キャリア40年目を迎えた今、過去の原点に戻ったポップ界の象徴

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キャリア40年目を迎えた今、過去の原点に戻ったポップ界の象徴
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「今回は基本に戻って、100パーセントEltonって言えるものを作りたかった」

最新 Album

SONGS FROM THE WEST COAST
ユニバーサル UICR-1015
2001年9月27日発売 2,548(tax in)

1 The Emperor's New Clothes
2 Dark Diamonds
3 Look Ma,No Hands!
4 American Triangle
5 Original Sin
6 Birds
7 I Want Love
8 The Wasteland
9 Ballad Of The Boy In Red Shoes
10 Love Her Like Me
11 Mansfield
12 This Train Don't Stop There Anymore


もし全ての終わりが明日来ようと、もし初めから機会に恵まれていなかったとしても、ポップ界の象徴であるElton Johnは、間違いなく音楽の世界でこつこつと働いていることだろう。それが非常に平凡な仕事であったとしても。

レコード屋で働いてもよかったね

キャリア40年目を向かえ、6000万枚以上のレコードを売り、膨大な数のヒット曲をラジオに提供している54歳のシンガー、ピアノプレイヤーは言う。

いつも音楽に関わっていたいと思っているし、何の疑いもなくそうしてきた。でも今まで築き上げてきたもので、もう終わりにしようなんて思ったことは一度もない。ソングライターになるためにバンドをやめたけど、誰もレコーディングしなかったから“じゃあ君が歌わなくちゃね”って感じで始まったんだ

ご存知のとおりその後は順調だった。元Reginald Dwightである彼は最近、40枚目のアルバム『Songs From The West Coast』をリリースした。このアルバムは、『Tumbleweed Connection』や『Madman Across The Water』といった'70年代初期のファンを喜ばせてくれるような、昔のサウンドに回帰しているとして、評論家の間で称賛されている。4年ぶりの活動ともなるこのアルバムのプロモーション・ツアーのほかにも、イギリスの人気子供番組“Bob The Builder”のアルバム用に過去のヒット作「Crocodile Rock」を再レコーディングしたり、11月にはTVシリーズ『Ally McBeal』(アリー・マイラブ)にゲスト出演することが決まっている。

グラミー賞の受賞、そしてオスカーとトニー賞を受賞したディズニー映画『The Lion King』や『Aida』の劇場版の音楽制作、そしてロックンロールの殿堂入りといった、数々の彼のキャリアも特筆すべきことだろう。また彼と彼の長年の音楽パートナーであるBernie Taupinは、この上ないヒット作品を作ったとして名声がある。彼らはもともと、Marilyn Monroeのために作られた「Candle In The Wind」を'97年に亡くなったダイアナ妃に捧げ、世界中で3500万枚を売ったそのCDの売り上げを、ダイアナ妃メモリアル基金に寄付した。

それとは別に、アメリカにおけるシングルの売り上げの一部をもとにしてつくられたElton John AIDS Foundationも成功している。

僕は実に多くのことをやってるね」Johnは言う。

驚きだよ、自分でもどうやって全部一緒に出来るのか不思議なんだ。いろんなことをやってみて、上手くいくときもあれば、上手くいかなかったときもあるけど、少なくとも挑戦だけはしてきたからね。でも僕はただ座って、自分のやってきたことを毎日書き出して、“神様、僕はこんなにたくさんのことをやってきたんです!”なんて言いたくはないんだ。確かにスゴイことかもしれないけど、それよりも“これから何をやろうか?”ってことに興味があるんだ。楽しみだよ

新作『Songs From the West Coast』制作のため、2000年後半にJohnとTaupinが南フランスで打ち合わせを始めた時、2人の中にはそれぞれ異なる目的を持っていたのだが、今回は未来と同時に過去にも目を向けるということで一致した。

Bernieと僕は過去に戻って、よりシンプルなアルバムを作ることで基本に帰ろうと思ったんだ

Taupinの書いた詩をスタジオに持ち込み、曲を作ったJohnは説明する。

'80年から'90年代にかけて僕たちはいい曲を書いてきたと思う。でもピアノを充分に弾いてこなかったとも思う。いちばん得意なところから離れてた。それはシンセサイザーじゃなくてピアノを弾くことなんだ

音楽って魅力的だよね。大好きだよ。いろんなものから技術的にも影響受けた。毎週新しいおもちゃが手に入って、それをミュージシャンとして試して見たくもなる。でも今回は基本に戻って、100パーセントEltonって言えるものを作りたかった

そのため、JohnとプロデューサーのPatrick Leonardはロックバンドとして最小限のピアノ、ギター、ベースとドラムだけを使ってレコーディングを始めた。JohnはRed Hot Chili Peppers と共演したかったのだが、それはかなわず、ギターにDavey Johnstone、ドラムにNigel Olssonといったベテランとともに、Stevie WonderやRufus Wainwrightをゲストに迎えた。また彼は、今までに会ったこともないミュージシャンとも共演している。そのことについてJohnは、

不安な要素も取り入れてみたんだ。緊張感を取り戻すためにね。もしお馴染みのミュージシャンたちに囲まれていたら、それは安全な環境にいることになるけど、そういうのは嫌だったんだ。ちょっと新鮮さが欲しかったし、ほかのミュージシャンと一緒に仕事するのはいつでも楽しいよ。でもL.A.にいるような“セッション専門”みたいなやつらとはプレイしたくなかったんだ。もっと若い、バンドにいるような人とやってみたかったし、それが出来たから良かったよ

彼は、これから先のことに興味があるというが、『Songs From the West Coast』が昔の曲に近いことには不満はないという。

あれはいいんだ

Johnは言う。 

昔のアルバムに似たラインアップだから、確かに似たように聴こえると思う。デジタルじゃなくてアナログテープでレコーディングしたから、さらに似たように聴こえる。おまけにストリングアレンジャーのPaul Buckmasterを使ってるから、もっと似たように聴こえるよ。確かに『Madman』とか『Tumbleweed』風だけど、でも明らかにもっと優れた形でレコーディングされているし、今までの中でベストな声の音にもなっていると思うよ

レコード屋で働くこともできた、という話に戻ろう。『Songs From the West Coast』のライナーノーツの中で、Johnは元WhiskeytownのリーダーでソングライターのRyan Adamsに感謝の意を表している。

彼は僕がもっと良くなるためのインスピレーションを与えてくれた

先輩格にあたるJohnは言う。

彼の1stソロアルバム『Heartbreaker』は『Songs From the West Coast』に大きな影響を与えたよ。非常にシンプルで、美しくレコーディングされている。これを聴いたとき“僕も以前こういうアルバムをつくっていたんだよな”って気付かされたよ

彼はその後、ニューヨークとトロントのステージでAdamsと共演した。同時にほかの若手アーチストたちにも声援を送っている。

いまだにCDをよく買いに行くんだよ

最近の新人のなかではShea SegerMichelle Branch、そして以前、彼のバックアップシンガーだったCindy Bullensがお気に入りだと言う。

しかしながら、彼自身のプライベート・ライフではとくに新しいことを始める予定はなさそうだ。8年近く続くフィルムメーカー、David Furnishとの関係は穏やかで満足しているものの、例えば子供をもつというようなことはあり得ないという。

養子をもらうことも考えたんだけど、それには年をとりすぎてるね。70歳になった時に、娘がどこで何してんのか心配なんかしたくないからね

だが、2002年にはもう1人の偉大なピアノ奏者Billy Joelとのツアーを予定している。それでもJohnはそろそろペースを落としていく時期に差し掛かったと言う。 

これから先、ずっとこんなに慌しくやっていくのは嫌だからね。このアルバムの出来を見て、それからゆっくり、そして厳しく、先のことや優先順位を考えるよ

だからこのアルバムがどうなるか様子を見て、自分が今いる位置を見直して、これから先何をしたいのか、自分のキャリアをどうしていくのか考えるつもり。計画できないってところまで。'90年の初め頃は、まさか自分が映画『The Lion King』や『Aida』の音楽を作るなんて思いもしなかった。間近に何が迫っているかなんて、誰にも分からないんだ

By Gary Graff/LAUNCH.com

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