演奏し、《ふざけてないと/泣いちゃうの》というリフレインを観客も大声で歌っている。まあ、ここまではよくある光景。限られた時間で勝負するフェスだからこそサウンドチェックも本番も本気で鳴らすというのはよくわかる。ただ、四星球の場合は「何を演奏して欲しいですか? B’zか、ミスチルか、スピッツか、イエモン。どのバンドの曲がいいですか?」というアンケートを採りだすのである。しかもその回答権をステージ前に仁王立ちしているセキュリティのお兄さんに託し、お兄さんが「ミスチル」と答えると、本気の「シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜」がスタート。さらに北島康雄がセキュリティのお兄さんをステージに上げて1コーラス半分を歌わせるもんだから(歌えていなかったけど)、四星球の演奏による贅沢なカラオケ大会を目の当たりにした観客は大盛り上がりだ。
それでさすがにサウンドチェックの時間が終了かと思いきや、今度は「こういう激しめのフェスに出た時に、セキュリティさん達の打ち合わせ現場を見たことがあって。『〇〇っていうバンドはモッシュとダイヴが多くて、〇〇っていうバンドもかなり激しい。あと四星球っていうバンドは……うーん、そういうんじゃない』って言われてました」というトークで笑いを誘う。そんなこんなでステージ袖にはける時間もなくなり、「あっ! 本番まで時間がない。じゃあもう、ここで着替えていいですか?」のひと言で生着替え開始。加藤茶のお色気コントのあの音楽をしっかり流しながら、あっという間にブリーフ&法被コスチュームが完成。一応、ここからが本番タイムだよね……と思ったら、北島が脱いだパンツを手に持ち、「これ履かせたろか?」と観客ににじり寄り、「履かせたろか? 履かせたろうか? ん? 葉加瀬太郎さん!」というまさかのダジャレを発動。すると葉加瀬太郎に扮したモリスが「情熱大陸」に合わせて登場し、ダンボール製のヴァイオリンを脇に抱えつつドラムに鎮座した。


……と、ここまでがサウンドチェックからライヴ開始までの流れ。サウンドチェックについて何文字使ってるんだと怒られそうだが、「履かせたろか?」に至るあまりにスムースな流れを逆算していくと、セキュリティのお兄さんをステージに上げた初っ端の「シーソーゲーム」すら完全なる計算だったのではと思ってしまう。当然、サウンドチェックを丸ごと伏線にするのは“最高のライヴ”のためである。
「(このひとつ前の時間にやっていた)マキシマム ザ ホルモン、素晴らしいライヴでした! マキシマム ザ ホルモンとは昨日も同じイベントに出ていたんですけど、ホルモンの何が素晴らしいって、昨日のイベントとセットリストが全然違うんですよ! こんなにフェスが多い中で、毎回セットリストが違うのは本当に凄いことなんです! 僕達? 僕達は昨日とまったく同じでお送りします!」という話でさらにひと笑いを起こしつつ、(一応)本番の1曲目「鋼鉄の段ボーラーまさゆき」がスタート。

四星球と言えば!の段ボール小道具を手掛けているまさやん(G)を思い切り押し出すというのがこの曲の表面上のテーマだが、《作れないものはない》という歌を一枚めくれば「自分達の居場所は自分達で作る」というロックバンドの根本姿勢を表明しているように感じるし、まさやんによる《「ひょっとしたら僕自身段ボールなのかもしれない/だって涙によわいんだ。」》の呟きは、四星球の持ち曲「コミックバンド」で歌われている《僕の好きなロックバンドも/君の好きなロックバンドもきっと/ドリフターズで大人になったはず》《それは涙のルーツにも/笑いがあるということの立証》という四星球の核心に紐づいている。それこそサウンドチェックでやっていた「ふざけてナイト」の《ふざけてないと/泣いちゃうの》もそうだが、四星球が狂気的なまでに笑いを求めるのは、ほっといたら涙とか痛みとか苦しみにまみれてしまう日々に真っ向から立ち向かうためなのだ。そのための武器として笑いを求め、笑いを生むために段ボールを組み立て、笑うこと自体が命の根源だという歌を歌うのである。大げさかしら。しかし、四星球のライヴがただ“楽しい”だけで終わらない理由はそこにあると思うのだ。
笑いを入り口にしつつ“私達はどうして笑いたいのか”を徹底的に見せてくれるから、このバンドの音楽はFunよりも人生に対峙する闘争心を生み出していく。「Mr. Cosmo」の間奏でU太が四星球の音楽とは何なのかを口にするひと幕があったが、一瞬言い淀みながらも「パンクです!」と言い放った姿には完全同意だ。ただ享楽的に笑うための音楽ではなく、全然大丈夫じゃないから笑おうとする切実な願いの音楽なのだと、僕は思う。


「UMA WITH A MISSION」では、サビ前で観客を座らせてから一気にジャンプさせる“よく見るアレ”を“生まれたての馬が立ちあがろうとする場面”に置換し、「UMA WITH A MISSION」をメロコアアレンジした「馬コア」ではこれまたフェスでよく見るようになったサークルピットを“競馬”に見立て、様式美となってしまったものをアイデア一発で「なんだこれ」に転覆させていくところが最高だ。ただ笑える以上に、何かがひっくり返るところが痛快で面白い。四星球の凄まじさが短い時間に凝縮されているライヴだ。
「どんなもんだい」では葉加瀬太郎にちなんだクイズをインサートし、観客参加型の葉加瀬大会を開催。さらに「葉加瀬は葉加瀬でも……」のひと言から「クラーク博士と僕」へ雪崩れ込む。ピットに突入した北島は「サタニックのプロデューサー・I.S.Oさんの息子さんが四星球のこと大好きなんやって! 一生懸命PIZZA OF DEATHで働いてきて、そしたら息子が四星球好きって……I.S.Oさん、俺らが息子さんをコミックバンドマンにさせます!」と叫び、さらに「存在する音楽の中で、最も気狂いと言われるのがコミックバンド。笑ってもらうためやったら、何でもやる。まさに悪魔に魂を売ってます。みなさんの笑い声を聞くために来たんです!」という言葉でこの日に対する想いをぶつけてみせる。

そして、ラストに披露された「薬草」で歌われたのは《薬草でも 雑草でも 脱走しておいで/約束でも ヤケクソでも 脱走しておいで/死にたくなったらこの歌を 思い出してほしいんだ/思い出しやすいメロディだ 思い出してほしいから》という四星球の心臓。四星球のメロディが童謡のように優しくシンプルなのは、聴く人がいつでもポケットから出せるものであって欲しいという願いゆえだろう。ふっと自分が消えてしまいそうな毎日だからこそ、笑いを求める。笑いを求めるからこそ、命が光る。そんな闘いだらけの毎日を転がるための闘争がこの音楽になっているのだと、大笑いの中で伝える最高のアクトだった。
そうそう、ラストも完璧だった。「葉加瀬さん、ヴァイオリンの弦を替えたいそうです。弦と言えばGENちゃん、葉加瀬さんをSATAN STAGEまで連れていってあげてください! 次は04 Limited Sazabys!」という言葉で1日のリレーを繋ぐところも最高。本当に「コミックバンドが気狂いと呼ばれる」のかは知らないが、四星球の人間に対する狂気的な執念は本物だろう。
文◎矢島大地
撮影◎スズキ コウヘイ
◆BARKS内<SATANIC CARNIVAL 2026>特集
◾️セットリスト(EVIL STAGE)
1. 鋼鉄の段ボーラーまさゆき
2. UMA WITH A MISSION
3. 馬コア
4. どんなもんだい
5. クラーク博士と僕
6. Mr.Cosmo
7. 薬草
■<SATANIC CARNIVAL ’26>
6月6日(土) 千葉・幕張メッセ国際展示場1-3ホール
6月7日(日) 千葉・幕張メッセ国際展示場1-3ホール
◯物販 / FOOD AREA:open9:00
◯ライブ観覧エリア:open10:00|start11:00 ※予定
▼6月6日(土)出演者
10-FEET / バックドロップシンデレラ / FC FiVE / Fear, and Loathing in Las Vegas / FOMARE / ハルカミライ / HERO COMPLEX / HEY-SMITH / Ken Yokoyama / Maki / MAYSON’s PARTY / MONGOL800 / サバシスター / SCAFULL KING / SHADOWS / SPARK!!SOUND!!SHOW!! / Suspended 4th / ヤバイTシャツ屋さん / 山嵐 / [OA] カライドスコープ
▼6月7日(日)出演者
04 Limited Sazabys / Age Factory / dustbox / ENTH / 花冷え。 / HIKAGE / Knosis / マキシマム ザ ホルモン / OVER ARM THROW / Paledusk / ROTTENGRAFFTY / SHANK / SHE’ll SLEEP / SiM / 四星球 / THE FOREVER YOUNG / 打首獄門同好会 / View From The Soyuz / w.o.d. / [OA] Launcher No.8
関連サイト
◆BARKS内<SATANIC CARNIVAL 2026>特集
◆<SATANIC CARNIVAL> オフィシャルサイト
◆PIZZA OF DEATH オフィシャルサイト







