【速レポ】<SATANIC CARNIVAL>Ken Yokoyama、ポジティブな挑戦が生んだ感動的シンガロング「一緒に歌える歓びを味わおうじゃないか」

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「えーい、楽しんでるかい? ようこそ<SATANIC CARNIVAL>に。今回で10回目の開催かな。去年、ここ(幕張メッセ)に帰ってきて、やっぱここはいいなと思ったよ。一ヵ所に大勢が集まって、一緒に歌える歓びを味わおうじゃないか。いいかい?」──横山健

◆ライブ写真

登場のSEもなく、ふらっとステージに現れたKen Yokoyamaの4人に拍手と歓声が飛ぶ中、横山健(G, Vo)が観客に声を掛けてから、演奏は2024年1月にリリースした目下の最新アルバム『Indian Burn』のトップを飾る「Parasites」から始まった。2ビートと8ビートを巧みに使い分ける松本”EKKUN”英二(Dr)のドラムが竜巻き、早速、SATAN STAGEを揺らしていく。まだまだ音楽を続けていくぞという思いを込めた曲だ。横山がかき鳴らすトレモロピッキングに力が入るのは当然だ。


そこに繋げたのは、『Indian Burn』のリリースに先駆け、シングルとしてリリースした「My One Wish」。讃美歌を思わせるメロディが、横山のメロディメイキングがここに来てさらに一皮剥けたことに加え、南英紀(G)がサビに重ねるハーモニーがこの曲にもたらす絶大な効果を改めて思い知る。

テンポアップした演奏が観客をさらに揺らした「4Wheels 9Lives」は、横山がマイクをオフった瞬間、観客のシンガロングがSATAN STAGEに響きわたる。もちろん、スピーディーにリズムを刻む南とJun Gray(B)のプレイも聴き逃せない。





「前のほうから“健さん抱いて”って聞こえたけど、男の声だった。男が入れってってことはないだろ(笑)」──下ネタ交じりの軽口でも観客を歓ばせながら、繋げた「Better Left Unsaid」「Forever Yours」が印象づけたのは、胸に染みる楽曲そのものの良さ。マージービート風の前者は、グリッサンドとチョーキングを大胆に使いながら、横山が弾いたダイナミックなソロに加え、ここぞというところでJun Grayが閃かせるオクターブのフレーズも聴きどころ。オールディーズ風のバラードをパンクロック化したようにも聴こえる後者は、横山の軽やかなフィンガリングに目が釘付けに。

「『Indian Burn』聴いてくれたかい? ほんとかよ。聴いてくれたってことは、一緒に歌えるってことだよな。全部は無理だとしても、タイトルぐらい叫べるよな。おいおい、何、自信なさそうにしているんだよ(笑)。ずっとショウをやり続けるって曲だ。何の曲かもうわかってるよな? わかるところだけでいいから一緒に歌ってくれ!」──横山健

そんなふうにさりげなく『Indian Burn』の中でも特に大事な曲であることを伝え、タイトルをリフレインするサビを観客と一緒に歌った「The Show Must Go On」。横山は歌メロをモチーフにしながら、フレーズを奔放に発展させていくギターソロを披露。メロディメイキングに加え、横山のギタープレイもここに来て、ますます味わい深いものになってきた印象だ。


ここで横山は、「Ken Yokoyamaにも知られている曲はいっぱいあるけど、もうやり飽きた。フェスでは」と爆弾発言(!?)。

「みんなもう薄々気づいていると思うけど、“フェスってこれだよな”って(代表)曲は、今回はやめようと思った。Ken Yokoyamaを初めて観る人にとって、入口になることを考えれば、代表曲をやるべきなんだけど、今日は新曲を含め、コロナが始まってから出した曲しかやってない。代表曲を調べてきた人は、ごめん。そういう曲はツアーでやるから、機会があったら観に来てよ」──横山健

なんと、冒頭に書いたとおり、いかにも気負ってない風を装いながら(か、どうかはわからないけど)、今回のセットリストにそんな挑戦があったなんて心憎い。裏を返せば、コロナ以降に書いた曲に、それだけ自信と愛着があるということだろう。『Indian Burn』のリリースツアーでも感じたことだが、コロナ禍を経て、横山の気持ちがポジティブな方向に動いていることは明らかなようだ。


「よし! コロナが始まって真っ先に出した『Bored? Yeah, Me Too』からやろうか」と披露した「Still I Got To Fight」では「singing!」という横山に応え、観客がサビを歌う。コロナ以降の曲も、長年ファンに愛されてきた曲の数々に負けず、しっかりと浸透していることに気を良くしたのか、横山は自分のマイクを観客に放り投げ、一緒に歌う歓びを分かち合う。

「また近々会おう。初めて見た人はKen Yokoyamaというバンド名だけでも憶えて帰ってくれ。そのうちライブを観に来てな。たくさんツアーしているから会いに来てくれ」──横山健

最後を飾ったのは、「My One Wish」同様に『Indian Burn』に先駆け、シングルとしてリリースした「These Magic Words」。HEY-SMITHの猪狩秀平が言うところの“やさしくてカッコいいパンクロック”とは、こういう曲のことを言うんじゃないか。


歌い始めた横山に観客が重ねたシンガロングが物語っていたのは、もちろんこの曲がすでにKen Yokoyamaの新しいアンセムになっているという紛れもない事実。サビをシンガロングする観客の歌声を聴き、横山も大いに満足しているようだ。メンバーがステージを降りた後も一人残って、名残惜しそうにいつまでもお辞儀を繰り返す横山の姿が印象的だった。

「楽しかったよ!」──横山健

観客が拍手喝采を贈る中、LEDビジョンに映し出されたのは、横山の満面の笑みだった。

取材・文◎山口智男
撮影◎岸田哲平

■セットリスト

1. Parasites
2. My One Wish
3. 4Wheels 9Lives
4. Better Left Unsaid
5. Forever Yours
6. The Show Must Go On
7. Still I Got To Fight
8. These Magic Words

■<SATANIC CARNIVAL 2024>

6月15日(土) 幕張メッセ国際展示場 9-11
・物販 / FOOD AREA:start 9:30
・ライブ観覧エリア:open10:00 / start11:00 ※21:00終演予定
▼出演者 ※28組
04 Limited Sazabys
HIKAGE
10-FEET
HOTSQUALL
Age Factory
Ken Yokoyama
バックドロップシンデレラ
Maki
The BONEZ
NOISEMAKER
BRAHMAN
マキシマム ザ ホルモン
Dizzy Sunfist
OVER ARM THROW
dustbox
Paledusk
ENTH
ROTTENGRAFFTY
Fear, and Loathing in Las Vegas
サバシスター
FIGHT IT OUT
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
FOMARE
SHADOWS
ハルカミライ
四星球
HEY-SMITH
[OA]WHISPER OUT LOUD
▼チケット
・オフィシャルHP先行 ¥10,800
・各種プレイガイド先行 ¥11,000
・一般 ¥11,000

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