チャリティ・イヴェントにKravitz、Wyclefの熱波襲来
チャリティ・イヴェントにKravitz、Wyclefの熱波襲来 |
NBAのスーパースターAlonzo MourningがChildren's Home Societyと100 Black Men Of South Floridaのために主宰する年に一度のチャリティイヴェント、Zo's SummerGroove 2000の第4回目が今年も7月15日の週末にかけて、マイアミのAmerican AirlineArenaで開催された。 華氏90度を超える当夜の気温もLenny KravitzやWyclef Jeanらの熱演で大いに盛り上がった会場の熱気にはかなわなかったようだ。 多くの批評家がKravitz自身の才能は他のアーティスト(Hendrix, Mayfield, EW&F、さらにLennon)からのあからさまな音楽的影響によってかすんでしまっていると指摘するが、この1999年のVH1 Fashion Awardで「最もファッショナブルな男性」に輝いたアーティストが一旦ステージに登場するやいなや、多面的な音楽的才能を持つ野獣が解き放たれたのだということを認めざるを得ないだろう。
ファルセットの威力を見せつけたミドルテンポの「It Ain't Over 'Til It's Over」では熱烈なファンを総立ちにさせ、続く「Black Velveteen」「Fields Of Joy」「Mr. Cab Driver」「Can't Get You Off My Mind」「I Belong To You」の圧倒的な演奏の間も立ちっぱなしにさせたのである。そして、ショウもピークに達したと思われたちょうどその時に、ステージは新たなレヴェルへと突入したのだった。 「ポジティヴな人々がポジティヴなことをするために一緒になってこそポジティヴさは達成される。こんなに多様な聴衆がひとつの目的のために集まってくれたのは素晴らしいことだ」と宣言したKravitzは、10年の時を経ても威力を失わない賛歌「Let Love Rule」へとなだれ込んだ。 アリーナの中央に辿り着くまでオーディエンスの中を練り歩いたLennyはサウンドボードのてっぺんに立ち、釘付けになった聴衆をリードしてコーラス部分を5回も拳を振り上げながら唱和させたのである。 これはフィナーレにふさわしい演出だったが、ほんの序の口に過ぎなかった。 アンコールではGrammyを受賞した2曲のスマッシュヒット「Fly Away」と「American Woman」を連発、エネルギッシュなファンと懐疑的なアンチKravitz派の両方を一気にノックアウトしたのである。 最初にRefugeeの子飼いであるGhetto and Bluesまたの名をProduct G&Bが「Dirty Dancing」でステージをウォームアップし、続いて「Maria, Maria」で火をつけた。'Clefが舞台に上がるころには、会場の熱気が彼によってもたらされたものか、単にG&Bのセットから引き継がれたものか判然としなくなっていた。 幸いなことにエネルギーのレヴェルは'Clefのステージでも維持されていた。 「マイアミで演るときにはいつもスピリチュアルでマジカルなヴァイブを感じるんだ」と'Clefは満足げに表明した。 彼の標傍するマルチカルチュラルなヒップホップにとって、マイアミが理想的な環境となったのは、おそらくその民族的な多様性によるものであろう。 ブラック国歌とも言うべき「Lift Every Voice And Sing」やお馴染みの「Fu-gee-la」「Gone 'Til November」「Guantanamera」といった曲でのフリースタイルのライム、ブレークダンス、迫力あるギター演奏などの要素は、最新作となるWyclefの2枚目のソロCD『Ecleftic: Two Sides To A Book』からの2曲の新曲とも、まるで以前からのレパートリーのように見事にブレンドされていた。 そのうちの1曲「It Doesn't Matter」のタイトルは、マイアミの人気者であるWWFの有名選手the Rockが広めたフレーズから採られている。もう1曲は「Thug Angel」であった。 自己中心的なエンターテイナーやスポーツ選手が当たり前のことになってしまった現在だが、Mourning, Kravitz, Jeanといった人々は当夜のチャリティという善行を通して、こうした先入観の打破に大きく貢献してくれたのである。 by dnd |