【インタビュー】Ken Yokoyama、90sパンクカバーアルバムを語る「愛しているんですよね、僕はこの頃のバンドとか曲を」

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■このアルバムを作ったのにも色々理由があるけど
■普通を打破したいなってところもあったのかも


──今回、カバーアルバムを作って、ライブでプレイするたび、観る側もやる側も若返っちゃうでしょうね。それぐらいの力も持っていると思います。

横山:本当ですか? でもね、おじさんが若返るよりも、若い連中に聴いてもらいたい(笑)。いや、本当は誰にリーチしてもいいんですよ。このアルバムを作った動機のひとつに、いろんなフェスに出ていて感じたんですけど、お客さんは日本のバンドで止まっちゃっているなって。出演しているバンドたちがどういった海外のバンドから刺激を受けて、こういうバンドになったのかってところに、実はリーチしづらい状況になっていると思うんですよ。音楽を掘っていく作業って楽しいなと、リスナーの人たちが思ってくれたら嬉しいですね。

──ところで先ほど、「レコーディングではレクチファイヤーを鳴らした」と言っていました。久々にスタジオに持ち込んだ機材もありますか?

横山:'90年代に弾いていたナビゲーターの黒いレスポールカスタムタイプで“Skate”と呼んでたギターがあるんですよ。あれをメインで使いましたね。アンプは、このアルバムからソルダーノを使い始めて。この20年間、僕はディーゼルというすごくパワーのあるアンプを使っていたんですよ。でもそのパワーに、ちょっと飽きてしまって。'90年代にソルダーノをレコーディングで使ったから、これもある種の回帰なのかな。

──各楽曲がそういう音を求めていたというのも大きいですか?

横山:そうですね。ソルダーノを使っていなかったとしても、今回はディーゼルで弾かないほうがいいよねってのは、確かにあったから。

南:僕はレクチファイヤーで、ギターはナビゲーターのレスポールタイプです。


──それらの機材を持ってツアー<The Golden Age Of Punk Rock Tour>に出るんですか?

南:いや、レクチファイヤーは持っていかないと思います。でも分かんない。レクチにしようかな…考えておきます。

横山:僕はソルダーノを。Skateも持っていかなきゃダメかな…考えます(笑)。ライブで弾きたいギターが多すぎて、もう収拾ついてないんですよね。

──通常のライブでは何本ぐらいステージ袖に用意しているものですか?

横山:僕は5本です。レスポールタイプ、テレキャスタイプ、グレッチのフルアコとセミアコ、P-90を付けたレスポールジュニア。

南:それでもちょっと抑えてる感じですか? あと2本ぐらいいきたい感じ?

横山:だね。でもギターテックにちょっとイヤな顔されるんでね(笑)。

──だってライブ本番スタートの1時間ぐらい前ですからね、横山さんの会場入りは。

横山:そうだけど、機材は持って行ってもらってるんで。ただね、手持ちで持ち込むギターが癖ものなんですよ。「今日、これ弾きたいから」って、本番の1時間ぐらい前にテックに渡すんです。「はい」とは言ってくれるんですけど、その前に「あっ…」が付きますね。「あっ…、はい」って(笑)。

──ははは。

横山:今回ギターレコーディングは3本でやりましたね。Skateがメインで、あとはTIKIと呼んでいるフェンダーのテレキャスターと、P-90付きのレスポールジュニアです。その3本で全部を録り切りました。あんまりいろんな音色でやるもんじゃない気がして。音が多彩だなと思ったのなら、それは指(フィンガリング/ピッキング)からくるもんなんだよと。

──それが分かる、いいアルバムです。


南:今回、思ったよりも、周りのみなさんが食いついてくるから、意外だったんですよ。どういう反応かな?って、期待と不安があったんですけど、意外なぐらい反応が良いですね。

横山:お客さんはまだ音源を聴いていないわけじゃないですか。でも、この行為にまず喜んでくれている気がします。この前、大阪でNOFXのカバーをやってみたんですよ。めちゃ盛り上がって。

──ライブ当日、いきなり開催を告知したライブハウスギグですよね? カバーやったという話の前に、あれはどういうことですか?

横山:まだ2回しかやってないんですけど、<突然ギグ>っていうのがあるんです。当日、SNSで告知して、来れる人だけ来てっていう。いや、最高におもしろいですよ。言葉を選ばずに言うと、①ライブやツアーをブッキングしました。②お客さんは事前にチケットを買ってくれます。③当日、バンドはその街に行きます。④お客さんは時間が来たら集まります。⑤ステージと客席に分かれて、僕たちは楽曲を演奏をします…っていう、この一連の流れが全部イヤなんです。他になにか方法はあるのかと言ったら、ないんですけど。ありきたりな感じがすごくイヤなんですよ。

──ルーティーン化している感じが?

横山:うん。それで食えているなんて幸せなことなんですけど。でも、たまに<突然ギグ>をやると、いろいろ感じるんですよ。<突然ギグ>は当日告知して。仕事をしている人たちが、理由付けて会社からライブハウスへチケット買いに行ってとか。いろんなことが刺激的なんですよね。今年に入って、フェスで定番曲をやらなくなったのもそう。なんとかして普通化してしまったものから脱却したいという意識が、すごくあるんですよ。最近始まったことじゃなくて、実は何年も前から思っていて。

──フェスで定番曲をセットリストから外すKen Yokoyamaの攻め方に「ものすごく刺激された」と言っているバンドマンもいましたよ。

横山:本当ですか。誰かがそれを刺激として受け止めてくれたら嬉しいんですけどね。すごく僕は考えちゃうんです。このアルバムを作ったのにもいろんな理由があるけど、もしかしたら、普通を打破したいなってところもあったかもしれないです。

取材・文◎長谷川幸信

■8.5thアルバム『The Golden Age Of Punk Rock』


2024年10月16日(水)発売
【通常盤】PZCA-108 ¥2,750 (税込)
▼収録曲
01. Soothing
 Originaled by「Satanic Surfers」
02. It’s A Fact
 Originaled by「Vandals」
03. Stickin’ In My Eye
 Originaled by「 NOFX」
04. Too Late
 Originaled by「Snuff」
05. International You Day
 Originaled by「No Use For A Name」
06. I’m The One
 Originaled by「Descendents」
07. All My Best Friends Are Metalheads
 Originaled by「Less Than Jake」
08. You’ve Done Nothing
 Originaled by「Face To Face」
09. Time To Grow Up
 Originaled by「Bodyjar」
10. Roots Radical
 Originaled by「Rancid」
11. Crazy
 Originaled by「ALL」
12. All The Small Things
 Originaled by「Blink-182」
13. Break The Glass
 Originaled by「Suicide Machine」
14. 21st Century Digital Boy
 Originaled by「Bad Religion」
15. Holiday
 Originaled by「The Get Up Kids」
16. May16
 Originaled by「Lagwagon」

■ツアー<The Golden Age Of Punk Rock Tour>

10月21日(月) 渋谷 CLUB QUATTRO
10月29日(火) 福岡 DRUM LOGOS
10月30日(水) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
11月01日(金) 松山 WStudioRED
11月07日(木) 新潟 LOTS
11月08日(金) 仙台 RENSA
11月15日(金) 川崎 CLUB CITTA'
11月19日(火) 大阪 GOLLIRA HALL
11月20日(水) 名古屋 DIAMOND HALL
12月01日(日) 江の島 OPPA-LA
12月06日(金) 渋谷 Spotify O-EAST


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