ドラムンベース集団、Reprazentが生み出す躍動感の秘密 【後編】
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【前編】からの続き ――ヒップホップのいろんなスタイルの間に、大きく基本的な違いはあるのでしょうか? DJ KRUST: ――ビートのミックスはどのように発展してきたのですか? DJ KRUST: でも時には音楽を作るときに、そんなことは全然意識してなくて、直感的に出来上がってっしまうこともあるよ。それで後から「君の音楽は何とかに似ているね」なんて言われても、こっちにはわからないこともあるのさ。でも「わかった、これはこれだよね」って言われることもあるけどね。最初に流行ったときにハウスにハマってたからベースラインがこんなふうになるとか、レゲエを聴いてたからとか、ヒップホップに凝っていたからみたいなことはわかるだろう。そこが音楽の美しきカオスというあたりだよ、わかるかい? ――操作に時間がかかるサンプラーやその手のものを、今でも使っているのはどうしてですか? DJ KRUST: Pro Toolsは使ってみて、非常に進んだレコーディングシステムだと感じたよ。スタジオがなくても、トラックを組み立てたり、ヴォーカルを入れたり、サウンドを操作したりできる素晴らしいツールだ。他にもいくつかのクレイジーなキーボードとかクレイジーなサウンドを作るのに役立つちょっとした小道具なんかも含めて、慣れはじめてるところだね。今じゃインターネットから情報やサウンド、音楽の一部を取り込んで、それを音楽に加えることもできる。 僕らはスローペースではあるものの、最終的にはそうした技術にも取り組んでいくつもりだけど、今のところはサンプラーのほうを好んで使っている。それに飽きたら、もっとコンピュータ的なものに集中していくだろう。でも僕らの学習速度は遅いだろうね。 RONI SIZE: Method Manとも僕らは理解しあう関係を築くことができたよ。僕は彼にやりたいことをやってもらって、僕は自分のパートをやったんだ。彼にメガホンを渡すとにっこり笑って、メガホンから言葉を吐き出していったのさ。Zach De La Rochaにしても同じことだよ。僕らはスタジオに入って10時間ほど一緒に過ごしたけど、マイクを使ったのは30分だけだった。つまり、関係が確立されればものごとはうまく運ぶんだ。僕に何が言えるって? だってアメリカにやってきて、ZachやMethod Man、Redman、Erick Sermonなんかとスタジオに入れるだけでも素晴らしいことなのに。いつの日にかLauryn Hillのような人と仕事をしてみたいし、Quicy Jonesのような人たちと会って企業秘密を教えてもらいたいよ。お願いだよ、知りたいんだ。僕は駆けだしのプロデューサーだから、仕事がしたいのさ。 「Who Told You」はその典型的な例で、本当のドラムンベースやヒップホップではなく、いろんな何かの本物ではないけど、あらゆる音楽スタイルの隣に確実に存在しているんだ。それでも同様のエネルギーとエキサイトメントを持っていて、非常にパワフルなヴォーカルととても強力なフックを備えているのさ。聴いた人はいつも「Who Told You」は頭にこびり付いて離れない類の曲だと言ってくれるよ。それこそが今の僕たちがやろうとしているものだと思う。とてもエネルギッシュだけど、あまり様式化されてなくて、それでもキャッチーなタイプの音楽を作ろうとしているのさ。 僕はRoniとシアトルに行ってスタジオでMethod Manと仕事をしたよ。それはとても自発的なシチュエーションだったね。僕らはサンプルとドラムマシン、それに何枚かのディスクを用意して、座ってトラックを作り上げたんだ。僕らがスタジオのヴァイブを捉えたところで、午後にMethod Manがやってきて、僕らが作った曲を聴いて取り組み始めたのさ。全員の気持ちはまるでヘッドノック状態だったね。つまり、スタジオにいて誰かがやってきて、仕事に取り組むときに頭をコツコツ叩くってことだよ。正しい方向へ向かっているとわかったら、Methは座り込んで自分の役割を果たしたのさ。それはまるで一緒にパズルか何かを解こうとするような感じのときもあったね。みんなが同じ部屋にいると同じヴァイブを感じて、エネルギーを蓄積できるんだ。双方が音楽の一部だと思えて、みんながますますエキサイトしていくのさ。そして彼がブースに入るときには、自分がヴォーカルで表現したいこと、歌に込めたい気持ちを正確につかんでいた。僕らも自分たちが何をどういうふうにやりたいかを理解していたし、うまくできあがって良かったよ。これはかなり優れたやり方だし、ヴァイブがどんな感じかも捉えられるんだ。 ――あなたがたの音楽は当初ジャングルと呼ばれ、それからドラムンベースになりました。音楽的な変化があったのか、それともメディアのジャンル分けが変わったのでしょうか? RONI SIZE: ――CDを聴いていると多くの音楽がダークで内省的なのに、ライヴは非常に高揚するものですね。そのあたりについて話してください。 DJ KRUST: 巷に溢れている昔のサウンドに関しても、僕らはまったく違ったアングルからアプローチしてるしね。みんなはドラムンベースが何なのかわかっていないし、僕らがステージでやっていることも理解していないけど、バンドのシナリオというのはわかってくれている。だからライヴを見れば、それを引きつけて考えることができるんだ。それこそがエネルギーというもので、8人がステージで音楽を演奏することの意味なのさ。アップテンポでとってもエネルギッシュなので、ただそこにいて立ち上がって聴いていればいい、というわけにはいかなくなるんだ。必ず参加したくなるし、音楽の一部になりたくなる、それがエネルギーのヴァイブというものなんだよ。 ――マーキュリー賞を獲得して注目を集めるようになってから、オーディエンスに変化はあったでしょうか? DJ KRUST: ――Reprazentのメッセージは何でしょうか? DJ KRUST: Zach De La Rochaはアルバムで非常にパワフルなパフォーマンスを展開していて、大きな論争を巻き起こしている。彼は確かに論争を呼ぶようなことをたくさん言っているけど、それはパーティで集中して聴くようなものじゃないと思うんだ。家へ持って帰ったり、車の中に座って聴いたりして、できるだけ意味を聞き取るべきものなのさ。僕らはいろんなレベルで作業をしているから、リスナーがそこから必要な意味を引き出すのは個人の手に委ねられているんだ。僕らがやっていることの良いところは、リスナーがやってきて彼らがどんなふうに解釈したとか、彼らにとってどんな意味があるのかを知らせてくれることだね。それこそ音楽とは何かということだと思うよ。誰もが個人的な問題や自分のテーマを抱えているけど、それでも僕らは音楽への基本的な愛情を保っているのさ。
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