いちばん大切なもの

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いちばん大切なもの

Family Valuesというツアーが行なわれたとき、タイトルと内容が正反対だといって全く相手にしなかった保守的な評論家たちも、今ごろはSevendustの存在に注目しなかったことを後悔しているに違いない。

何故なら、そのツアーに出演した中でも、現在メキメキと頭角を現しつつあるSevendustは、タトゥーを入れた無法者コミュニティにおいてもモラルとモッシュが共存できるのだということを、その身をもって証明して見せたからである。

…といっても、アトランタに拠点を置くこのハードコアユニット、Lajon Witherspoon (vo)、John Connolly (g)、Clint Lowery (g)、Vince Hornsby (b)、Morgan Rose (ds)の5人から成るサウンドが、しばしば同類項に挙げられるKornLimp Bizkitと比べて危険性に欠ける、というわけでは決してない。

ただ、'97年にデビューアルバム『Sevendust』を、そして昨年8月に2ndアルバム『Home』をリリースして以来、Sevendustのメンバーは、以前よりも家庭や家族といったことについて頻繁に考えるようになったというのである。しかも、WitherspoonとRoseの2人が最近父親になったおかげで、彼らは、まさにヘヴィミュージック界の次のヒーローになろうという日の前夜に、一体何が自分たちにとって最も重要なのかを考え直させられていたのだ。

2人とも出産日がたまたまツアーの期間と重なっていてね

昨年秋、Morgan RoseとCoal Chamberのベーシスト、Rayna Foss Roseの間に長女が誕生、その際、バンドがツアー直前にスケジュールを組み直す決断をしたことについて、Witherspoonはこう語った。

『Morgan、お前、赤ん坊が生まれたばかりだよな。俺たちは今日ツアーに出発することになってる。けどお前のカミさんは合併症が出ちまってるし、出産自体危なかったっていうじゃないか。だから、お前が家にいられるように、2、3日ショウは中止しようぜ。愛する家族ほど大事なものはないんだよ。結局、どんな時だって最後に戻るのは家族のところなんだからさ。1週間ほど家にいて、その後またツアーに出れぱいいじゃねないか』とまあ、こういうことだったのさ

誰でも本当に決断しなきゃいけない時ってのがあるんだよ」とRoseが続ける。

『よく考えろ、俺は本当はツアーをやりたいのか? それとも、父親になるためにそれを諦める覚悟が出来ているのか?』って、そこまで考えてね。これが俺だけのことだったら簡単さ。もしどっちか選んでいいって言われたら、即ツアーを諦めて家に帰るよ。けど心の中で、長い目で見れば、俺がツアーに出ることが子供のためなんじゃないかって思いがあったんだ。それに、そういう意味ではそれが俺の仕事なわけだろ? そうじゃなかったら家にいて子供と遊んでる方がいいに決まってるさ。けど、もっとヒドい仕事だってあるわけだし

こう語るSevendustは昨年の秋、その仕事の最もおいしい部分を味わっている。既にアトランタのクラブサーキットを卒業し、その後3年とたたないうちにOzzfestやFamily Valuesといったツアーのメインステージに立つようになっていた彼らは、復活したロックフェスティヴァルの祖父とも言えるWoodstock '99への出演を果たしたのだ。

もう怖じ気づいちまってさ。マジでそれくらい凄かったんだ

Connollyが振り返る。

あの時は、ホントにどうしていいか分からなかった。というか、その前の週からもう俺たち、頭の中はWoodstockのことで一杯だったけどね。だって、あれほどの観衆の前でステージに立つってのがどんなことなのか、全然想像もつかなかったからさ。確かに大勢の人の前でプレイすることはあるよ…例えば10人から5万人くらいだったらあちこちでやってる。それくらいだったら『今日はいいショウになりそうだ』くらいは分かるもんだ。だけど、実際あの日ステージに上がったら、もう観衆の波がどこまで続いてるのかさえ見えないんだぜ。ケタ違いだよ

俺にとっては最高の経験だったよ。個人的に、今まで生きてきた中でね」とWitherspoonは言う。

ステージに出る直前は、『ここに来てる人たち全員の心をつかむなんて絶対無理な話だぜ』って感じだったんだ。まあ、最低でも50人は行けるかな、とは思ってたけどね。せいぜいそんなもんさ。で、その場に何万人いようと、100人くらいが俺たちの音楽に興味を持ってくれて、俺たちに敬意を抱いてくれればいいなって…俺なんか、もうこれでミュージシャン辞めてもいいやって思ったくらい。それくらい、Woodstockはこのバンドにとって今までで一番素晴らしい出来事だったのさ

現在、音楽界ではボーイポップという名の船が圧倒的な勢力を誇っているが、それを転覆させんとばかりに沸き起こっているのがメタルという名の津波である。

この現象について聞くと、Witherspoonは、確かに再びその波が起こりつつあるのかもしれないが、今までも決して彼方へ消え去っていたわけではないという。

実際、いつだってその波はそこにあったんだと思うよ」と彼は言う。

たまたま今の時期にSharon Osbourne(編集部註:オジーのかみさんでもありマネージャーでもある女帝)だかOzzy OsbourneだかがOzzfestをやってたり、Family Valuesなんてイベントがあったりするだけでさ。で、評論家たちが何て言おうと、そういうツアーが街にやって来たら、2万人ものガキどもがそれを観に行くわけだよ。これって無視できない現象だよな。そして、あちこちでその流れに飛び乗ろうとする奴らが現れて、世間にクールだとかヒップだとか言われるようになるのさ。でも、俺は今までだってこういう波は存在してたと思うけどね。それにしても、Limp Bizkitみたいな先駆者やKornみたいな連中がリーダーになって、いまいちパッとしないバンドなんかに、束の間でも活躍の場を与えてやってるのは凄いことだよ。俺の言いたいこと、分かるだろ? ただごとじゃないよ

Sevendustの最新シングル「Waffle」での、あの機関銃のようなストンプの嵐を一度でも聴けば、彼らがこの革命において重要な役割を担う運命にあることが分かるだろう・br>
まだまだこれからさ」とWitherspoonは言う。

俺たちが幸運なスタートを切ったことは間違いないけど、それでもまだやらなきゃならないことは山ほどある。まだまだ成長の余地はあると思うし、時間をかけてもっといいバンドにしたいと思ってるんだ。ほんの1年前と今を比べただけでも、『すげえや、俺たち』って感じだろ。もしもう一度あんなに飛躍できたら、最高にハッピーだろうな

by Stephen Peters

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