1stアルバムでイギリスを制した4人組の“Good Song”至上主義

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1stアルバムでイギリスを制した4人組の“Good Song”至上主義

 


 

ファーストアルバムが祖国でナンバーワンになるというのは、軽視できない事態ではある。なので、イギリスでセンセーションを巻き起こしているColdplayのドラマー、Will Championが、自分のバンドでこの偉業を達成してから数カ月経っているというのに、今でも多少困惑した様子であるのも許すことにしよう。 「2000年はいい想い出を伴って振り返ることがとっても多かったよ」、彼はロンドンの自宅からインタヴューに答えてくれた。「だから、ひとつふたつ挙げるのは難しいけど、アルバムがイギリスで第1位とわかった日のことは、まぎれもなく最大のハイライトだったね

ChampionとベーシストのGuy Berryman、ギタリストのJon Buckland、そしてシンガー/ギタリストのChris Martinがその出来事をどのように祝福したかは語られなかったが、そのことで彼らが長期にわたって仕事から遠ざかるようなことには結局ならなかったようだ。バンドには、イギリス各地でのサマーフェスティヴァルで演奏する予定がぎっしり詰まっていたからである。

Coldplayのデビュー作『Parachutes』は英国では2000年7月から発売されているが、アメリカではごく最近になってリリースされたばかりだ。この作品は最近のイギリスで台頭しているとされる、歓迎すべきトレンドをさらに証明するものとなっている。開放的でボーダーレス、壮大なサウンドにセンシティヴで歌心に富んだギターポップ/ロックの商業的な成功である(他の例としてはTravis、Doves、Badly Drawn Boyの最近のアルバムを聴いてみよう)。イギリスの音楽紙はすぐに定義したがる傾向にあるが、このトレンドを“New Radiohead”ムーヴメントと呼んでおり、確かにThom Yorkeとオックスフォード出身の仲間たちの影響力は見過ごせないだろう。しかし、Coldplayの音楽はもっとストレートで、Radioheadほど自意識の強いアート風なものではないし、Martinの鼻にかかった揺らめくようなヴォーカルスタイルは、YorkeのみならずJeff BuckleyやDave Matthewsにかなり近いものだ。

個人的に自分たちのスタイルに似ていると思うアーティストは誰かという質問に対して、Championは次のように答えた。「歌に注意を払っていると感じられるバンドなら、すべて僕らの同類だ。僕たちは音楽を演奏することだけを愛しているし、そのことについてだけ語りたい。他のことはすべて単なる偶然に過ぎないよ。だから最近のイギリスで同じような姿勢のバンドがたくさん出てきたのは素晴らしいことだ。つまり、良い歌に焦点が当てられているということだけど、これは、ポップで、イメージ先行で、プロデュースされて作られるような、あらゆるガラクタに対するある種の反動なんだろう。リスナーは一緒に歌えるような歌を望み、自分たちのことを歌っているように思える歌を求め、何か意味のある歌を必要としているということだと思うな。単なるルックスのいい若い女の子じゃなくってね

今のところ、Coldplayはアメリカでイギリスほどの旋風は巻き起こしていないが、時間をかけて見守ろうではないか。「Shiver」や騒ぐだけの価値があるシングル「Yellow」といった曲は、フックのあるサビ、テイスティなギター、落ち着いているが必要なときにはためらわずにロックするアレンジによって、気取りのない賛歌に仕上がっている。これらの曲には確かにラジオで火がつく可能性があり、実際に「Yellow」はすでにそれを実践しつつある。

曲の良さは自分たちでもわかっていた」とWillは語る。「だから目をくらますような制作上のテクニックはあまり使いたくなかったのさ。自分たち自身を表すようなアルバムを作りたかっただけなんだ。半数以上の曲はライヴでも演奏しているよ。レコーディングの途中には完成できないんじゃないかと思えるような時期もあったね。ストレスがとっても激しくて、投げ出して帰りたくなったくらいさ。音楽を正しく伝えたいという強い思いがあったからこそ、たくさん議論もしたんだ。だから最終的に完成して全体を聴いてみたときには、すごく達成感があったよ

Coldplayの物語は'96年、ロンドンのユニヴァーシティカレッジで始まった。そこで4人は学部生として出会い、共通する音楽の趣味を通じて結びつき、しだいに曲を作ってリハーサルを重ねながら、バンドとしての実体を形成していったのである。Championは最後に加わったメンバーで、数多くの楽器に精通していたにもかかわらず、それまで真剣にドラムスを演奏したことはなかった。しかしグループ内で空いていたのはドラムスだけだったので、早急にそのポジションに対応するように努めたのだった。「友達のドラムセットを1、2回いじったことはあったから、どれがどんな音で何をすればいいのかといった最低の基本だけは知っていたよ。だけどみんな揃って演奏を始めるとすぐ、その編成が本当に適切かつ自然だと感じられたんだ

バンドは、その後すぐにプロへと転向したのだから、彼の仲間も同じように感じたのは間違いないのだろう。「ノースロンドンにあるJonnyの寝室で最初のリハーサルをやったのは、'98年の1月6日だった」とWillは回想する。「そして2週間後には、最初のギグをやっていたよ。バンドに加わって最初のリハーサルをやってすぐに、僕は地元のクラブのプロモーターに電話をかけて“ギグをやらせてくれないか?”と申し込んだ。最初から目標に向けてまっしぐらというわけさ。僕らはこのギグに100人ほどの友人の一群を連れていったから、すごい大盛況に見えたんだろうね。とっても想い出深い時期だったよ」。その後は数回のクラブでのショウと数枚のインディーズでのEPを経験しただけで、バンドはメジャーレーベル(Parlophone)と契約し、アルバム『Parachutes』の発表と英国チャートでの大成功へと突き進んでいったのである。

'01年2月からColdplayは初のアメリカツアーを開始する。アメリカの聴衆にも彼らのクオリティを自分の目と耳で確かめるチャンスがやってくるだろう。Willは、まるで彼自身が評価の高い古今のR&Rバンドを見るのを楽しみにしているように、この経験を待ち望んでいる。「1カ月のオフがあるから、その間は休暇にでかけるつもりさ。ステレオや音楽に関するものが近くにないようなところへね」とWill。大変な1年間だったのだから、それも許すことにしよう。

 

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