【連載】Hiroのもいもいフィンランドvol.160「今注目!北欧メランコリーロックの新星HOKKAインタビュー」

2026.05.15 14:34

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元Blind Channel のヴォーカル ヨエル・ホッカと元The Rasmusのギタリスト パウリ・ランタサルミがTikTokで1.4ミリオン以上のフォローワーを持つ若手人気ドラマー イミ・アスラクを迎え結成した新プロジェクトHOKKAから待望のデビューアルバム『Via Miseria IV』が4月24日Nuclear Blastよりリリースになり、フィンランドのオフィシャル・フィジカルアルバムチャート初登場1位、ストリーミングも含む総合アルバムチャート3位にチャートインした。

Pic:Natalie Pastakeda

昨年秋この新プロジェクトHOKKA結成のニュースと同時にリリースになった最初の先行シングル「In The Darkness」を聴いた時、このキャッチャーでメランコリーなサウンド、ちょうど自分がフィンロックにはまった時代、歌詞英語のフィンランドのバンドが爆発的に人気があった2000年代前半から半ば、HIMとかThe Rasmus、Negative、Lovexなどを思い起こさせなつかしさを感じたものの、同時に現代の新しいサウンドがミックスされていてかなり気に入った。その後にリリースになった先行シングルもすべて気に入り、デビューアルバム発売を楽しみに待って聴いてみたら、これが期待通り、いやそれ以上に素晴らしく、しっかり心を奪われてしまった。

アルバム発売日当日ヘルシンキのレコードショップでサイン会が行われ、開始時間の少し前会場についたら、外にはすでに100人ぐらいの列ができていて、私の後ろにも待つ人の列が続いていった。サイン会はヨエル1人で、訪れたファン一人一人と話したりツーショットに応じたりの丁寧な対応していたのが印象的だった。

その後場所を移動し、ドラマーのイミが加わりインタビューとなった。スター・ウォーズ、バッドマン、キル・ビル、ミュータント タートルズまで話が及び、取材を終えてなぜこのアルバムにこんなに心を奪われたかがわかった気がした。

──デビューアルバム『Via Miseria IV』が発売になりましたね。発売おめでとうございます。今の気分は?

ヨエル:素晴らしい気分だ。信じられない道のりだった。

イミ:まったく同じ気分だ。この1年ぐらいの間に信じられないぐらい物事が早く進んだ。そして今こうしてここにいる。素晴らしいな。

──まず最初にこのアルバムの名前『Via Miseria IV』はどこからついたのですか?

ヨエル:パウリがつけた。彼からメッセージが届いて、アルバムにタイトルをつけたって。わかった。なんてタイトル?って聞いたら『Via Miseria』だって。かっこいいじゃないかって言ったらヴィッレ・ヴァロ(HIMのヴォーカル)がこの言葉を考えて、それを採用したって。ヴィッレより先に使っちゃったよ。それをさらにかっこよくして4ってつけたんだ。ほら、スター・ウォーズはエピソード4から始まったじゃない。俺たちの物語も4から始まる。

──ヨエルとパウリは以前メンバーだったバンドで知られてるとは思うんですが、この新バンドHOKKAは日本のロックファンにはまだあまりなじみがないかもと思うのですが、お互いどうやって知り合ったのですか?

ヨエル:俺がTikTokでイミを見つけた。Blind Channelの曲を2曲ドラムでプレイしてみたら、かっこいいしドラムも上手だし、3年前の2023年に決めたんだよ。もし将来自分のソロバンドとか結成することがあれば彼をドラマーにしようって。そしたらその通りになった。パウリとはもう8年間知り合いで、Blind Channelを脱退した時の株式取引で助けてもらったんだ。バンドとマネージャーを相手に一人だった俺の側に立ってくれて手助けしてくれ、アルフレッドとバッドマンの関係が誕生した。イミはロビンかゴードン、、、まだはっきり決まったわけじゃないけど。まぁそういう感じでこのバンドが誕生した。そして曲を作り始めたんだ。そしたらいい曲が出来上がってきて、この後ライブも増えていくよ。

──イミはソーシャルネットでドラムをプレイするビデオで一躍人気が出たと聞きましたが、ドラムを始めてどのくらいになるのですか?

イミ:6歳からドラムプレイし始めてもう20年になる。

──そんなに長いキャリアがあったのですね。将来バンドでプレイすることになるとは思っていましたか?

イミ:あぁ、もちろん。これまでにもバンドでプレイしてたことはあるんだ。ティーンぐらいから。でもこんな大きなバンドでプロとしてプレイしたことはこれまでなかったよ。

──一番最初の先行シングル「In The Darkness」を聴いた時一発で気に入ったのですが、そのあとリリースになったシングルどれもメランコリーでキャッチャーに加え適度にヘヴィなサウンドですごく気に入りました。このバンドが進んでいく音楽の方向は結成当時からはっきりしていたのですか?

ヨエル:2025年春に曲作りを始めたとき、早い段階でパウリに2000年代初め頃のHIMやThe Rasmusみたいな感じで行きたいことを伝えた。『Dead Letters』(Tha Rasmusがブレイクしたアルバム)は子供の頃好きでよく聴いていたんだ。「In the Shadows」「Guilty」「First Day of My Life」とか、他にもEvanescence、Linkin Park、HIMとかもよく聴いていた。その頃2000年代のサウンドを現代にしたみたいな。それに加えてその頃のビジュアル、メイクとか、そういうビジョンはけっこう早い段階で決まっていった。ちょっとだけオールドスクールな。

──歌詞はあなたが去年の春に経験したことを多く反映しているように思えるのですが、一番個人的な曲はどの曲ですか?

ヨエル:「Death by Cupid’s Arrow」だ。 そしてこの曲はドラムトラックが素晴らしい。

イミ:伝統的なレコーディングスタジオFinnvox Studiosで最初にレコーディングした曲で、汗と血がにじむ長いセッションだった。確実に信頼できるヨーナス・パルッコネン(プロデューサー)の下ですべてがうまくいった。ドラムをプレイできたことは本当に素晴らしかった。

──アルバムの中にロビー・ウィリアムズに影響を受けた曲があると聞いたのですが、その曲について話してもらえますか?

ヨエル:「Angels Fall」で、ロビー・ウィリアムズの「Angels」から直接影響を受けている。昨年春にロビー・ウィリアムズのドキュメンタリーを観たんだ。彼は大人気のボーイバンドにいて、俺と同じように追い出された。この後どうしようかって行き場を失ってた時に、彼の先生となった彼より年上のソングライターでプロデューサーでもあるガイ・チェンバーズと出会うんだ。そして一緒にソロキャリア最初のアルバムを制作することになった。そしたらロビーはTake Thatを上回るほどの大スターになった。俺にも同じことが起こるかもしれないと思ってみたりしたんだ。「Angels」のギターコードを自分で演奏してた時、コードローテーションがちょっと変わったヶ所から出てたりしてクールだと思ったんだよ。そこで自分でメロディを作って「Angels Fall」って名づけて、その周りにロックな曲を作り上げていった。俺たちのライブが終わった後のアウトロはロビー・ウィリアムズの「Angels」でみんなで歌うことができるよ。

──イミに質問ですが、お手本にしているドラマーはいますか?

イミ:今現在特にお手本にしてるドラマーはいないな。俺はちょっと変わったドラマーで、お手本になるドラマーから感覚を得るのでなくて、インスピレーションを他から得て交雑させるんだ。そうすればユニークで個性的になれると思うんだ。

──ではどんなバンドをよく聴いてますか?

イミ:その時々によってPanteraからイスケルマ(フィンランド演歌)のカリ・タピオまで、ジャンルいろいろ聴いてる。2000年代初め頃のとか、90年代終わり頃のロックとかよく聴くな。

──ヨエルはイスケルマ聴きますか?

ヨエル:あぁ、聴くよ。好きだよ。素晴らしい音楽だ。最近は映画のサウンドトラックをよく聴いてる。バットマン ビギンズとかハンス・ジマーとか。

──これまで公開になったMVの中でヨエルはいつも赤いマントを身に着けてますが、そのアイデアは映画から来たのですか?

ヨエル:うん。そうだ。俺ずっとマント好きだったんだ。風になびくとかっこよく見えるし。例えばほらバッドマン、屋根の上に立ってマントがなびいてる姿かっこいいよね。ロックスターの誰がこれやったか知ってる?ライブ中ずっとじゃないけど、これが素晴らしいエフェクトになるライブ。Ghostのトピアスがつけてたんだ。スカルのセットにマントですごくかっこよかった。俺自身こういうシアトラルなことが好きなんだ。ずっとオジー・オズボーンのファンだったし、アリス・クーパーとか、彼らがやってる芝居がかったこと好きなんだ。俺はちょっとドラマティックな奴で、かなりドラマチックな物事が好きなんだ。かといってコウモリの頭を噛んだりってクレージーなことはしないけど。ステージに刀を置くとか、赤い旗を立てたり、炎、色調のあるスモークとか。そういうショーが好きで、簡単にTシャツでステージに立つのはみんなやってることだけど、マントとか演出してみせるのもミッションだと思うんだ。風が吹く中キャットウォークを歩き、侍の刀をマイクスタンドに立てて歌いあげるって先導者になったような最高の気分に加えて、後ろでは若いトミー・リーのドラムが響き渡り、スモークがわき出るって光景とってもクールだ。

イミ:マントと刀、わき出るスモーク、ただ曲を演奏するのではなくて、そこにはそういう俺たちの作り出した世界が表現されると思う。

──MVでも刀が登場して、以前パウリのことを先生と呼んでたのを見かけたのですが、そういうアイデアはどこから生まれたのですか?

ヨエル:俺達ミュータント タートルズで(笑)俺がそのリーダーだとすると、パウリはスプリンター先生なんだ。(意味が分からないでいたらスマホでアニメのキャラをみせてくれてなるほどこれか!と納得。)

──マイクスタンドが刀になってますよね。

ヨエル:あれは武器にもなりえる刃がキラッと輝くような本物の刀なんだ。

──ヨエルはBlind Channelで来日もしましたが、何が一番思い出に残ってますか?

ヨエル:何から話したらいいかな。アメリカから直行して時差ボケで、入国審査の時かなりボケてたよ。ホテルはヨーナスと同室だったんだけど、ホテルについたら日本のレコード会社ソニー・ミュージックから果物が入ったギフトボックスが届いてて、渋谷のスクランブル交差点がみえた。空港についた時は100人ぐらいのファンがバンドのフラッグやフィンランドの旗などもってお出迎えしてくれて、まるで映画のワンシーンのようだった。ライブはキャパ600人ほどの会場に観客がいっぱいで盛り上がった。もしHOKKAを受け入れてくれるなら、ぜひとも日本に戻りたいよ。信じられないような素晴らしい体験だった。

イミ:俺はまだ行ったことがないんだ。

──もしHOKKAで日本に行けたら、ライブ以外に行きたい場所とかありますか?

イミ:ライブで日本に行くことができれば、どこでもありだ。

ヨエル:このバンドで初めての国外はスイスなんだけど、ヨーロッパ有数の富裕国からスタートになり、そのあと素晴らしい冒険が待ってるに違いない。

イミ:俺たちの道のりはスタートしたばかりだ。まずはヘルシンキのTavastiaから。その後どこまでいけるか見てみよう。

ヨエル:日本で行きたい場所は北海道だ。名字がホッカでそこから来てるだろ(笑)。皆にも言われるんだ。名前そこから来てるんだろうって。そこに行かなきゃな。ブロンドで北欧なルックスだけど、よくそう言われる。だから映画「キル・ビル」から日本のテーマを持ってきたんだ。その映画、東京で撮影された部分多いよね。刀も登場するし。一番の希望は日本に戻ることなんだ。この記事がたくさん読まれて実現することを祈ってる。

──このアルバムの日本盤は発売になるのですか?

ヨエル:キングレコードから発売になる。日本盤にはボーナストラックで、マドンナのカヴァー「Frozen」が収録されるはずだ。このアルバムをひっさげて来日できたら最高だ。パウリも日本に行きたがってる。世界で一番素晴らしい場所だよ。前回の時ヨーナスと一緒に公園を散歩したんだけど、寺院があったりピンクの木があったりで素晴らしかった。東京に住んでもいいぐらいだよ。ほんとに素晴らしい場所だ。

──今年2月にヨエルはトゥーカ・ファルトと一緒にヘルシンキでアート展を開きましたが、そこにこのアルバム・ジャケットになった素晴らしい絵画が展示されてましたが、あれはアルバム用に描いたものなのですか?それとも出来上がってからこれアルバム・ジャケットにいいなと決めたのですか?

ヨエル:あれはアルバムジャケット用に描いたんだ。

──では、あなたたちのデビューアルバム『Via Miseria IV』を聴かなきゃいけない理由を3つ挙げてください。

イミ:まず一つは良いロックを探しているなら聴くべきだ。2つ目は心が悲しみに満ちてたり、人生が最悪だと感じているなら、このアルバムで慰められる。なぜならヨエルがそれを書いたから。3つ目はもしなにか刺激が欲しかったらお勧めする。アルバムの中に刺激が含まれてて、タイトな最高のアルバムだから。

ヨエル:完璧な答えだ。付け加えることはないよ。

──では最後にBARKSの読者にメッセージをお願いします。

「ハイ!HOKKAバンドのヨエルだ。ハイ!BARKSの読者のみんな。フィンランドからこんにちは。俺たちのデビューアルバム『Via Miseria IV』がキングレコードから6月24日に発売になる。早く会えることを願っているよ。」

HOKKA『Via Miseria IV』

1.Blackbird
2.In the Darkness
3.Death by Cupid’s Arrow
4.Via Miseria
5.Heart Said No
6.Bon Apetit
7.Murder Ballad (Dying Flame)
8.Angels Fall
9.Serpent’s Song
10.Kiss From A Rose
11.Frozen(bonus track for Japan)*
*日本盤ボーナス・トラック
日本盤は2026年6月24日キングレコードより発売!

そして5月7日ヘルシンキの伝統的クラブTavastiaにてHOKKAのデビューライブが行われた。

ステージ前にはキャットウォークステージがあり、両側にはステージファンが備え付けられていた。イントロの後、力強いドラム音が響き渡り、幕が落とされると歓声が響き渡りステージ後方中央にドラマーイミ、右側にパウリ、左側に今回のツアーメンバーのサンポ・スンドストルムのシルエットがあらわれ「Blackbird」のイントロがきこえてきた。しばらくするとバンドロゴの入った赤いマントを身につけたヨエルがステージに登場しキャットウォークでスポットライトを浴びると歓声はさらに大きくなった。刀のマイクスタンドを前に、マントと髪が風になびき、まるで映画のヒーローが登場したみたいなビジュアルは目も楽しませてくれる。デビューアルバムがリリースになったばかりということで、アルバム収録曲をすべて演奏。私のまわりにいた観客は皆一緒に歌っていた。途中イミ以外がステージから姿を消し、力強いドラムソロもあった。

そしてなんとアンコール1曲目でヨエルがいたバンドBlind Channelの大ヒット曲「Dark Side」をやったのはびっくりだった。びっくりした人は多いと思うが、あの曲で盛り上がらないわけがない。そして最初の先行シングルだった「In the Darkness」で”ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダークネス”と最高に盛り上がりこの日のライブが終了した。インタビューでも言ってた通りライブ終了後はロビー・ウイリアムズの「Angels」が流れてきた。アルバム1枚発売したばかりなのでどうしても演奏時間は短くなってしまうが、アルバム丸々とても気に入っていたので、収録曲全部ライブで観て聴けたのは次のアルバムが発売になる前の今しかないのでラッキーともいえる。新バンドといえどもヨエルとパウリは前のバンドでライブ経験豊富で、大きなステージは初めてだったと思うイミのドラムさばきも堂々としたもので今後がさらに楽しみだ。バンドはこのあといくつかの夏フェス出演が予定されていて、国外ではスイスのフェス出演も発表になっている。秋にはツアーが続くようだ。日本盤も発売決定で、本人たちが希望している来日公演もぜひ実現してほしい。

文&写真(1部を除く)◎Hiromi Usenius