【ライヴレポート】deadman、結成25周年ツアー開幕 “ここまでポジティヴなdeadmanは初めてではないか”

結成25周年イヤーを迎えたdeadmanが7月21日、東京・SHIBUYA DIVEにて<TOUR 2025「to be and not to be-cyan blue-」>の初日公演を開催した。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。
長い空白期間を超えて蘇ったdeadmanは、結成25周年となる2025年、過去最高の忙しさを見せている。年明けからツアーが続き、新たなレコーディングを終え、会場と通販限定販売EPを携えて始まるのが今回のツアー<to be and not to be -cyan blue->である。
勿体ぶった様子はなく、不慣れな緊張感もなく、セットリストの中にはできたての新曲がすべて組み込まれていた。


オープニングBGMはA Perfect Circleバージョンの「Imagine」カバー。いつもなら続くSEはNine Inch Nails「Starfuckers, Inc.」になるはずが、初日のSHIBUYA DIVEに響いたのは新曲「to be and not to be」、最新EP収録のインストナンバーだった。
この日から販売が始まった作品なので、まだ誰も聴いたことがなく耳馴染みもないのだが、先に登場した晁直、kazu、aieの3人は余裕の表情でSEを生演奏へと切り替えていく。出音の迫力はもちろんのこと、いきなり深い森に迷い込んだような世界観が確立されてしまうのが凄まじい。
3人だけでも十分にdeadman。数分後に眞呼が登場すれば、時刻が17時台であっても、ステージはすっかり漆黒の様相だ。ただ、いくらダークな闇でも、それは作り物めいた異世界とは少し違うのである。



続いてもいきなり新曲。さらには昨年の『Genealogie der Moral』から最もアグレッシヴなナンバーで切り込んでいくところが、今の4人編成の、生身のロックバンドらしい選曲だ。
歌い終わるたび「ウェルカム!」「カモン!」と叫ぶ眞呼もフロントマンとして頼もしい。黒い頭巾を被ってギクシャクと動いてみせるのは、いかにも見世物小屋的、珍奇な道化のパフォーマンスだが、同時にフロアを置き去りにせず、ファンへの愛情も隠さない。
異形者として世間一般とは線を引いてみせる表現と、ライブハウスで当たり前に行われる熱量の交換を、今バンドは矛盾なく成立させている。

古い過去曲と現編成での曲が混ざり合う中盤。どの曲も明るくはないが、窒息しそうなムードは感じない。
ワルツの「ミツバチ」はぎりぎりポップソングと言えるし、「猫とブランケット、寄り添い巡り逢う産声」はダンスナンバーと解釈していいだろう。晁直とkazuによるビートの躍動と、aieのギターから放たれるノイズの鋭さが、ノスタルジーとは違う刺激を運んでくる。
また曲ごとに動きを変え、時に軽やかなステップを踏んでみせる眞呼は、メイクの禍々しさとは関係なく、なんだかキュートにさえ見える。年齢や性別を考えれば相応しくない形容詞だが、そんな言葉が出てくる理由を突き詰めてみれば、楽しそう、というシンプルな答えに行き着くのだ。メンバーが皆楽しそうでフロアの観客も皆楽しそう。猛烈にヘヴィな「宿主」でさえ、はっきりと楽しい。


そこからが圧巻だった。手拍子が自然に湧き起こる「the dead come walking」、コール&レスポンスもすっかり見慣れたうえ、aieが客席に身を乗り出してアドリブを魅せまくる「零」はハイライトのひとつ。
そこから間髪入れずに始まる高速ナンバーは新作EPからの「黒い耳鳴り」である。祝祭からの急加速が血を沸騰させる。はっきりと聞き取れる歌詞は“あなたを愛してる”。まさに生の喜びが、この場所で気持ちを交わせる嬉しさが爆発していた。
おそらく、ここまでポジティヴなdeadmanは25年間で初めてではないか。


過去の代表曲で狂い咲く後半戦を経て、事実上の本編ラストは新曲の「鱗翅目はシアンブルー」。メランコリックなラブソングと書いてしまえば「静かなくちづけ」なども同じカテゴリに入るのだが、アンコールで響いたその曲に消えない悲しみが張り付いていたことを思えば、新曲「鱗翅目はシアンブルー」はもっとロマンティックで、同時にどこか温かい。
漆黒から始まったステージが自然な水色に染まっていくのは、誰もこんなふうに続くとは思っていなかったdeadmanのキャリアにふさわしい流れだった。

8月末まで続くこのツアーの後、さらに2本の公演が決まったことも最後に発表されたトピックだ。ひとつは9月26日、aie47歳となる新宿ロフトでの生誕祭。もうひとつは12月21日、大手町三井ホールでの全席指定ホールライブである。
その日までに、少し腹回りが気になるaieがウエストを5センチ絞ることを宣言。特に断酒もしないと言うので成功するか怪しいところだが、それよりも興味深いのは、「さらに新曲作ろうと思っている」発言までが飛び出していたことだろう。
各メンバーがいくつかバンドを並走させ、とんでもないハードスケジュールで動いている現在、ただ予定をこなすのに精一杯というわけではない。クリエイティヴ面もフル回転しているのが2025年のdeadman。今が旬だと断言しておきたい。
取材・文◎石井恵梨子
撮影◎マツモト “ダンプ” ユウ
■<deadman 25th Anniversary TOUR 2025「tour 2025 to be and not to be -cyan blue-」>
7月21日(月)@東京・SHIBUYA DIVE セットリスト
01 to be and not to be t
02 dollhouse
03 rabid dog
04 in the cabinet
05 faith head
06 25
07 blood
08 真夜中の白鳥
09 ミツバチ
10 猫とブランケット
11 ブルーベジー
12 宿主
13 the dead come walking
14 零
15 黒い耳鳴り
16 kafka
17 lunch box
18 quo vadis
19 re make
20 鱗翅目はシアンブルー
21 dawn of the dead
encore
en1 雨降りの悪い夢雨降りの悪い夢
en2 静かなくちづけ静かなくちづけ
W encore
en3 溺れる魚

■<deadman 25th Anniversary TOUR 2025「tour 2025 to be and not to be -cyan blue-」>
7月21日(月/祝) Shibuya DIVE
7月25日(金) 西川口Hearts
7月26日(土) 川崎セルビアンナイト
8月02日(土) 広島SIX ONE Live STAR
8月03日(日) 岡山IMAGE
8月16日(土) the five Morioka
8月17日(日) 仙台ROCKATERIA
8月23日(土) 長野ライブハウスJ
8月24日(日) 金沢GOLD CREEK
8月30日(土) 神戸VARIT.
8月31日(日) 京都MOJO
▼チケット
前売:6,500円(税込) / 当日:7,000円(税込)
※オールスタンディング
※入場時ドリンク代別途必要
https://eplus.jp/sf/word/00000049
■<deadman 25th anniversary TOUR 2025「to be and not to be -birth of the dead-」>
9月26日(金) 新宿ロフト
▼チケット
前売:6,000円(税込) / 当日:未定
※オールスタンディング
※入場時ドリンク代別途必要
一般発売:2025年9月13日(土)10:00〜
【FC“FUZ”先行(抽選)】
受付期間:7月29日(火)12:00~8月3日(日)21:00
※スマチケのみ(分配可) ※1人2枚まで
https://www.fansnet.jp/deadman
【オフィシャルHP先行】
受付期間:8月14日(木)13:00~8月24日(日)21:00
※スマチケ(分配可)・紙チケット併用
※1人2枚まで
https://eplus.jp/deadman25-official/
■<deadman 25th anniversary TOUR 2025「to be and not to be final -被覆する造形は人、腫れる風船の奇病-」>
12月21日(日) 大手町三井ホール
※詳細は後日発表

■25th Anniversary EP「鱗翅目はシアンブルー」
2025年7月21日(月/祝) 発売
※ツアー会場 / 通販限定販売
DCCA-1141 / 5,500円(税込)
通信販売:MAVERICK STORE
https://www.maverick-stores.com/deadman/
◯お届け時期について:2025年7月13日(日)23:59までにご入金が完了した方へは、2025年7月21日(月)に着日指定にてお届けいたします。2025年7月14日(月)以降にご入金が完了した方へは、2025年7月22日(火)以降に順次発送いたします。
▼収録曲
01 dollhouse
02 鱗翅目はシアンブルー
03 黒い耳鳴り
04 to be and not to be
関連リンク
◆DAVID SKULL NO RECORDS オフィシャルサイト
◆deadman オフィシャルX
◆deadman オフィシャルYouTubeチャンネル
◆眞呼 オフィシャルX
◆aie オフィシャルX







