“今”ヴァージョン=そのときにやりたいものが詰まっている

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“今”ヴァージョン=そのときにやりたいものが詰まっている

シャカゾンビは、マイ・ペースな歩みながら、アルバムでは確実に、その時々に自分達が一番フレッシュだと思うことを丁寧に形にしてきた。
そんな彼らが今回約2年半振りとなる新作『THE GOODFELLAZ』で目指したものは何だろうか?

その答えは彼ら自身の口から語ってもらうとして、個人的な思いとしては「自分達がイメージしたものを形にする」というその作業の結果、このアルバムは彼らの最高傑作だと思った。

取材/文●古川 耕

自分が踊ったり、聴いたりしたい曲っていうか、そういう曲がかなり入ってます

シャカゾンビ・インタビュー映像


最新アルバム

『THE GOODFELLAZ』

cutting edge 2002年03月27日発売
CTCR-14206 2,854(tax in)

1 Intro
2 破壊Flow feat.DELI
3 Attaaack!! feat.PH
4 So Tight,So Deep feat.Michico
5 Interlude
6 Get It,Get It,Get It feat.SUIKEN
7 Waht U Want? feat.KASHI DA HANDSOME
8 ハサミウチ feat.夜光虫
9 4747 feat.LUNCH TIME SPEAX
10 Sweet Brown feat.MARTIN-KINOO & BINGO
11 S....
12 四六時中 feat.GAS BOYS
13 激奏ライム (It's My Party)
14 分身 feat.SRSAHNN
15 It's Okay feat.DABO

──自分達の手応えとして、このアルバムの出来はどうですか?

オオスミ:
これまでのアルバムでも、いつも前とは違うやり方というか、少しでも自分達の中で違ったことをしたいっていうのはあったんです。で、それまではいつも一曲ずつテーマがちゃんとあったりしてメッセージ的なものが強かった…強くなってしまっていた。ところが、今回は一曲ずつのテーマもアルバム通してほとんどなくて、とりあえずトラックを聴いたビート感とイメージでラップをするっていう、そういう作り方をしたんです。そういうやり方はこれまでしたことなかったから、自分達的にも新鮮で、そこらへんが今までとちょっと違うところですね。

イグニッション・マン:
まあ……毎度毎度なんですけど、そのときにこうしたいっていうものを形にしているだけなんですよ、はっきり言って。その都度その都度ベストのものを出してるつもりだし、今回もあんまりそれは変わらないんですけど、でもやっぱり過去のアルバムよりは今の自分の気分で今の言葉で書いてるんで、やっぱり今の時点のことを言えば、今回のアルバムはすごく好きです。けど、逆に次、どういう気分になってどういう作品を作るのかなっていうのは自分でも分からないですね。いつも自分達のペースで作ってるので。

──ツッチーさんは?

ツッチー:
マスタリング含めてバッチリかなっていう感じ。まあ、使ってた機材に馴れてきたとか、制作のシステム自体が落ち着いてきたりして、その分、イメージしたものが形にできるようになって、もっとクリエイティヴなところに深く入れたっていう。

──作り終えたとき、"自分達の思い描いていたものがそのままできた"という気持ちはありませんでしたか?

オオスミ:
全編通してテーマがなかったり、一枚通して同じテンションで短期間で録ったり……そういうのは初めてだったし、そういう意味では自分でもまとまって聴こえる。やっぱり、コンセプトを何も持ってないつもりだったけど、でも今までの中で一番まとまって……そういうのはあるかもしれないです。でもそれはたまたまなんですけど。

イグニッション・マン:
まあ、過去のアルバム通してそうなんですけど、実はアルバムのコンセプトっていうのは毎回ないんですよ。1曲1曲を作りあげて、それの集大成がアルバムなわけで、イコール そのときにやりたいものが詰まっているっていうのがアルバムになっている。だからこそ、まとまり感みたいのが出ているのかもしれないっていうのはあるのかもしれないですけど……。ヘンな話、あんまり意識したりしないで自由にやってるからそうなってんじゃないかと思うんですけどね。

──僕の周りの人たちとかだと、このアルバムを聴いてて、「オオスミ君の新譜好きがよく顕われたアルバムだ」って言ってるんですけど。

オオスミ:
それはみんなに言われる……。

──そういう形容は妥当だと思いますか?

オオスミ:
僕的にはかなり妥当。間違いない。そういう意味では、自分的には素直に一番自分が踊ったり、聴いたりしたい曲っていうか、そういう曲がかなり入ってますね。

──アメリカの主流って、今打ち込みがメインの音じゃないですか。そういう音に関しては全然抵抗はないですか?

イグニッション・マン:
やっぱり……すごく早く進化するじゃないですか、ヒップホップって。それが新鮮で面白いわけだし。昔で言えば、"サンプリングして昔の音源を新しく生まれ変わらせて今の音楽にする"みたいなところが面白くて好きになって…。で、サンプリングがちょっと減ってきて、最近は曲を作るっていう方向になって、でもここ1年くらいでまたサンプリングが戻ってきて……その時々の旬というか進化が面白いんですよね。

――サンプリングが戻ってきたのって去年の後半くらいからですよね。JAY-Zが一番顕著ですけど、このアルバムもDABOとやってる曲「It's Okay」とか凄くそれっぽくて。とにかく対応が早いですよね。やはり、常に最新の感じを取り入れたいとかっていうのはあるんですか?

オオスミ:
ん~…いい意味でアメリカぽかったり、NYぽかったりっていうのは、やっぱり自分が普段聴いて、一番ウキウキしたり、踊りたいって思うし、だからそういう曲でラップしたいし、そういうトラックの選び方はきっとしてると思うんです。それにそういうネタ感がある曲でも、やっぱり最近のって昔のネタものとはビートとか全然違うし……。今のヴァージョンっていうか、常に新しいサウンドで、というのは結構いつも思ってることなんですよ。で、自分達的には毎回、そのときに1番聴いているものに影響されていると思うし、特に最近のわかりやすい変動……バウンス・ビートとか、そういうのが向こうでもメインストリームで、俺達もそれに興味があって、バッチリはまっただけで。けど、スタンスとしてはいつでも自分達も変わっていきたいし、MCとしてはその時、一番興味があるビートでラップがしたい…そういう気持ちは常に変わってないんです。

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