【インタビュー vol.1】S0PHIA、30周年への想いとレアな記念公演を語る「復活できた奇跡と同じくらい」
2022年10月に9年ぶりの復活を遂げたSOPHIAが、本当の意味でのリスタートをきった。2024年にバンド結成30周年、2025年にデビュー30周年を迎えるSOPHIAは、この連続するアニバーサリーを2年間にわたって祝福することが恒例となっている。30th Anniversary企画のコンセプトは“もう一度SOPHIAがデビューする”というもの。2024年夏のライブハウスツアー<SOPHIA TOUR 2024 “Dear Boys and Girls and”>は、1995年デビュー時に開催した全国ツアー<SOPHIA TOUR '95 "Dear... Boys & Girls">をオマージュしたものだった。そして、30th Anniversary第二弾として10月末から11月頭にかけて行われる公演が、<SOPHIA Premium Symphonic Night in 横浜BUNTAI>、<SOPHIA LIVE 2024 “スターライトヨコハマ”>、<SOPHIA LIVE 2024 “スターライトコウベ”>といった3本だ。
◆SOPHIA 画像
10月30日に開催される<SOPHIA Premium Symphonic Night in 横浜BUNTAI>は、2024年3月に開催されたフルオーケストラとの共演による<SOPHIA Premium Symphonic Night in 大阪城ホール>の一夜限りの再演となるものだ。さらには、2007年に横浜赤レンガ倉庫、2008年には神戸メリケンパークで開催した伝説の野外イベント<スターライト>シリーズの復活が、<SOPHIA LIVE 2024 “スターライトヨコハマ”>(10月31日@神奈川・横浜BUNTAI)、<SOPHIA LIVE 2024 “スターライトコウベ”>(11月4日@兵庫・神戸国際会館こくさいホール)となる。
BARKSはSOPHIAの現在について、三部構成でじっくりと話を訊いた。その第一弾は30th Anniversary ライブとなる<シンフォニックナイト>再演と<スターライト>復活、第二弾は10月23日にリリースされるミニアルバム『BOYS and』、第三弾はバンドの現在と未来。まず第一弾では30th Anniversaryライブにスポットを当てて5人に訊いたロングインタビューをお届けしたい。
◆ ◆ ◆
■復活できたことを噛みしめるために
■原点に立ち返る必要があった
──現在SOPHIAは、結成30周年のアニバーサリーイヤー真っ只中です。まずはこの結成30周年をどんな気持ちで受け止めているのか聞かせてください。
黒柳能生(B):30周年という言葉に俺は縛られてなくて。残り少ない人生のなか、あと何本ライブができるか分からないんだから、まず1本1本を全力で楽しむというフラットな気持ち。ライブをやる理由が30周年にあるのなら、せっかくだったらみんなで楽しみたいと俺は思ってる。大事な周年であることに間違いはないから。
赤松芳朋(Dr):1本1本なにもかも、めっちゃ大事にしたなという気持ちでいっぱいです。
都啓一(Key):30年間、こうしてミュージシャンをやれてるのはありがたいことだと思ってます。30年前はそのときしか見えてなかったので、30年後もミュージシャンをやってるなんて想像もしてなかった。一生やりたいと思っていた、とはいえね。実際に30年経ってみて、変わらずこうしてインタビューを受け、レコーディングをして、ツアーを回って、ということができてるというのは凄いことだと思います。ありがたいですね。
▲松岡充(Vo)
──30年経っても、当時と同じように5人で集合インタビューを受けているところも凄い。バンドが大きくなればなるほど、さまざまな要因から個別インタビューになりがちですから。
都:これが復活後、まだ2回目ですけどね(一同爆笑)。
豊田和貴(G):こうしてオリジナルメンバーでいまだにバンドができて、活動できていることは尊いと思うし。今、最高に楽しいので幸せです(笑)。
都:作文してきたメモを読んでる?
豊田:いや、ほんまにその言葉以外出てこないだけ。だから、メンバーみんな、元気でいてくれてよかったわ。元気がないと笑顔になれないので。
松岡充(Vo):30周年はたしかにありがたいことなんですけど、その“ありがたい”は一体誰に対してありがたいなのか。でも、それしかないんですよ。言葉にするとしたら。
都:分かる。
──活動休止期間はあっても、SOPHIAがここまでメンバーチェンジなく、30年続いてきた理由はなんだと思いますか?
赤松:まず生きてるからだよね。30年もあったら…そこで誰も死ななかったということ。それと、一人ひとりのSOPHIAに対する愛情じゃないですか。
都:それもあるけど、意外とそんなこと考えてなかったのかも。目の前のことを必死にやるしかなかったので。だから悪い言い方をすると、空っぽ。“あー、そういうことだったんだ”って後から意味が分かるっていうかね。これで、松ちゃん(松岡 充)も空っぽだったら、絶対に無理だったと思うんです。逆に、全員が自主的にガンガンいってたら、それはそれでダメになってた。SOPHIAはそうじゃなかったんですよ。もちろん、なにか議題がテーブルに上がれば、「それをやるなら、こういうのもある」みたいな意見はあるけど、根幹は松ちゃんに委ねてた。結果、それでうまく続いているんだと思います。
豊田:誰か一人でも辞めてたら、もしかしたら解散してたかもしれないし。でも誰も辞めんかったからかな。
▲豊田和貴(G)
▲黒柳能生(B)
──結成30周年アニバーサリーイヤーの第一弾として2024年夏、デビュー時の全国ツアー<SOPHIA TOUR ‘95 “Dear...Boys&Girls”>をオマージュしたライブハウスツアー<SOPHIA TOUR 2024 ”Dear Boys and Girls and“>を開催しました。当時と同規模のライブハウスで全国7ヵ所、チケット代も当時の価格のままというのは衝撃的でしたが。皆さん、やってみていかがでしたか?
赤松:狭いライブハウスにこれだけの人数が入るんだ!?っていう景色は正直凄かったです。だから、お客さんもステージの俺らも、お互い暑くて大変でした。あと、めちゃくちゃお互いの顔が見える距離だったのが新鮮でしたね。昔もライブハウスはやってましたけど、この年齢でまたあれを経験できたのがよかった。
黒柳:舞台が狭いとか照明がすげぇ近いとか、会場の天井が高かったり低かったり、場所場所によって個性がいろいろあったけど、俺たちがやることは一緒だからさ。けど、ライブハウスによっては照明が点くだけで体感温度が5℃ぐらい上がるところもあったりして、久しぶりに大汗をかくライブをやったなって感じ。“ライブハウスってこうだったな”っていうのを思い出した。
都:復活したSOPHIAの初ツアーが、結成30周年に合わせて、“30年前のツアーをオマージュしてのライブハウスツアー”って、企画としては面白いですよね。なかでも、どれが一番しびれたかって、3,090円っていうチケット価格。この物価高のご時世に、そこまで一緒にするのか!?って。
──これ、元々は誰が言い出したんですか?
都:松ちゃんです。けど、俺もそういうのが好きだから、「そこまでこだわりたいんやな、分かった」と。だって面白いじゃないですか。もちろん他のミュージシャンからは言われましたよ、「ライブハウスを回るのは面白いけど、いろいろ大丈夫なの?」って(笑)。キャパに対してお客さんもパンパンで大変だから、「君らも30年前に戻って頑張って」と言ってるようなツアーだったんですけど、それでも最後まで無事に回れた。当時をできるだけ再現した形でライブハウスツアーをやるというのは、なかなかできないことだと思いますよ、他の人は。“あの伝説ライブを今に再現”みたいなコンセプト公演はよくありますけど、俺らは伝説のライブじゃなくて、一番最初のデビューツアーの再現ですから(笑)。
▲都啓一(Key)
▲赤松芳朋(Dr)
──だはは。伝説でも何でもない、バンドのスタートライン(笑)。
都:そう。それを当時と同じ価格、THANK YOU=3,090円でやるからこそ伝わると思ってて。そこを信じたいんですよ。正直、“6900円でええやん?”とも思うけど、それだと違う。それを今できるSOPHIAは本当に凄いと思うし、それを楽しめるお客さんも凄い。これが30th Anniversary企画のスタートなんて、最高だと思います。
豊田:めちゃめちゃ愛されてるバンドだなと思いました。久しぶりにやる楽曲でも、そのイントロが鳴っただけでファンは反応するんですよ。すっごい笑顔になったり、笑ってるのに泣いてたり。ライブハウスだから、プレイしながらみんなの表情が一斉に目に入ってくるっていうのは、本当に絶景で。それが今回のライブハウスツアーの醍醐味でしたね。オリジナルメンバーでいまだに活動できてて、ステージでプレイするだけで、お客さんから凄まじいリアクションが返ってくる。めちゃめちゃ愛されてる空気がお客さんから漂ってるなって。こんなに素晴らしくて、尊いことはないよなって気持ちを噛み締めながら、最後の最後まで楽しめました。
──松岡さんには、今回の“デビューツアー再現”を企画した理由からお伺いしたいんですが。
松岡:SOPHIAはバンドだというのが根底にあるから、この5人がいれば、それだけで成立するんです。そんなの当たり前だって思うかもしれないけど、デビューしてからどんどん活動規模が大きくなるにつれ、サポートしてくださる方々も増えて、その方々のお陰で、僕らは用意してもらったステージに立つだけでよくなった。だけど、こうして復活できたことをもう一回噛みしめるために、原点に立ち返る必要があった。もう一回、素の5人だけの音楽を確認したほうがいいんじゃないかと。だからこのツアーを企画して、メンバーに提案したんです。そうしたら、さっき都が言ったように「やりたい」「おもろいやん!」って反応があった。さっきの質問の回答になるんですけど、そういうメンバーだからこそ、SOPHIAは30年続いたんだと思うんです。
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