【連載】いま、聴きたい演歌・歌謡曲 vol.25(本人歌唱指導付き)三山ひろし、楠木康平、鳥羽一郎・山川豊・木村徹二、松尾雄史、山川豊

2026.02.06 15:00

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世代を超えて愛される「うた」がある。歌唱したい「うた」がある──。

◆本人による歌唱アドバイス 動画

演歌・歌謡曲シーンから注目の作品を毎月紹介する連載企画「いま、聴きたい演歌・歌謡曲(本人歌唱指導付き)」の第25回目。

今回は三山ひろし「花とサムライ」、楠木康平「流されたって」、鳥羽一郎・山川豊・木村徹二「あぁひとり旅」、松尾雄史「わたし」、山川豊「駅」を紹介する。


(協力:日本クラウン)


■三山ひろし「花とサムライ」

今最もノッている演歌歌手といえば三山ひろしだろう。NHKの『紅白歌合戦』でも演歌枠が激減する中で見事に出演権を勝ち取った。まさに現代の実力派演歌歌手の筆頭といっていい存在となった。近年は年に2枚ペースで新曲をリリースしているが、1月の上旬に新曲を出すというお決まりのルーティンは2018年から始まって今年で8年連続。今回は楽曲のタイトルにひっかけて【花盤】と【侍盤】の2種類が同時にリリースされる。リード曲の「花とサムライ」は、義理と人情をロック風のアレンジで歌い飛ばしたノリのいい楽曲。作詞は現在84歳の巨匠、いではく。三山の声の鳴りがとにかくすごく、空気がビリビリと鳴っているのが感じ取れるほどで圧倒される。ここしばらく三山はいろんな楽器に挑戦してコンサートで披露しているのだが、【花盤】のジャケットはドラムセットに座った姿。もしかしたら、曲の冒頭のドラムのタム回しの部分だけ三山自身が叩いたものなのかも?

【花盤】のカップリング曲「親不孝ばし」は、2007年に亡くなった阿久悠が書き残した詞に曲をつけたもので、フォーク調の哀愁歌謡だ。【侍盤】のカップリング曲「KENDAMA DO DANCE!」は、DJ KOOとのコラボ曲。紅白での共演をきっかけに、すでにコンサートでも共演済み。お得意のけん玉をテーマに、音頭調の楽曲にDJ KOOのラップが乗るという、なんとも景気のいい曲。タイトルの「DO DANCE!」は、もちろん、DJ KOOが所属したTRFの曲からいただいたものだろう。さて、紅白でのけん玉の世界記録挑戦、2026年も行われるなら10年目となる。そこでこの曲の披露なるか?



「花とサムライ」
2026年1月7日リリース
CRCN-8802 定価:¥1,500(税抜価格 ¥1,364)

【花盤】
CRCN-8807 定価:¥1,500(税抜¥1,364)
1.花とサムライ
作詩:いで はく/ 作曲:徳久広司 / 編曲:佐藤和豊
2.親不孝ばし 作詩:阿久悠 / 作曲:徳久広司 / 編曲:佐藤和豊
3.花とサムライ [オリジナル・カラオケ]

  1. 親不孝ばし [オリジナル・カラオケ]

【侍盤】
CRCN-8808 定価:¥1,500(税抜¥1,364)
1.花とサムライ
作詩:いで はく/ 作曲:徳久広司/ 編曲:佐藤和豊
2.KENDAMA DO DANCE!(歌唱:三山ひろし×DJ KOO)
作詩:中村心一 / DJ KOO / 作曲:中村心一 / 編曲:小松一也
3.花とサムライ [オリジナル・カラオケ]
4.KENDAMA DO DANCE! [オリジナル・カラオケ]


■楠木康平「流されたって」

昨年デビューした2001年生まれ、現在24歳の新人・楠木康平の待望の第2弾。長身のシュッとしたルックス、“魅惑の裏声ボイス”というキャッチの通りのハイトーンに抜ける声で強烈な恨み節を聴かせるというデビュー時のインパクトが忘れられないのだが、本人は東北訛り(郡山出身)で、20代の若さにしてしょーもないダジャレをあっけらかんと言い放つ明るい性格の持ち主。

リード曲の「流されたって」は故郷を捨てて駆け落ちする男女の歌。悲しくムーディーなメロディに乗せて、未来が見えない二人の定めを歌う。“流される”のは世間だが、川は流されずに渡らなくてはいけない。時代が過ぎても川は何かの境界線として目の前に現れるのだ。うーん、重い(笑)。だからこそ、こういう曲は歌う人のキャラも大事なのだ。

カップリング曲の「どうすっぺ」は、悩みながらも明るく前を向いていく人生を歌った歌。東北の訛りが全開のせいか、どこか楽天的でほっこりするのは、楠木のまた違った一面が現れているようだ。ハイトーンの声がウリではあるが、なかなかどうして、力強い唸りも魅力的だ。

「流されたって」
2026年1月7日リリース
CRCN-8809 定価:¥1,500(税抜価格 ¥1,364)

1.流されたって
作詩:高橋 直人 / 作曲:あらい玉英 / 編曲:佐藤 和豊
2.どうすっぺ
作詩:高橋 直人 / 作曲:あらい玉英 / 編曲:佐藤 和豊
3.流されたって [オリジナル・カラオケ]
4.どうすっぺ [オリジナル・カラオケ]
5.流されたって [女性用カラオケ(1・5 音上げ)]
6.どうすっぺ [女性用カラオケ(1・5 音上げ)]


■鳥羽一郎・山川豊・木村徹二「あぁひとり旅」

2024年12月に、デビューから40年以上経って初めてとなる鳥羽一郎と山川豊という実の兄弟の共演盤「俺たちの子守唄」がリリースされた。それに続く、木村ファミリー(鳥羽と山川の本名は木村)の第2弾。今回は鳥羽の息子である木村徹二を加え、作詞・作曲は前回同様、徹二の兄である竜蔵が担当。そして、今回は“木村竜蔵プロデュース”というクレジットも入り、名実共にファミリーによる作品となった。

「あぁひとり旅」は、竜蔵が得意とする、演歌の匂いをしっかり残しながらも重厚で新しい感覚のメロディをつけた楽曲。通常、歌手は楽曲の世界を自分の元に手繰り寄せながら表現するが、ここでの3人の歌は、ちょっとした間の取り方までいつもの自分そのままに、自然にそこにいる感じなのが心地いい。それにしても、鳥羽と山川という大ベテランに挟まれても力強い歌を聴かせる徹二の成長はすごい。新曲を出すごとにどんどん大きくなっている。そして、竜蔵の曲作りは、若手では圧倒的ナンバー1の実力だと言える。

カップリングの「海の匂いのお母さん」は鳥羽の持ち歌を3人で歌ったもの。3人で同時に歌うパートがあるのだが、ファミリーでありながら三者三様の“オレ”が出ていて、こういう我の通し方は悪くないなと思ってしまう。それにしても、ジャケットの写真がいぶし銀な漢らしさが山盛りで実にカッコいいのだが、この3人が突然目の前に現れたらおっかなくて道を空けてしまいそうだ。

「あぁひとり旅」
2026年1月28日リリース

CRCN-8816 定価:¥1,500(税抜価格 ¥1,364)

1.あぁひとり旅
作詩:木村竜蔵 / 作曲:木村竜蔵 / 編曲:遠山敦
2.海の匂いのお母さん
作詩:田村和男 / 作曲:船村徹 / 編曲:南郷達也
3.あぁひとり旅 [オリジナル・カラオケ]
4.海の匂いのお母さん [オリジナル・カラオケ]

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◆配信リンク


■松尾雄史「わたし」

デビュー13年目、現在34歳。長身で俳優のようなビジュアルを持った歌手だ。また若返りましたかね? 演歌には珍しく少し巻き舌にこねるような歌い方が特徴だ。水森英夫門下生として、デビューから一貫して水森の曲を歌ってきたが、今回初めて外部のソングライターを起用。なんと、愛媛県西条市在住のシンガーソングライターで、2010年に59歳でメジャーデビューした還暦の星ことレーモンド松屋の書き下ろしだ。どうやら事務所の先輩という関係性のようだ。今回はカップリングを変えての2タイプでの発売となる。

「わたし」はレーモンド節全開のロッキン歌謡演歌。レーモンドといえばチープな打ち込みによるバックトラックとロック魂をこめたギターソロだが、ここではレーモンド自身もアレンジに加わり、絶妙にチープ感を残しているところが味わい深い。松尾の歌にもところどころレーモンド節の影響が垣間見える。

カップリング曲もすべてレーモンドの作詞・作曲によるもの。【タイプA】の「運命の扉を」は、これまたレーモンドが得意とする少しファンキーな歌謡曲。松尾の声もメロディに実によく乗っていて、リード曲にしてもいいほどの出来だ。【タイプB】に収録の「いいさ諫早」は、松尾の出身地である長崎県諫早市を舞台にしたムード歌謡。松尾の声にはこういうムーディーな曲がよく似合う。

「わたし」
2026年1月28日リリース

【タイプA】
CRCN-8817 定価:¥1,500(税抜¥1,364)
1.わたし
作詩:レーモンド松屋 / 作曲:レーモンド松屋 / 編曲:レーモンド松屋、伊平 友樹
2.運命の扉を
作詩:レーモンド松屋 / 作曲:レーモンド松屋 / 編曲:レーモンド松屋、伊平 友樹
3.わたし [オリジナル・カラオケ]
4.運命の扉を [オリジナル・カラオケ]

【タイプ B】
CRCN-8818 定価:¥1,500(税抜 ¥1,364)
1.わたし
作詩:レーモンド松屋 / 作曲:レーモンド松屋 / 編曲:レーモンド松屋、伊平 友樹
2.いいさ諫早
作詩:レーモンド松屋 / 作曲:レーモンド松屋 / 編曲:レーモンド松屋、伊平 友樹
3.わたし [オリジナル・カラオケ]
4.いいさ諫早 [オリジナル・カラオケ]


■山川豊「駅」

兄の鳥羽一郎とその息子、木村徹二とのコラボ曲が発表されたばかりだが、2026年は1981年にロングヒットとなり日本レコード大賞の新人賞を受賞するに至ったデビュー曲の「函館本線」をリリースしてから45年という節目の年。近年は大病を患うも、治療を受けながら現在まで活動を継続している。

原点回帰の意味もあるのだろうか、新曲は「函館本線」にひっかけて「駅」というタイトルとなった。山川の持ち曲には「途中下車」や「面影本線」など鉄道をテーマにした歌がいくつかあるが、今回は2005年の「海峡本線」以来20年ぶりだ。「駅」は別れをテーマにした寂しい楽曲。なぜ駅はいつも別れの場所になるのだろうか。力強さが持ち味の兄の鳥羽と違って、柔らかな歌い回しに声の表情で色をつけていくのが山川の持ち味。言葉数が少ない歌詞の行間を見事な表現力で埋めていく。

カップリングの「あんたのことが…」は、一転して力強く荒々しい楽曲だが、歌われているのは男を信じて待つ女の気持ち。その強い決意が滲み出てくるようだ。どちらの曲も山川自身が作曲を担当するなど、かなり気合が入っているのが伝わってくる。それにしても、木村徹二の歌い方は山川にそっくり。特に低音の張りや甘いビブラートなどは直伝といっていいレベル。隔世遺伝したのかも。

「後朝の雨」
2025年11月5日リリース
CRCN-8806 定価:¥1,500(税抜価格 ¥1,364)

1.後朝の雨
作詩:さくら ちさと / 作曲:岡 千秋 / 編曲:南郷達也
2.ふるさと笛吹ふたりづれ
作詩:志村博基 / 補作詩:本橋夏蘭 / 作曲:笛吹桃香 / 編曲:石倉重信
3.後朝の雨 [オリジナル・カラオケ]
4.ふるさと笛吹ふたりづれ [オリジナル・カラオケ]
5.後朝の雨 [一般用カラオケ(半音下げ)]
6.ふるさと笛吹ふたりづれ [一般用カラオケ(半音下げ)]

文◎池上尚志

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