【インタビュー】NoGoD、結成20周年ベストアルバム発売「常に今1番前で開いているページが1番魅力的というのはいいことだなと思う」

NoGoDの結成20周年を飾るベストアルバム『Le: VOYAGE』が、9月24日にリリースされた。
2015年に発売された『VOYAGE』に次ぐ第2弾のベスト盤となる本作は、NoGoDが2016年から2024年の間にリリースした作品の中から厳選された楽曲達と最新曲「I Can’t Say Goodbye」を収録。
NoGoDならではのスタイリッシュ&ドラマチックなメタルチューンを堪能できることに加えて2018年に華凛(B)の脱退、2022年にKyrie(G)の脱退という大きな危機を乗り越えて、さらなるパワーアップを果たしたNoGoDの歩みを体感できることもポイントといえる。NoGoDのメンバー全員をキャッチして、『Le: VOYAGE』に収録されている楽曲を軸に、この10年間のNoGoDについて大いに語ってもらった。
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◾︎20周年というものはあくまでも幟
──『Le: VOYAGE』に収録する曲は、どんなふうに決められたのでしょう?
団長(Vo):10年前に『VOYAGE』というベストアルバムを出した時の選曲方法と一緒です。Disc1は時系列に沿って2曲ずつくらい公平にリード曲を並べて、Disc2は時系列に並べつつライブで演奏する曲をメインにする。これを聴いてライブに来てくれれば、なんとなく、なんとかなるという(笑)。そういうものを目指して、前回と同じ選曲方法にしました。ベストアルバムというのは、客観的なものがいいと思うんですよ。メンバーそれぞれの主観を入れると散漫なベストアルバムになってしまう危険性があるので、俯瞰で見られる人の意見を聞きながら選曲したというのは大いにありましたね。
──結果的に『Le: VOYAGE』は良質なナンバーだけが並んだ、ベストアルバムにふさわしい作品に仕上がっています。メンバー皆さんの主観には重きを置かなかったとのことですが、とはいえそれぞれ特に思い入れの深い楽曲や、演奏するのが楽しい曲などはあるかと思います。
K(Dr):ありますね。僕が特に好きな曲は、「桃源郷へようこそ」(2016年)です。本当にライブ曲というのがふさわしい曲で、お客さんを右へ左へ、後ろへ前へと動かしつつhibikiもアクティブに動くという(笑)。
hibiki(B):僕は、ジョイスティックで動かされているんです(笑)。
K:そうだったんだ、知らなかった(笑)。だから、1回壁のほうに行っていたんだ。
hibiki:そう(笑)。
Iyoda Kohei(G):誰が操作しているんだ?
hibiki:Shinnoさんじゃないですか?(笑)
Shinno(G):ハハハッ! いやいや(笑)。
K:そんなふうに、「桃源郷へようこそ」はもう会場全体が一体になって楽しめる曲で、それを見ていてすごく楽しい楽曲です。
──場内を一体にさせる力を持っていることは、音源を聴いても伝わってきます。この曲は、どんなふうに作られたのでしょう?
団長:2015年までの最初の10年はいわゆる“遊び曲”というか、音楽としてよりもライブ優先の曲がちょこちょこありましたけど、10年くらい経つとアーティストとしてもっとちゃんとした曲を作りたいというムーブがすごく強くなるわけですよ。ヴィジュアル系のお客さんがライブを楽しめるようなものを一切重んじずに、音楽としてもっといいものを作ろうというムーブが強くなり始めた時期だった。俺はその考え方にはすごく賛同できるけど、でもそれでお客さんが“なんかNoGoD変わっちゃったな。つまらないな”と感じるのも癪だなと思って。この曲は『Renovate』(2016年3月)に、入っているんだよね?
K:そう。
団長:『Renovate』というアルバム自体が、世に出ていないデモ曲を再編成するということがテーマとしてありまして。「桃源郷へようこそ」は、当初は賑やかし的な曲として書いていたんですけど、それを音楽として納得できるところまで昇華しようというところで、この曲のアレンジが完成したんです。音源として聴いた時に“なんだ、これ?”とはならないようにしていると同時に、そもそもライブでめちゃくちゃするために作った曲でもあるので、その辺のバランスはすごくいい形で取れたなと思いますね。
──イントロや歌中は緊迫感に溢れていつつサビは開けるというコントラストが印象的ですし、ボーカルアプローチも怒気をはらんでいながらキャッチーです。
団長:この曲は、それこそ古い……デモで言うと2010年から2015年の頃の曲なので、昔のNoGoDのサビのキャッチーさとか、サビの開ける手法というのが色濃く残っているんです。それが、よかったのかなとは思いますね。たしか、当初は「乱痴気2」というタイトルだったよね?(笑)
K:いや、それは「万黒深層大サァカス」じゃない?
団長:あれ? じゃあ、これは“3”か。インディーズの時に「激烈叫喚乱痴気教」(2006年)という曲を作って、定期的にそういうお祭りソングみたいなものを出してきていて、第2段が「万黒深層大サァカス」(『VOYAGE』収録)だったんです。そこまではインディーズ時代の曲で、メジャーに行ってからはそういう曲を出していなかった。音楽的評価を得たくて、カッコつけていたので(笑)。メタルバンドとしてよりちゃんとしないと…という意識が強かったので、いわゆる“遊び曲”は省いていたんです。でも、『Renovate』という作品のタイミングだったので、あえてやらなかった曲を今の自分達が納得いくようにリアレンジして出そうということで、ここに落ち着きました。そういう楽曲なので、俺的にも思い入れはありますね。
hibiki:今作の中で僕の特にお気に入りの曲は、“Disc1”3曲目の「Passion Play」(2016年)です。“メタル1リスナーhibiki”から見ると、この曲は100点なんですよね。
一同:おおっ!
hibiki:「Passion Play」の7弦を用いた細かいギターリフは、僕が聴いて育った時代のメタルよりもちょっと新しい。その新しい要素も好きだし、洗練感のあるサビも好きです。マイナー寄りだけどマイナーになり過ぎず、ちょっとクールな感じがあるのがいいなと思う。あとは、“作曲家hibiki”からすると「Passion Play」は“オーオーオーッ!”というコーラスがあって、そういうコーラスの入れ方は曲を作る人間としてはやってこなかったんです。そういうふうに僕ができないものがいっぱい入っているところが好きだし、演奏する人間としては細かい刻みのところとかを、すごくキッチリやってやろうという挑戦心を駆り立てる要素もある。聴いてよし、弾いてよしという曲で、めちゃくちゃ好きです。僕は沸騰し切らない温度の曲が好きなので、たぶん好きなんでしょうね。僕の好きな要素を、総て満たしているという感じの曲です。
──hibikiさんはNoGoDに途中から加入したわけですが、このバンドにフィットするベーシストだということを、あらためて感じます。
hibiki:自分を捻じ曲げて、しっかりここに溶け込もうとがんばっています(笑)。
一同:おいおいっ!(笑)
hibiki:髪なんか紫にさせられて……。
一同:いやいやいやっ!!(笑)
団長:最初からしてたじゃん(笑)。
hibiki:ハハハッ! いや、全部冗談です(笑)。「Passion Play」を作った時は、どういう感じだったんですか?
団長:これは、Kiryeが原曲を作ったんです。この時はたしか「Passion/Emotion」というダブルA面の会場限定シングルを作るとタイトルだけ先に決めて、「Passion」はKiryeが作って「Emotion」は俺が作ることになった。そうだよね?
Shinno:そう。「Passion Play」を作った時は、コード感に結構こだわっていたなという印象ですね。ただの3コードとかでもテンションを入れるとどうなるかとか、響きの部分でこういう要素はどうだとか、そういうことを打ち合わせした記憶があります。
──コードの響きなどにこだわることもNoGoDの洗練感の要因になっていることは間違いないですね。
団長:そうかもしれない。この曲のソロ明けの2Bは、1音だけコードが変わるんですよ。そういうところは、オツだなと思いますね。Kiryeの曲はそういう細やかなフックを効かせたものが多くて、それは彼の趣味というか。Kiryeは同じものを繰り返すのがすごく嫌いなんです。それは、hibikiにも感じますけど。
hibiki:そうですか?
団長:うん。俺は、結構コピペでいけるタイプだけど(笑)。「Passion Play」の時は、いい塩梅を探っていたんだと思います。洋楽過ぎず、でも簡単過ぎずという狭間を狙っていた。逆にいうと、こういう曲を量産しないのもこのバンドの悪い癖で、「これはこれでいいね。じゃあ、次は全然違う曲を作ろう」ということになるんです。だからこそ「Passion Play」は、すごく異彩を放っているなと思いますね。
Iyoda Kohei:僕の中では思い入れのある曲、カッコいい曲、好きな曲は分かれているんですけど、自分がリスナーとして好きなのは“Disc1”9曲目の「helix」(2020年)です。リフとか、曲の展開も好きですけど、Bメロがかなり好きですね。サビも力強いというか存在感がありますが、この曲はBメロが1番強いと最初に聴いた時に思ったんです。
──分かります。Bメロはクラシカルなギターも印象的ですが、あれはスウィープピッキングでしょうか?
Iyoda Kohei:いえ、分散和音を2音ずつ連打するパターンです。僕は自分の音楽性というか、ルーツ的な面でクラシックの要素が好きで、この若干ネオクラシックの匂いがあって、かつリフもタイトでカッコいいというところで、この曲を聴いた時にすごく好みな楽曲だなと思いました。
団長:この頃はまだクレジットがNoGoDになっていますが、「helix」は作詞/作曲Kiryeです。当時の彼はNoGoDをやっていくにあたってかなり試行錯誤していた時期で、「helix」は産みの苦しみをすごく感じましたね。最後の頃のKyrieは、これ以上NoGoDでなにをしたらいいか分からない…ということを結構口にしていて、その打開策の1つとして彼が提示したのが、この曲だったんじゃないかなと思う。これに関しては、もうほぼほぼデモが完成形だったんです。デモに歌も入っていました。今までは色が混ざっているのがNoGoDらしさという部分も強かったけど、そういう中で自分1人の色でどこまでNoGoDらしさを広げられるかということを模索していたんだろうなと思いますね。「helix」は、そういう曲です。
Shinno:僕としては『Le: VOYAGE』の中ではこれだというのが決まっていて、「ジョン・ドゥに捧ぐ」(2024年)になってしまいますね。この曲は、自分の中で衝撃の出会いだった。全部を塗り替えてくれたというか。それくらいの求心力がある曲だなと感じたんです。できあがったものは全体的に馴染みがよくなって、それぞれの持ち味とかが出ていてNoGoDらしさを感じさせるものになっていますが、原曲の時のインパクトが非常に強かった。それが楽曲に仕上がって、ものすごくパワーを持った曲だなと感じるし、そこに相まって歌詞の世界観とかもいいですよね。歌詞だけを読むとちょっと変わった歌詞だなと思うけど、曲と合わせて聴くと馴染んでくる。そういうマッチした感じも含めて、すごく力のある曲だなという印象です。
hibiki:これは僕が作ったんですけど、最近目覚ましい進化を遂げたツールとしてAIがあるじゃないですか。AIに、こういった曲を作りたいと文字を入力すると、曲を出力してくれるんです。そうやってできあがったのが、この「ジョン・ドゥに捧ぐ」という曲です(笑)。
──えっ?
一同:おいおいおいっ!(笑)
K:ひとつも本当のこと言わないじゃん(笑)。
hibiki:アハハ(笑)。AIというのは冗談で、ちゃんとない知恵を絞って、がんばって作った曲です。
──ううう……(笑)。この曲は、まずモダンかつ知的な雰囲気のリフが超絶的にカッコいいです。
hibiki:おっ! 学がなくても作れるんですね、そういうものが(笑)。
──Bメロが変拍子でいながら、“変拍子です!”という感じではないのも素敵ですし。
hibiki:露骨にやりたくないという気持ちがあるんです。それに、僕はヒネくれているので、1番だけ変拍子で2番は拍子を変えました。時間の経過と共に、言葉の詰まり方とかも変わるようになっている。1番は5拍子ですけど2番は4拍子で間が長くなるので、同じようなメロディーだけど、また聴こえ方が変わるという。
──変拍子を上手く使えると、毎回変拍子にしたくなると思います。そういう中で、2番は変拍子にしないというのは本当にセンスがいいです。
hibiki:ドラマを演出したくなったんでしょうね。それは、どんな温度感でも上手いこと歌詞を乗せてくれるということも大きいです。
団長:いや、「ジョン・ドゥに捧ぐ」にしても、“Disc2”の「アオナツ」(2024年)にしても、hibikiの曲で今までになかったワードの引出しというのを、だいぶ開けてもらいました。やっぱり作曲者が違うと見える景色が全然違うし、特にhibikiの曲はドラマチックだし、カラフルな情景を見せてくれるものが多いんですよ。かといって、彼はそれに対して、こういう情景をイメージして書いたから、こういう歌詞を乗せてほしいということはあまり提示してこないんです。今までは歌詞の方向性や色とかを指定されることもあったけど、hibikiはわりと丸投げなんです。
hibiki:無責任ですね(笑)。
団長:いやいや(笑)。
──歌詞の内容に加えて、「ジョン・ドゥに捧ぐ」にしても「アオナツ」にしても、タイトルが素晴らしいです。
団長:今までのNoGoDだったら、多分こういったワードは出てこなかったと思います。hibikiに限らず、“Disc2”の「現約聖書」(2023年)や『神髄 -OMNIBUS-』(2024年)に入っている「Burning Heart」といったKoheiが作った曲は、俺らが今までやらなかったクラシカルでストレートなサウンドというのもなかった引出しというか、持っているけど開けない引出しを“ザバァーッ!”と開けてくれました。そういった部分にもチャレンジできる楽しみがありますし、歌詞を乗せる側の人間としては面白い刺激をもらっています。
──NoGoDが、いい状態にあることを実感します。団長さんも特に思い入れの深い曲などを教えていただけますか。
団長:俺は“Disc2”の「天国」(2024年)が、個人的には好きです。なぜかというと、この曲は言いたいことが1つしかないから。究極の押しつけですよね(笑)。「天国」を作った時はコロナ禍が関係してきて、コロナ禍でバンドがまともに動けない時に自分は人に楽曲提供をしたりしていて、そこで開いた引出しというのが結構あったんです。自分以外に向けたアウトプットの時にしかできないものがあるなということをすごく感じて、それを自分にフィードバックできたのが、この「天国」という曲です。ギターのアルペジオと歌で始まって、そこから激しくなって、最終的にイントロのアルペジオのテーマに戻って終わるという。自分はドラマチックな曲を作るのは、あまり得意ではないんですよ。わりと勢いで突っ走って、メンバーにドラマを足してもらうことが多かったけど、この曲は自分のできる最大のドラマチック感をギリできたなというのがあって、満足度が高い。もちろんリフのアレンジとかはhibikiに手伝ってもらいましたけどね。
──この曲のリフはジェントっぽさがありつつジェントまではいかないという、絶妙のさじ加減が光っています。
hibiki:生で演奏する時にジェントの加工感の強い感じというのは出せないので、生演奏で表現できるところのギリまでは詰めています。
団長:“生ジェント”ですよね。hibiki のそういうセンスが活かされることで、NoGoDができるモダンの範囲がちょっと押し上げられたかなということは感じています。「Passion Play」もモダン寄りではありましたが、この5人になってからこういう曲のモダンさがより広がりましたね。
──NoGoDはここに来て“アグレッシヴでいながらエモーショナル、なおかつテクニカル”という新たな独自のスタイルを1つ確立されました。結成から20年を経たバンドが今なお攻めているということに、すごくワクワクします。
団長:たしかに、キャリアを積むとレイドバックしたり、自分達のルーツに立ち返ったりするアーティストも多いですよね。我々は早い段階でルーツに戻り過ぎた時期があって、その時に既存のお客さんから「変わっちまったな」と言われることがすごく多かったんです。そこで割合を取るというのがすごく難しくて、その分量をギリギリのさじ加減でやってきて、今やっとですね。思いきりやってもNoGoDという枠の中で納めて、既存のお客さんにも納得してもらえるようなクオリティーのものを出せるようになったのは、本当にここ数年かなとは思います。
──今回の『Le: VOYAGE』を聴かせていただいて、最近の楽曲が1番魅力的だということをあらためて感じて、気持ちが高まりました。そして、『Le: VOYAGE』は、そんな最新のNoGoDを味わえる新曲の「I Can’t Say Goodbye」が収録されていることも見逃せません。
hibiki:この曲は団長が作ったデモの段階で力強い状態になっていましたが、この5人で演奏するなら、もう少しリアルなところに落とし込まないといけないな…というのがあって。普通に“ゴォーッ!”とやるだけではダメなので、ちょっと見せ場みたいなものがほしいなと思って、イントロが1度展開するじゃないですか。そこを、ツインギターでハモっているようなリフにするとメタラー的には熱いだろうなと思って、そこはKohei君に担当してもらうことにしました。あとは、ギターソロは普通だったらKohei君にリードを頼んで、シュレッドギターを決めてもらうという発想が出てくると思うんですよ。でも、彼は指が動くので、あえて複雑なバッキングのほうにまわってもらって、エモーション100パーセントのソロをShinnoさんに弾いてもらうという振り分けをしてみました。団長は好きなように加工してよさそうな顔をしていたので、NoGoDの王道には乗らずに組み立ててみたというのはありますね。
団長:作り方としては、あえて王道に最初は作ったんです。流れだったり、組み立ての部分だったりとか。往年のNoGoDの王道というのはイントロからAメロくらいまでをKyrieがメタリックに作ってきて、Bメロからサビを俺がつけてポップスにするというパターンだったんです。今回は自分がベーシックな王道のものを作って、そこにhibikiの要素を足しました。Bメロとかは、まるっとhibikiのアイディアに変えたんです。新しいことをしたいというよりも、今までの20年間あったNoGoDのベーシックを今の5人で昇華することを踏襲するというのも1個のテーマとしてありましたね。
K:「I Can’t Say Goodbye」は、カッコいいなと思いますね。イントロでテンションが上がる曲は大体カッコよくて、まさにそういう曲だなという印象です。
Iyoda Kohei:この曲のデモを聴いた時に思ったのは、本当にエネルギッシュだなということでした。その後デモから組み上がっていく段階で、ミュージシャンとして僕が“おっ!”となったのが、出だしのリフの音が4音増えたんです。元々のリフの前に“タリラリー”というのがついて、これはちょっとやられたなと思いました(笑)。デモからの変化は他にもいろいろありますが、曲を再生したらまずそのリフが流れてくるじゃないですか。そこで、掴まれましたね。リスナーとしての観点で言うと、入り方が普通じゃないというか。そんなふうに頭から引きがあって、リフのブレークがあって、そこからツインリードが来て、熱いAメロが来て。で、Bメロでちょっとポップスっぽくなって、印象の強いサビが来るという持っていき方になっている。サビはそれぞれの個性が出ていて、ギターでいうと1本が動きのあるタッピングをしていて、もう1本はコードをジャカジャカ鳴らしているという。リスナーを飽きさせないし、エネルギッシュだし、この曲は凄いなと思いますね。
Shinno:僕は、この曲はコーラスの印象が強いですね。イントロでタイトルを言っているところはインパクトがあるし、キャッチーなのがすごく好きです。やっぱり、分かりやすさというのは大事だと思うので。あとは、さっき話が出たように、この曲はギターソロを弾かせていただきました。個人的には、ギターソロは弾きたくないという思いのもとにギターを弾いているんですよ。僕はサイドギターが好きなので。でも、この曲は自分が弾くのが正しい選択だなと思って、弾かせてもらうことにしました。
団長:最初のデモの段階では、全員をフィーチュアする場所がほしいというのがあって。だから、ソロに入る前にドラムが単品で目立つ部分があって、前半/後半でギターソロをチェンジするみたいなアイディアがあったんです。でも、hibikiがベースもギターもリードも何ヵ所かハモる形にアレンジしました。要は、全員でソロを弾いているという形になっていて、俺の中にその発想はなかった。普通に聴いているとギターソロがいつもよりメロディアスじゃないなと思うかもしれないけど、趣旨が違うんだよね?
hibiki:そう、間奏に意味を持たせたかったんです。間奏も展開の中の1つのドラマですからね。
──今日のインタビューは“おおっ!”と思うことの連続です。そして、「I Can’t Say Goodbye」は“去っていった人がいても音も時も命も止まらない”と歌っている歌詞も魅力的です。
団長:この曲の歌詞は、これまでの20年で1番飾っていないですね。今までもストレートっぽい表現は沢山してきたつもりではありますが、見栄も張っていたんです、ちゃんと。“本当はこう思っているけど、それをストレートに言うのは違うだろう”という見栄があって、それは自分に対する問いかけだったりもしたけど、今回は見栄というものがない。すごくまるっと人間性が出ているというか、20年で1番丸裸な歌詞になっています。
──よく言われることですが、デビュー直後のアーティストの“ありがとう”という言葉と長いキャリアを積んでからの“ありがとう”は重さが全く違います。団長さんもストレートな言葉でも団長さんの言葉として響くところに入ってきていることを感じます。
団長:そうかもしれない。純粋に今の自分からこの歌詞が出てきたというのは、そういう時期だったのかなと思いますね。昔だったら「I Can’t Say Goodbye」というタイトルをつけたら“俺は、さよならなんて言わねぇぜ”というのを前面に出していたと思うんですよ。でも、そういう内容でもない。“I Can’t Say Goodbye”というのは強い言葉に聞こえるけど、結構弱い言葉でもあって。“さよならは言いたくないな…”とか“本当は言いたくないんだよな”というテンション感でも使える言葉なんですよね。
──たしかに、そうですね。
団長:これが10年前とか、5年前とかだったら“お前ら、俺に着いてこい! さよならなんて言わないぜ! C’mon Baby!”みたいなことを言っていたけど、多分それは虚勢なんですよ。ナメられたくない、強くいたいという気持ちがあった。要は、自分達はやっている音楽に対する自負はあるけど、それが世の中に認めてもらえないというフラストレーションを感じて、ずっと生きてきたので。世の中が認めないことに対するやるせなさとかは今でもありますが、それ以上に自分達の音楽がいいということを今は確信しているんです。この3年間すごく充実した時間とライブを味わせてくれたから、こういう歌詞……人生で1番見栄を張らない歌詞を書けたのかなと思いますね。
──いろいろなことが、いい方向に作用していることを感じます。NoGoDにとってこの10年は激動という言葉がふさわしい10年になりましたが、それを乗り越えて“今が1番いいね”という状態になっているのは本当に嬉しいことです。
団長:コロナが明けて、対バンがまたできるようになって、久しぶりに会った他の演者さんとかにも「すごく、いいじゃん」と言われることがすごく多かったです、この3年は。空気感もいいし、見た目も華やかだしと。前がどうだったという話ではないけど、でも常に今1番前で開いているページが1番魅力的というのはいいことだなと思う。あとは、ここ最近特に増えたんですけど、若い子から「NoGoD聴いていました。実は地元に来た時にライブに行ったんです」というような声をかけていただくことがすごく増えているんです。今まで20年間やってきて、響く人には響いていたんだなということを実感できて、無駄じゃなかったなということはすごく感じますね。
──無駄なことは1つもなかったですし、新たなスタイルを確立されたことで、ここからまたさらにNoGoDは輝いていくと思います。そして、NoGoDの今後の動きとしては、9月から12月にかけて全20本に及ぶ全国ツアーが予定されています。
Iyoda Kohei:今回のツアーは20周年なので、もちろん自分が関わった時期、関わっていない時期とありまして。関わっていない時期もちゃんと大切にしながら全国各地のお客さんに届けていきたいですね。今のNoGoDが1番いいとおっしゃっていただけて、それを鮮度のいい状態で各地で届けて、少しでもお客さんの心を“グッ”と掴めたらいいなと思います。
hibiki:20本ということで、ものすごいボリュームですけど、一貫してライブを観た後に笑顔で帰ってもらえるようなライブをしていきたいと思っています。来てもらえば、必ず心になにかしらの栄養を注ぎ込んであげられるような気がしますし、今回はなかなか行けない場所にも行くので、この機会を逃さずに、ぜひ遊びにきてほしい。福岡、広島、札幌とかに行けるのは嬉しいですね。別に他の地域がどうだということではありませんが、札幌はおいしいラーメンがあるし、福岡もおいしいラーメンがあるし、広島はお好み焼きがあるし(笑)。
団長:食べ物ばっかりじゃん(笑)。
hibiki:食もツアーの大きな楽しみじゃないですか(笑)。あと、僕は地元が八王子で、そこに行けるのがすごく嬉しいです。高校生くらいの時からバンドをやっているんですけど、八王子でのライブは本当に数本しかしたことがないんですよ。それ以降はメタルのコミュニティーというと吉祥寺とか、目黒とかで、そういうところに出るようになったので、逆に八王子では全然できなかった。このタイミングで、ちゃんとした活動をしているバンドで戻ってこれるので嬉しいです。それも含めて、みんなで笑顔でいっぱいのツアーにしたいですね。
Shinno:20年前にNoGoDを知った方も、昨日今日知った方も、新しいだとか、古いだとか、短い、長いだとかに関係なく、同じ瞬間を共有することによって、お互いに感じ合えるものがあると思うんですね。そうやって20周年を共有できる場を一緒に作っていけたら嬉しいので、よろしくお願いします。
K:今のバンドの感じだと、まず演者側が楽しくなると思うので、早くツアーに出たいですね。あとは、来てくださる方が、どう楽しみたいかを見つけてもらえたら嬉しいなというのがある。それぞれ各所20公演あって選びたい放題なので、タイミングが合う時に来てもらって、もうやりたい放題してもらって、自分なりの楽しみ方をしていただければいいなと思います。
団長:今回20年ということでベストアルバムを出させてもらって、久しぶりにインタビューとかも沢山させていただいていますが、個人的には20周年というものはあくまでも幟と捉えています。“新台入荷”的な幟というか、キャッチみたいなもので、20周年だからこうしないといけないとか、20周年なのに自分達はまだ…みたいなところにはいないので。ただ、幟としてはいい、目立つものではあるし、20年も活動していると楽曲の幅も曲数も増えていて、老若男女すべての人に1曲は刺さると思うんですよ。今回のツアーは『Le: VOYAGE』のツアーではなくて20thアニバーサリーツアーで、20年オールタイムでセットリストを構成するので、必ず1曲は琴線に引っかかる曲があると思うので……。
hibiki:なかったら、団長が謝罪します(笑)。
団長:なかったら、その場で作ります(笑)。どういうテーマで、どういう曲が好きですかって聞いて(笑)。
hibiki:AIみたいだな。
一同:ハハハッ! たしかに(笑)。
団長:そういうことのない、いいライブが必ずできると思っています。今年前半に年代を区切ったツアーをやって感じたことですが、どの年代の曲も今の5人で演奏すれば今のNoGoDにできるんですよ。それを1日1日パッケージしてやろうという魂胆でございますので、もう10年以上観てないけど、1度観てみるか…でも全然いいと思いますし、これを機にNoGoDに行ってみようでもいい。行ってよかったと思ってもらえるライブしかしないことを約束しますので、ぜひ皆さんに会場に足を運んでいただきたいです。
取材・文◎村上孝之
『Le: VOYAGE』
2025年9月24日(水)発売

【定価】¥4,500(税抜価格¥4,091)
【品番】KICS-4230~1
購入:http://king-records.lnk.to/LEVOYAGENOGOD
楽曲配信:https://king-records.lnk.to/nogod_le_voyage_2025
01.絶頂マスカレード
02.VAMPIRE
03.Passion Play
04.emotional disorder
05.Missing
06.Arlequin
07.break out!
08.Borderline
09.helix
10.Never fade away (NoW ver.)
11.ジョン・ドゥに捧ぐ
01.桃源郷へようこそ
02.イピカイエ
03.proof
04.Tonight!
05.masque
06.そして舞台は続く
07.What do you say
08.現約聖書
09.アオナツ
10.天国
11.I Can‘t Say Goodbye(新曲)
(購入特典)
ステッカーシート
<NoGoD 20th ANNIVERSARY 単独大布教20/20「VISION QUEST」>
9/27(土)Music Lab.濱書房
9/28(日)Music Lab.濱書房
10/4(土)札幌CRAZY MONKEY
10/5(日)札幌CRAZY MONKEY
10/11(土)宇都宮HEAVEN’SROCK VJ-4 2/3
10/12(日)仙台ROCKATERIA
10/13(月.祝)郡山#9
10/18(土)浦和ナルシス
10/19(日)本八幡ROUTE14
11/01(土)名古屋ell.FITSALL
11/03(月.祝)高田馬場CLUB PHASE
11/08(土)松本ALECX
11/09(日)甲府CONVICTION
11/18(火)福岡INSA
11/19(水)広島YiSE
11/21(金)心斎橋CLAPPER
11/22(土)神戸VARIT.
11/24(月.祝 )豊橋club KNOT
11/30(日)八王子Match Vox
12/07(日)川崎CLUB CITTA’







