『face 2 face』 BMGファンハウス BVCA-21085 2001年8月22日発売 2,548(tax in) 1 Baby's Mama Featuring Snoop Dogg 2 There She Goes 3 U Should Know 4 Lover And Friend 5 How Can U Be Down 6 Still In Love With U 7 Don't Take It Too Personal 8 Stressed Out 9 Work It Out 10 Wish U Was My Girl 11 I Keep Callin' 12 With Him 13 Just My Imagination (Running Away With Me)(Babyface & Gwyneth Paltrow) | | Hit-ecord Making 101のクラッシュコースが必要とは思えない者が誰かいるとしたら、それはBabyfaceだろう。Faceは結局のところ、Whitney Houston、Usher、Toni Braxtonといったアーティストのためのプラチナ級レコードの制作、Eric ClaptonやMadonnaとのコラボレーション、さらにマルチプラチナセラーとなった彼自身のソロアルバムによって、R&B世代全体の確立に寄与したにすぎない。 だが、最新作『face 2 face』の録音を始めるにあたって、彼は今日のニューソウル、およびヒップホップの若手から何かを学ぶことができるだろうと判断したのである。つまりKenny "Babyface" Edmondsは42歳にして、再び学校に戻ったのだ。 「このレコードの制作プロセス全体が、僕にとってはミュージシャンとしての教育の場だったんだ」Babyfaceはかつてのパートナー、Antonio "L.A." Reidとの再結成を果たした移籍先のレーベル、AristaのBig Appleオフィスで語ってくれた。「少なくとも再教育ではあったね」 彼の課題にはJill ScottやMusiq Soulchildといった、新たなR&Bアーティストの作品を掘り下げることも含まれていた。また、彼は『face 2 face』にも参加したNeptunes、Buckwild、Mike Cityなどの若いプロデューサーの制作スキルをも細かく調べたのである。 それはまるで、Michael JordanがKobe BryantやAllen Iversonに点の取り方を教えてもらうようなものだ。だが、Babyfaceが前のアルバムをリリースしたのは5年前のことであり、21世紀になっても現役を続けるためには誰かの助けが必要だったと語っている。だから彼はアルバム2枚分のマテリアルを破棄して、ゼロからやり直す準備をしたのだった。 「トップ40の曲を演奏するバンドにいたころは、常に新たなマテリアルや新しいスタイルを覚えなくちゃいけなかった」。Babyfaceはソフトな語り口だが、ビジネスライクに説明する。「それで今回も“さあ、俺は新人アーティストなんだから、何でもプレイできるように勉強しなけりゃ”的なアプローチをとっただけなんだよ」 それはMaxwellやD'Angeloといったアーティストのような、よりリラックスした後ノリ気味のヴォーカルスタイルをマスターしなければならないということでもあった。 「多少の時間はかかったね。最初はうまくできなくてさ」とBabyfaceは認める。しかし、「Outside In/Inside Out」や「Lover And Friend」における驚くほどリッチなソウルヴォーカルは、彼が立派に宿題をやり遂げたことを証明している。 その一方でJay-Zの「I Just Wanna Love You (Give It 2 Me)」が、ニューヨークのSpa Clubでフロアを満杯にする光景を目の当たりにしたBabyfaceは、“おい、お前もダンスレコードを作ろうぜ。いつもベッドルームで使われるような曲ばかりじゃなくて、少なくともひとつくらいクラブで聴かれるような曲があってもいいじゃないか”と思い付いたという。 それで彼はそのJay-Zの曲に参加し、他のクラブヒットを放っていたNeptunesを招いて「There She Goes」と「Stressed Out」をプロデュースさせたのである。だが、自身のプロデューサーとしての実績を考えれば、Babyfaceが彼らの技術自分で再現してみようという誘惑には駆られなかったのだろうか? 「もちろん、自分でもできるようなことだと思ったよ」と彼は認めている。「でも僕は学びたかったんだ。その種の音楽を自分に身近なものとして熟知することで、インスピレーションを得たかったのさ。それを実現する最善の手段は、その音楽を作った人たちを傍に置くことなんだよ」 「それに連中にとっても学びのチャンスだったんだ」と彼は付け加えた。「ある意味では共同プロデュースだったし、共作的なシチュエーションでもあったんだ。彼らだったらまずやらないような要素を僕が追加した部分もあるよ」 このアルバムにおける最も大きな飛躍は、Snoop Doggとのデュエット「Baby's Mama」だろう。クールなビートを得意とするBabyfaceがラフなビートとどぎつい歌詞(結局は彼のアルバムにしてはという程度だが)に取り組んだのである。 「つまりね、“Baby's Mama”のコンセプトは気に入っていたんだけど、どんなふうに歌えばいいかわからなかったのさ。そこに(ヒップホップのプロデューサーである)Megahertzから曲のトラックが届いたから、すぐに聴いてみたんだ」 「でも、僕の声だけでやってみたところ、もっとストリート系のものに強くて言いたいことをビシッと言ってくれる誰かが必要だと感じたんだ。そこでSnoopがそれをやってくれる完璧な人選だってことは火を見るよりも明らかだったのさ」 だが、新たなグルーヴときらびやかな新しいルックスを得たにもかかわらず、バラード中心の旧作を気に入っているオールドファンいて、彼らを怒らせることについて、Babyfaceはまったく気にかけていないという。 「現実には、アーティストが変化することやどこか別の場所へ行くことを望まない人々が一部にいるものさ。問題は、そうした人たちはどっちにせよ、新しいレコードを買ってくれないということなんだ。だって何をやっても、彼らは常に“昔のレコードのほうがいい”って言うからね。だから結局はサポートしてくれないんだ」彼は笑いながら言う。 「でもオールドファンの多くは、若い世代の音楽をたくさん聞いていたりするんだよ。だから僕が前進を続けていれば、彼らもきっと付いてきてくれると思うな」 結局のところ、彼によれば成功の秘訣はすべて、L.A. ReidとともにDeeleからR&Bヒットを放っていた初期の頃から今日まで保ち続けている信念へたどり着くという。Babyfaceはこうアドヴァイスする。 「何をやるにしても、確実にクォリティを維持し、快適なサウンドとナチュラルな感触を保証することに尽きるね。新作もそうなっているよ」 By Dan Leroy/LAUNCH.com | |