勢いとポップセンスが同居!『GOOD DREAMS』特集【インタヴュー】

2004.11.04 00:00

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――9月の15周年記念ライブからは、会場全体がものすごいテンションでした。the pillowsというバンドは、
年数を重ねるにつれてどんどん力強くなっていってる気がします。

山中さわお(Vo&G/以下、山中):んー、僕は普通に、好きなロックをやってるだけなんだけど(笑)。
ただなんか、長年やってるバンドのしぐさみたいなのが出るのはとっても気持ち悪いので、それは避けたい気持ちはあるかな。
テクニカルなことは、コッソリやる分にはいいけど、ひけらかす方向に行くのは、僕のロックとは違うものかなって自覚は
あるので。


――なるほど。山中さんの書く詞はいつもグっとくるところが多いんですが、詞には苦労されますか?

山中:過去の自分と比べると苦労してるね。過去の自分はもう、“次から次へとできて困っちゃう”って感じだったからね
(笑)。曲はできるけど、歌詞は……もう随分いい歌詞を何曲も書いてしまったからねぇ。


――聴き手によりダイレクトに届けるために、詞を書く上で苦労するということはないですか?

山中:それはないな。そんなに親切な男ではないので。だって、僕の人生の優先順位は、1位と2位の差がスゴイ離れた上で
1位が自分だからね(笑)。本当のことを言うと、2番目も3番目もまだ自分で、4番目ぐらいに友達とか恋愛対象とか
メンバーとかがあって、5番目にスタッフとかかなぁ……。ただ、もっと軽い話で言うと、“みんな、この曲好きになって
くれるだろうな”、“みんなきっと喜ぶだろうな”ってぼんやり想像することはある。


――7曲目の「ローファイボーイ, ファイターガール」は、“自分を信じる”ってことを、山中さん自身の姿を通して
歌いかけてくれてるようで特にグッときます。

山中:うん。その曲とかは、きっとみんな好きになってくれるだろうなって思ってるよ。僕が青春時代にコレクターズとか
聴いて、その時は“この歌は俺のものだ”って気分で聴いててさ、それによってツラい夜がツラくなくなったとか、
そういう魔法があったわけだよね。そうなればなぁ、とは思ってる。


――最近のthe pillowsは、リスナーにとって兄貴的な存在になってますよね?

山中:要は年をとったってことなんだけどね(失笑)。でも、それはうれしいかな。ある時期ね、
THEE MICHELLE GUN ELEPHANTがすごくうらやましい時があって。まぁ事務所が同じで身近だったっていうのもあるんだけど
(笑)、自分が今、中学生や高校生だったら間違いなくミッシェルの大ファンになっていて、コピーバンドをやって、
“大人になったらミッシェルみたいになりたいな”って思って音楽をやってるだろうなって感じがものすごくあって。
自分の青春時代を重ね合わせたのかな。それで、過去の自分、あの時の僕みたいな自分に好かれるバンドになりたいなって
思った。その頃のthe pillowsはまだそうなれてなくて、“そうなれたらヒット曲がなくてもイイだろうな”って思って。
でも、最近はちょっとそうなれたなって自覚がある。それはうれしいかな。


――トリビュートに参加してた若手のギターバンドにとっても、そういう存在なんでしょうね。ところで、
新作のタイトルは『GOOD DREAMS』ですが、以前ルースターズのトリビュート盤に参加された時、
同名の曲をカヴァーされていましたね。

山中:うん。この「GOOD DREAMS」って曲ができた時、すごく気に入ってタイトル曲にしたいと思ったんだよね。
で、何がふさわしいか考えてて、その時に「GOOD DREAMS」って浮かんで。いいなぁと思ってね。今の自分にふさわしいし、
この曲にもアルバムにもふさわしいなって。でもルースターズでやってるしな……ってことも考えたんだけど、
逆に自分たちがルースターズ・ファンで、トリビュートにも参加してしかもその曲を演ってるんであれば、
確信犯的にOKかなって。それに、“GOOD”も“DREAM”もどっちもスタンダードな言葉だよね。
“I LOVE YOU”みたいなもので、誰の言葉にもなっていないというか。GOOD DREAMS……、80年代に初代ルースターズ
がやったことを、2000年代にthe pillowsが二代目いかせてもらいます!みたいな感じかな。襲名は受けてないけど、
勝手に(笑)。


――では、これからライヴを楽しみにしてるファンにメッセージを。

山中:今年は15周年というキワードにこだわって楽しんできたんですが、もうお祭りは終わったんで、今はいつも通りに
前をしっかり向いて、“今”と“明日”って気分。16年目に突入したpillowsですが、16年目で自分たちの
ニュー・アルバムがすごく大好きで、ツアーが始まるのをワクワクしてる。そういう気分でいることが幸せだなと
感じています。なので、たぶんいい顔でいいステージをやれるはずなので、確かめに来い!とお伝え下さい(笑)。

取材・文●梶原有紀子

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