【連載】Hiroのもいもいフィンランドvol.161「Negativeが13年ぶりに復活!ヨンネ・アーロンインタビュー

昨年秋に突然Negative復活のニュースが飛び込んできた!2000年代絶大な人気を誇ったヨンネ・アーロン率いるフィンランドのロックバンドNegativeがなんと今年13年ぶりに活動再開することが発表になった。

13年前ヨンネが歌詞フィンランド語のソロ活動を始めバンドは活動休止になった。当初はソロアルバム1枚発売し1年活動の後バンド活動再開予定だったものの、ソロで年齢層幅広く人気が出て、2年、3年、、、どんどんソロ活動が長引いていき、Negativeの復活はほぼあきらめていたので今回の復活のニュースにはほんとにびっくりした。最初に発表になった公演は今年8月1日バンドの地元タンペレのスタジアムで開催されるManserockことタンペレロックのスペシャルイベントに出演だった。できれば単独公演で観たいなと願っていたら、やったー!5月にヘルシンキのAllas Sea Pool にて単独のカムバック公演が発表になったではないか。これは見逃せない!久しぶりにヨンネに話を聞きたいと思い、取材を申し込んでみたところ、その公演前に会場でヨンネがインタビューに応じてくれることになった。会うのはほんとに久々で、次の質問をしなくても前の質問からこちらが考えてた質問がまるでわかってるかのように話がどんどん続き時間オーバーするほどたくさん語ってくれた。

──今日は13年ぶりのNegativeのライブですが、今の気分は?
ヨンネ:この質問をもう何年も待っていた。聞いてくれてありがとう。驚くほど穏やかで、もちろんポジティブな気分でもある。この日に備えて個人個人、そしてメンバーみんなでもかなり練習をしてきた。久々にトレーニングルームも借りたんだ。スタジオ入りに向けて夏の間もそこで新しい曲の練習をするつもりだ。自宅にあるホームスタジオでそのベースとなるものの準備はしてきたんだけど。緊張とともにいい気分、、、いや、実際のところ緊張は全く感じないな。ほらスーパーで炭酸ジュース買ったり果物買ったりお店にいるような気分。でもイントロのテープが流れだしたら感じるかもしれない。そのイントロも自分で作ったんだよ。
ソロ活動を始めて、1枚のアルバムではまだ途中に感じた。Negativeに加えて別のキャリアを築き上げたかったんだ。カントリーとかウエスタンとかいろんな音楽が好きで、そういうのをソロで表現する必要があった。それに3枚のアルバムと13年がかかったけど、今こうやって戻ってきた。俺たちは人間として成長した以外何も変わってない。成熟したミュージッシャンになった以外はね。

──Negative復活についてはいつ頃考え始めたのですか?
ヨンネ:復活についてはもうずいぶん前から頭にはあったんだけど、無理かなと思う時期もあった。ほら凧のようにするする高く舞い上がってしまってもう手元に戻すことができない感じ。わかるかな。風船が手から離れて飛んで行ってしまうような。でもこう風船が周りをまわってた時にしがみついたんだ。4年前にベーシストのアンッティに30周年について電話してみたんだが、その時にはまだ俺とアンッティの見解には相違があった。バンドは俺たちみんなのアイデンティティだったところ、自分はソロキャリアを始めて、一緒にやっていたバンドから他のメンバーを残して一人だけ自分の道を進むために抜けてしまったので彼らがやりたかったNegativeを続けることができなくなり、よくは思ってない気持ちは充分理解できた。

ヨンネ:一番最初にNegative復活に関してアンッティに電話してみた時、双方の見解にはかなり相違がありもう同じバンドで演奏するのは無理だとまで言われ、コンタクトも途切れた。そんな難しい状況だったので、歌詞フィンランド語のソロキャリアに集中して、他の国内外のアーティストに曲を作ることに専念した。なので家にスタジオも作ったんだ。
ところが幸運にも俺たちのツアーエージェントのティーナ・ヴオリネンがバンドの復活に興味を持ってくれて、外からの力が加わり公演を提供してくれた。実は1年前にノキア・アリーナ公演の予約が取れてたんだ。ただマネージメントやエージェントが別でなくてはならなくて難しい状況でそれは結局キャンセルになった。とにかく水面下ではいろんなことが起こってはいたんだ。できる限り最高のライブをやって観客が楽しんでくれるという俺たちのポリシーの元に。そのためには俺たちのまわりにできる限りプロの人達を集める必要があった。
俺たちのバンドは最初っからギタリストが不運続きだった。ジュリ、ミロ、クリストゥス、ラリー、ひと夏の間ギャリー、それからハタ。そして今新ギタリストマックス・フェンダーが加わった!彼は永遠に残るよ(笑)。マックス・フェンダーの名前の元に素晴らしい才能のあるギタリストが見つかったんだ。今日お目にかかれるよ。天からの贈り物のようだ。ほんとはLordiからギタリストを盗まなきゃいけなかったんだけど(笑)それは成功しなくて、灰の中から現れたのが彼なんだ。マックスは隠された宝なんだよ。とても才能あるやつで、マルチプレーヤーでギターに限らずチェロも演奏するし、いろいろな楽器を演奏することができる。

──長い知り合いだったのですか?
ヨンネ:いや(笑)知り合ったばかりなんだけど、もう長く知り合いな感じがする。彼はとっても意欲的で、エキサイトしているよ。彼のコンセプトは俺たちに合う。
── 彼はステージの上ではマスクをつけてるのですよね?
ヨンネ:彼はミステリーマンでなければいけない。ほらバッドマンとかのようにね。
── 夏はフェス出演が発表になってますが、その後の予定は? 新曲を期待していいですか?
ヨンネ:来年2027年はバンド結成から30周年を迎えるんだ。Negativeが結成されたのが1997年なんだ。なのでお祝いの年になるし、来年には100%新しい曲が聴けるよ。それから何かビッグなことも。
──ノキア・アレーナ公演とか?
ヨンネ:うーん。もしかしたらオリンピックスタジアムかもしれないよ?どうなるか待ってみよう。何か素晴らしいことをする予定だ。バンドの他のメンバーに言ったんだ。Negativeは新しくよみがえる。瓦礫の中から新たに建ち上がるんだ。最後にやったライブから13年が過ぎていき、その間に俺たちは成長して影響を受けるものも変わってきた。それはとても自然なことで、人生には限りがあり、様々な節目がある。俺たちは若い頃と同じである必要はない。若い頃持っていた情熱は心にそのまま持ち続け、新しくバンドを結成しようって。プロとしての意識、人生観、そして経験を積んできた。昔は俺達にはドアが一つ開いていたが今はすべてのドアが開いた。わかるかな?音楽は様々なものから受ける影響や経験から生まれる。今俺は感謝の気持ちでいっぱいだ。ドラマーのジェイも言ってた。長い年月が経った今、こうやって俺たちに与えられたすべてのことに感謝しなければならないって。まさにその通りに思うよ。
すごく長い時間が過ぎていき、その間いろんなバンドが登場していろんな音楽が生まれてきた。Spotifyも登場した。俺たちが活動してた頃はまだなかった、、、か、ちょうどやってくる前だったか。それの登場により今はストリーミング回数により曲がヒットするかどうかが大きく左右されるようになった。最近は1曲がアルバムであり、1曲づつリリースしながらツアーをする。これまでアルバム1枚に使っていた時間を違ったテーマの10曲それぞれに使い、例えば1曲リリースして夏のツアーを行い、また1曲リリースして秋のツアーを行うといった具合に、最近は昔とは状況が変わってきたよね。
新しい曲についてはいいアイデアが生まれてきていて、何か新しいちょっと違ったもの。昔の俺たちの曲を聴いてくれてた人達にはなじみなサウンドに何か新しいもの、映画のような。映画のサウンドトラックが好きなんだ。その音楽にはなんかこう独特の雰囲気がある。そういう音楽で感じるもの、それを大きなスケールで伝え入れたような。AC/DCの曲はどの曲もAC/DCに聴こえるよね。俺たちの曲も俺たちに聴こえる要素に加えて何か新しいものが加わる。フレッシュ&クリーンって感じ。言葉で説明するのは難しいけど、聴けばわかってもらえると思うな。

──ソロの曲は歌詞がフィンランド語だったので、ツアーもフィンランド国内でしたが、Negativeではまた国外ツアーに出ることも予定にありますか?
ヨンネ:もちろん、もちろん!これまでに国際的に5枚のアルバムを発売してて、日本にも何度も行ったし、中国とかヨーロッパ、メキシコにも行った。一番最後のアルバムのレコーディングはロスでやって、俺たち自身成長してきてるのがわかったのはよかった。俺自身アメリカのポップカルチャーが好きなんだ。映画音楽。そこから素晴らしいものがたくさん出てきた。それからイギリスも。でも一番好きなのがチベットの山岳音楽なんだ(笑)。
──え、チベットですか。じゃそれらが次のアルバムに影響を与えるってことですか?
ヨンネ:あ!そうだな。最初は冗談のつもりだったんだけど、それいいよ。自分が好きなものだし。俺は自分のアルバムが発売になった後、自分では聴かないんだ。俺はクリティカルな奴で、聴くことができないんだ。楽しむことができない。なので発売になった自分のアルバムは聴かないで先に進むタイプなんだ。まずはじめにライブはこの夏7公演ほど予定が入っている。前作のアルバムは配給がワーナーで、日本は例外でビクターエンタテインメントから出てたけど、もう契約は切れてるから興味を持ってくれて、マーケティングをやってくれる日本のレーベルが見つかることを願っているよ。そこから先に進んでいけるといいな。今日のライブを観たらわかると思うけど、Negativeは素晴らしいライブバンドなんだ。世界は俺たちが必要だ。俺たちのライブではバッキングトラックは使わない。すべて生演奏で、基本になるものはできてるが、その時の状況によってジャムセッションみたいに曲が長くなったりと曲が生きているんだ。最近はバッキングトラックを使うアーティストは多くて、個人的には生ライブでやるのが好きだけど、それはそれで評価する。いろんな音楽を聴いててAviciiを発見した。残念ながら他界してしまったけど、とても才能あるアーティストだ。新世代のカート・コバーンじゃないかって思った。EDMの曲を作ってたら頭の中でそのフォーマットを見つけたんだけど、それはただ作る側にいるだけで、Negativeとは関係ないが、自分の情熱を成長させていく感じだ。

──Negativeで日本には何度も行きましたが、今振り返ると何を一番に思い出しますか?
ヨンネ:渋谷周辺、あと成田空港。紙製の日本の凧をまだ持ってるんだ。額に入れて飾ってある。小さいのを何個かもらったんだけど、自分で大きいのを2つ買ったんだよ。(ちょっと待ってと凧の写真を探して見せてくれる。)それを(タンペレの)ハメーンカトゥ通りのお店で額に入れてもらい、今でもうちの壁に飾ってある。それから思い出すのはフレンドリーな人達と料理がすごくおいしかった。そしてクリーンだった。煙草の吸殻さえ落ちてなかったし。それと後で見つけた映画「ブレードランナー」を思い出した。俺の中に未来的なものが好きな奴がいて、アルバムタイトルにもついてたけどネオンのライトとか、夜雨に濡れてネオンライトがうつし出される通りとかとっても好きなんだ。東京がちょうどそういうイメージがある。行ったことはないけど、写真とかで見かけたNYにも似たものがあると思うな。Negativeでまた日本に行けることを信じて実現を祈っているよ。バンドでなくても家族でホリディで日本に行くのも素晴らしいだろうな。ほらカントリーサイドを訪ねる旅。新幹線に乗っていろんな町を周って、それぞれの町を感じとるそういう旅をやってみたい。音楽とは全く関係なく、息子と妻と一緒に町を周って旅する。俺の夢の一つだよ。
あ、日本の話が出て思い出したんだけど、CCレモンってジュースがあるよね。今では俺なんにでも生のレモン汁を絞って入れてるんだ。朝オートミールにも入れるし、紅茶にも。最近紅茶が好きで、ブラックティーとかザクロティー、ブルーベリーバニラティーとか、バニラ好きなんだ。そういう自然からとれるものがいいな。

ヨンネ:俺たちのバンド名はNegative(ネガティヴ)だけど、ポジティブでいたいんだ。何か嫌なことがあったとしても、雲の向こうには必ず太陽がある。ほら飛行機に乗れば気がつくよね。そういう気持ちの持ち方をしてる。長い人生の中で嫌なことはほんの少しで、そのたびに打ちひしがれる必要はない。感謝して楽しむ。そうすれば幸運は何倍にもなって返ってくる。同じく人に良いことをすれば、それは自分にも返ってくる。例えば声を出すためにトレーニング ハンマーを試してみてたら母がやってきて足が痛いというのでそれをプレゼントした。自分用にまた同じものを買って、週1回通ってるジムに持って行ってたら、今度は弟が来たので、これ使ったことあるか?ってそれを弟にプレゼントした。そして昨日又自分が必要になったから同じものを買った。クリスマスプレゼントにすればよかったのに、その時は思いつかなかった。でもあとで渡して、相手がそれを必要としてもらって喜ぶ様子をみたらとてもささいなことだけど、あぁ、プレゼントしてよかったと心から思えたんだ。どこかに呼ばれて行っても、出されたものの最後の一つは自分でとらずに他の人に譲る。自分の息子にも自分がお手本になって教えていくつもりだ。幸福の感じ方は状況によって人それぞれであるのは理解できるけど、悪い物事にしがみつくか、良い方に目を向けるかは自分で選択できる。それは幸運を開く鍵だと思うんだ。
──では最後にBARKSの読者にメッセージをもらえますか?
「ハロー、ハロー、BARKSの読者と友達のみんな!Negativeのヨンネ・アーロンだ。俺たちはついに13年ぶりに復活する。10年以上が過ぎて行った。日本にもまた行けることを待ち望んでいるよ。素敵な夏と春を!体に気をつけて元気でね。」
ヘルシンキの港のそばにあるプールと観覧車の間のエリアがここ数年夏の間、野外公演Allas Liveの会場になっていて、Negativeのカムバック公演で今年の夏シーズンが開幕した。

待ちに待った開演時間になるとステージにスモークが立ち込め、ドラマーのジェイ・スラマー、キーボードのミスター・スナック、新メンバーでマスクをつけたギターのマックス・フェンダー、ベースのアンッティ・アナトミーがステージに登場し歓声が飛び交う中スタンバイ!オープニングナンバーは「Frozen to Lose It All」だ。スモークの中からステージ中央、マイクスタンドの前にヴォーカルのヨンネ・アーロンがあらわれるとさらに大歓声が沸き上がると同時に「WELCOME BACK」と書かれた紙があちこちから上がり、Negativeカムバック公演がスタートした。

「My My, Hey Hey」「Won’t Let Go」「In My Heaven」とにかく懐かしいおなじみの曲が続く。「Planet of the Sun」のあと、スナックとマックスを残して他のメンバーがステージからさり、なんとインストルメンタルでDire Straits のカヴァー「Brothers In Arms」を演奏。ギターの演奏が始まると拍手がわき起こり、聴き入りながらギターのサウンドにあわせ観客の手が左右に揺れる。


後半に「Believe」と「Still Alive」「Jealous Sky」などちょっとバラード系の曲がはいり、特に「Still Alive」ではなんだか感動して涙がにじんできた。その曲のイントロでメンバー紹介があり、中学の時にまずジェイと出会いバンド結成。教室で隣同士の机で、英語や国語のノートにNegativeの曲を書き始め、学校の壁にソングブックとして貼り付けていた思い出、そしてアンッティが仲間に入った。スナックは何度もバンドに誘った結果、夏至祭のライブで一緒に演奏して以来今もメンバーにいる。それから26年が経ち、今このAllas Sea Poolの夏シーズン開幕のステージにこうして立っている。アンッティとは一時連絡不通になってたことを語るとアンッティは苦笑いをしていた。最後に新メンバーマックスを紹介。歳は重ねても心は若いまま賢くなって進んでいくとスピーチ。デビューシングルの「The Moment of Our Love」ではなんだか熱いものがこみ上げてきた。他にも「Giving Up!」や「End of the Line」を演奏。アンコールは「Naive」と「Sinner’s Night / Misty Morning」で元気いっぱいにしめた。曲を聴くと当時のことが思い出されたり、ノスタルジーにあふれ、感情がこみ上げてきたりで感動のカムバック公演だった。




ライブ前に他のライブでよく見かける若い女性を見かけ声をかけてみた。Negativeが活動休止に入る前、彼女はまだ未成年でなかなか彼らのライブに行く機会がなく(フィンランドのライブ会場は18歳以上の年齢制限付きが多い)1度ライブを観たことがあるだけで、この復活ライブをとても楽しみにしていると語っていた。ライブ後彼女に会ったら、とても感動していたのがすごく伝わってきて思わずハグしあってNegativeの復活を喜びあった。彼女とは歳の差がかなりあるが、好きな音楽聴くのに歳の差も国籍も関係ないことを実感した瞬間だった。
久々にヨンネと話をして、歳を重ね人間的にも大きく成長し、Negative活動再開に意欲を燃やしていることを強く感じた。新しい曲とともに、来年バンド結成から30周年何があるのか今からとっても楽しみだ。彼らと同じ頃2000年代爆発的な人気を誇ったバンドのデビューアルバムから来年が30周年だということにも気が付いた。時がたつのは早いものだ。あの頃のフィンロックが好きだったロックファンにとって来年は何かビッグなニュースが飛び込んできそうな予感がしてきた。その予感あたるといいな。
文&写真(クレジットのある2枚を除く)◎Hiromi Usenius