【速レポ】＜京都大作戦2024＞Ken Yokoyama、変わらぬ本質と拡大する挑戦「なるべく多くの人に気持ちが伝わったらいいと思ってステージやってます」

ジングルの直後、SEもなく出てきたKen Yokoyamaのメンバー。手を振ったり笑顔を見せたりしてオーディエンスを歓迎するのはJun Gray (B)、南英紀 (G) 、松本”EKKUN”英二 (Dr)。横山健 (G, Vo)はコードをかき鳴らし、こんな言葉をオーディエンスに掛けた。

◆ライブ写真

「こんなに暑いのに元気だな。最後までケガなく楽しんで。東京から来たKen Yokoyamaというバンドです。パンクロックをプレイします」──横山健


直後、切り刻むような高速リフから突入したのは、最新アルバム『Indian Burn』からの「Parasites」。アルバムのツアーを経て、すっかり仕上がっているのはKen Yokoyamaばかりではない。オーディエンスも身体の髄まで曲を染みこませ、強く生き抜いてやるというメッセージが込められた歌詞を体現するように、生命力がとんでもなく強そうなクラウドサーフがあちこちから起こる。

さらに「4Wheels 9Lives」や「My One Wish」「These Magic Words」などが間髪なく続くと、曲に煽られてクラウドサーフやモッシュするだけでなく、メロディに合わせて腕があがったり、共にシンガロングするなど、自由な楽しみ方や感じ方をするオーディエンス。Kenはメロウィックサインを両手で作り、感謝の気持ちも現わした。





「ありがとう、京都大作戦。この環境は過酷だけど、最後まで楽しんでいってな。だいたい毎年参加させてもらってるけど、今年はことさら天気が良くて、どうしちゃったんだろうな、これ。このフェス、すごく大好きでさ。フェスって主催者によって、全然来る人も違って、みんなの考え方も違うんだよな。このフェスが好きな理由は、すごくみんなが10-FEETのこと大好きで。そうだろ？ それで10-FEETが俺のことを大好きだ！っていう。そこが一番好きなとこです」──横山健

そう言ってニヤッと笑う横山健に、オーディエンスからは大歓声も。また大好きで信用している京都大作戦だから、他のフェスではやらないことにトライするという。それはライブ前半は新しい曲を中心に、後半からは古い曲を中心にプレイすること。アルバム『Indian Burn』のツアーでは、新作を軸にしながらも、遠慮なく過去の曲やレア曲もセットリストに加えていたが、そのマインドがさらに拡大化したようだ。しかしサービス精神とか、昔からのファンも喜んでもらいたいなど、そんな感じではない。横山健はこんなことも言った。


「フェスが盛り上がろうと、盛り上がらなかろうと、どっちだっていい。なにかを受け取ってくれたらと思って。なあ、10-FEET、京都のバンドだろ。俺たちみたいなバンドシーンを背負って紅白にも出て、今、大変なことになっていると思うんだ。京都のバンドシーン、10-FEETを離すなよ」──横山健

やはり伝えたいこと、メッセージしたいこと、それがKen Yokoyamaの鳴らすパンクロックだ。「Support Your Local」を始め、それぞれの曲に込めた想いが太陽が丘に轟き、オーディエンスは力強いコブシも振り上げながらKen Yokoyamaからのスピリットをガッチリと受け取る。フェスらしい一体感とはちょっと違って、オーディエンスの一人一人にしっかり響き、それぞれが熱くなっていく感じだ。





「たくさんバンドが出るからね。こういうバンドがひとつぐらいいてもおもしろいだろ。だって俺、いつまでもパンクロッカーでいたいからさ」──横山健

その言葉で“パンクロック”コールが自然に巻き起こる太陽が丘。そこからKen Yokoyamaが投下したのは「Ricky Punks」。しかも立て続けに「Ricky Punks II」も。

「なるべく多くの人に気持ちが伝わったらいいと思ってステージやってます」──横山健



そう言いながら、日の丸の国旗を肩から掛けた横山健はラストナンバー「Ricky Punks III」を叩きつけた。東日本大震災がきっかけとなり、様々なことを考え、そして生まれた気持ちを歌詞に込めたナンバーだ。真剣な顔つきでメッセージする。さらに、時間が余っていたために「Punk Rock Dream」もプレイ。ステージから何度もマイクを放り投げ、歌をオーディエンスに任せる場面が何度も。

京都大作戦ならではのトライもしながら、しかし結果的に古くからのファンも大喜びする、そしてフェスも盛り上がるステージとなった。Ken Yokoyama、さすがだ。


取材・文◎長谷川幸信
撮影◎Yukihide"JON..."Takimoto