【インタビュー vol.2】SOPHIA、新作『BOYS and』を語る「ここで終わらない。繋がって続いてるということです」
■あなたは僕自身、僕はあなたなんです
■それこそが究極の願いなのかな
──そして7曲目、ラストナンバーが新曲「I&I Wish」。
松岡:人に付加価値を与えるものが音楽であったり、エンタメだと言われがちですけど、僕は生きるために、人が立ち上がるために、またはボロボロになった人の支えになったり、勇気になったり、救いになるのがエンタメだと思っているんです。そうなった例は過去にもあって。今回、この曲のモチーフになったのはボブ・マーリーなんです。僕は彼の超ファンではないけど、リスペクトするアーティストの一人。当時、ボブ・マーリーのライヴが内戦を収めた歴史があるじゃないですか。もし僕らが演っているエンタメに意味があるのであれば、先人として演ってる人たちが音楽で世界を変えたり混乱を止めたりしたという歴史を、いつか僕らもできたらという願いがあって。今、日本に内戦があるわけではないけど、「あなたが毎日直面している 世界の憂鬱」でも言ってるように、現代には現代の戦いがある。
──はい。
松岡:それはインターネットの中であったり情報社会にあるわけで。潤いや優しさ、思いやり、自分自身をもっと大切にしようよ、と。一個人からそれが周りに広がっていけば、もっともっと平和な世界になるんじゃないかなと。そこに少しでも気づいてもらうためのエンタメ。それなら創る意義があるんじゃないかなと思っているんです。それは僕だけの願いじゃなくて、あなただけの願いじゃなくて。あなたは僕自身、僕はあなたなんですよって言えるような…それこそが究極の願いなのかなと思ってこのタイトルになりました。
──まさに「I&I Wish」ですね。
松岡:“You&Me”だと、“今は一緒にいるけれど、あなたはあなたの人生、私は私の人生”という感じで、あなたと私は別の人という考え方になると思うんですね。だけど、ラスタ(ジャマイカの宗教)の考え方は、“あなた=You”って言葉を使わない。“あなた=I”なんです。子供にも、街を歩いてる人に対してもそうで、“I&I”って言うんです。“あなたの痛みは私の痛み、私の喜びはあなたの喜び”という考え方なんですよ。それがボブ・マーリーが奏でるような音楽になり、争っていた人々がビーチで踊り出すという。USAフォー・アフリカの「We Are The World」もそうじゃないですか。SOPHIAも同じ音楽であると考えれば、僕らも目指したいですよね、エンタメの力を。そういう考えのもとに創った楽曲です。
▲『BOYS and』ジャケット
──素晴らしい。
松岡:それと、ひとつ種明かしをすると、歌詞の最後に“I Believe to myself”って入れてるんです。“to myself”とは『GIRLS』収録曲の「MY SELF」のこと。歌詞の“もしもあなたに届くなら”はさっきお話した最初のツアータイトルだし、“I Believe”の「Believe」は僕たちが信じた真実。初期に使っていたワードをいろいろ入れ込んで、次の『GIRLS and』に繋げています。この曲にはシタールの音を入れているんですけど、それは「君と揺れていたい」の音をフィーチャーリングしたくて、わざわざ入れたんですよ。SOPHIA初期を総括するように、この曲のエンディングではトモ(赤松)がドラムで「街」のフレーズをフィーチャーしてるんです。
赤松:この曲は松ちゃんの必殺技ですよね。キタキタ!と思いました。ただ、ドラムパターンはあまり叩き慣れてない感じだったので、ちょっと難しかったです。そもそもテンポが遅い曲って難しいんですけど、SOPHIAはそういう曲が多いんですよね。
黒柳:俺もデモテープの段階からTHE松岡充だなと思った。なにか伝えたいことがあるとき、サウンドメイクも、その演出のひとつなることを表せた曲。その最新版だよね。
豊田:ここでこんな曲を持ってくるということは、ずっと温めてたのかなと思いました。デモからアコギが入っていたので、都とディスカッションしながら、ディレクションしてもらいながら、今回のレコーディングを進めていったんです。
都:キーボードは、曲の展開がより分かりやすく伝わるようにピアノフレーズを入れたり、伝えたいことが音でさらに伝わるように、というのを念頭に置いてアレンジを考えていった感じです。
──『BOYS and』はどんなSOPHIAが詰まった作品になったと思いますか?
豊田:揺るぎないSOPHIAサウンドですね。各自の役割分担、その役割を全うして、それが融合して一番いい形のサウンドになってると思います。
黒柳:当時は下手くそだったから練習するしかなくて。「ああでもないこうでもない」って言いながら、説明書がないプラモデルを作ってた感じ。「どれが合うかな?」って言いながら、みんなでね。だけど、今の俺らは完成図に向かって図面を見ながら話ができる状態だから。どっちが正解かは分からないけど、それは今のSOPHIAサウンドを聴けば分かると思う。
都:サウンド的には、豊かにしたかったし、それが年相応の見せ方として形になったと思います。
▲初回限定盤付属ミニポスター
──初回限定盤には『blue on blue』を初DVD化した映像作品が付属するところも注目です。
松岡:初海外のイタリアロケで、現地に到着するなり撮影で。めちゃくちゃ恥ずかしかったですよ。イタリアの街中で“ヴィジュアル系の衣装着てなにやってるんだろう”って思いましたから。その撮影が終わったと思ったら、「夜のロケもあるから」と言われ。
──スケジュールが詰め込まれていたわけですね。
松岡:そう。で、あの「KURU KURU」のストーリーは僕が考えたんです。どういう作品に仕上げたかったかというと、モンキーズのMVみたいにしたかったんですよ。ビートルズじゃなくてモンキーズなんです。モンキーズは、ビートルズに触発されたアメリカの音楽業界が作り出したアイドルグループだったと言われているじゃないですか。僕は当時彼らにシンパシーを感じてたんですよね。「ロードムービー風にして、8ミリで撮ってくれ」って映像テイストもリクエストしました。
黒柳:そうだね。ビデオじゃなく全編8ミリフィルムで撮ってる。ロードムービーみたいな感じは、これも脱ヴィジュアル系の映像だよね。あとは、俺たちSOPHIAの初海外。初海外でイタリア。めちゃめちゃバブルだったよね。ありえない。
豊田:松ちゃんが言ったように、現地ではめっちゃ撮影が詰め込まれてて大変だったんですけど、ご飯は美味しいし、初海外だからとにかく楽しかったという記憶です。僕は、この映像を見た皆さんの「SOPHIA、めっちゃ若っ!」っていう反応が楽しみです。
赤松:兵庫県の片田舎で生まれ育った人間が、20歳のときにいきなり東京に連れ出され、その1年後にデビューしたと思ったら、急に海外に連れていかれ。頭の中がまったく追いついてないから、この映像を見ても夢の中の出来事みたいな感じでフワフワしてるんです。こっぱずかしくて見られない(笑)。
都:僕はまだこのビデオを持ってますよ(笑)。恥ずかしいですよ、いまさらながら。でも、ファンの人たちが喜んでくれて、これで少しでもCDを手にとってくれる方が増えるのであれば、それはそれでいい。
──最後にミニアルバム『BOYS and』について、みなさんからメッセージをお願いします。
豊田:今現在のSOPHIAサウンドが『BOYS and』にあることに間違いないんですけど、これをきっかけに過去作『BOYS』も聴いてほしい。今改めて『BOYS』を聴くと、涙が出るぐらい可愛い俺たちの青春なんです。今作をきっかけに過去の俺たちとも繋がってほしい。
黒柳:好きとか嫌いで判断してもらうのは構わない。だけど、こうでなきゃダメだという先入観だけで排除してしまうことは、すごくつまらないと俺は思ってる。最初から拒絶するんじゃなくて、チャンスがあるなら聴いてみたらって俺は思ってる。
赤松:収録曲は皆さんに聴き馴染みのあるものなんですが、アレンジも含めて、全曲新曲だと思って聴いてほしい。原曲は30年前のものなので、音楽的には今ではやらないようなキメもあったりするんですけど、サウンドは現代的ですし、楽しめるはず。今の世代の人には一周回って新鮮に感じるのかなと思います。若い人たちのお父さんお母さんはSOPHIA世代だろうし、家族みんなで聴いてほしいですね。
都:「30年前と変わってない」と言われるのは絶対イヤだと思ってたんですよ。だから、“SOPHIAはこういう風に生まれ変わった”ということがちゃんと伝わるものにしました。それが伝わらないと、休止していた意味がないから。活動休止期間中はメンバーそれぞれ…たとえば僕は都啓一というブランドでいろいろなことをやってきた。自分の人生において、それを刻まないといけない一番のタイミングが『BOYS and』だったと思う。
──はい。
都:聴いてみて、もしかしたら“これは違う”と感じる人もいるかもしれない。けど、“それは申し訳ない。でも、これが俺のミュージシャンとしての人生だから”と思ってる。年齢も年齢だし、あとどれくらいステージに立てるか分からない。音楽家、いちミュージシャンとしての自分を大事に、その上で“しっかりといいものを創ったよ”と自信を持って言える作品です。
松岡:めちゃくちゃ新鮮なものができたと思います。“新曲は1曲で、あとはオリジナルのカバーか”っていう感覚で聴くと、全然違う味がすると思う。噛めば噛むほど、すごく残るもののある作品に仕上がりました。
取材・文◎東條祥恵
撮影◎小松陽祐 (ODD JOB LTD)
ヘアメイク◎戸倉陽子/狩野典子
■ミニアルバム『Boys and』
【初回限定盤(CD+DVD)】
TFCC-81109~81110 ¥5,500(税込)
CD 全7曲収録
DVD:『blue on blue』(「Eternal Flame」「KURU KURU」+ Private in Rome)
【通常盤(CD)】
TFCC-81111 ¥2,420(税込)
CD 全7曲収録
▼CD収録曲
1. State of love
2. Like forever
3. あなたが毎日直面している 世界の憂鬱
4. Secret Lover's Night
5. Kissing blue memories
6. Believe
7. I & I Wish
https://sophia-eternal.jp/contents/856330
■30th Anniversary第二弾 <スターライト>復活+<シンフォニックナイト>再演
10月30日(水) 神奈川・横浜BUNTAI
open17:30 / start18:30
▼<SOPHIA LIVE 2024 “スターライトヨコハマ”>
10月31日(木) 神奈川・横浜BUNTAI
open17:30 / start18:30
▼<SOPHIA LIVE 2024 “スターライトコウベ”>
11月04日(月/祝) 兵庫・神戸国際会館こくさいホール
open16:00 / start17:00
【チケット】
・一般指定席:11,000円
・着席指定席:15,000円
一般発売(先着):10/5(土)10:00〜 ※予定枚数に達し次第、販売終了
・mu-mo TICKET:http://r.y-tickets.jp/sophia2402
・イープラス:https://eplus.jp/sophia/
・チケットぴあ:https://w.pia.jp/t/sophia/
・ローソンチケット:https://l-tike.com/sophia/
■ミニアルバム『GIRLS and』
■ライブ映像作品『SOPHIA Premium Symphonic Night in 大阪城ホール』
■『SOPHIA 30th Anniversary × JOYSOUND直営店コラボキャンペーン』
※キャンペーン開始時間および終了時間は各店舗の営業時間に準じます
キャンペーンサイト:https://shop.joysound.com/campaign/sophia_2024/
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