【対談】GLIM SPANKY × 花譜、コラボ楽曲「ひみつを君に feat. 花譜」に秘密の数々「音楽活動のターニングポイントに」
メジャーデビュー10周年を迎えたGLIM SPANKYが、バーチャルシンガー花譜とのコラボレーション曲「ひみつを君に feat. 花譜」をリリースした。2018年に3Dモデリングされたアバターを使って、活動を開始した花譜は現在、バーチャルとリアルの垣根を越える活動を展開中だ。唯一無二と謳われる歌声が歓迎され、人気を集めている。
◆GLIM SPANKY × 花譜 画像 / 動画
両者のコラボレーションは、花譜によるリアルアーティストおよびコンポーザーとのコボレーション企画『組曲』に提供した「鏡よ鏡」以来、約3年ぶり。今回はGLIM SPANKYがパートナーに花譜を招いてのコラボレーションとなった。
轟音のリフで聴かせるロックナンバーだった「鏡よ鏡」から一転、ノスタルジックでフォーキーなバラードとなった今回の「ひみつを君に feat. 花譜」は、どんなふうに生まれたのか。BARKSではGLIM SPANKYと花譜の対談を実施。「ひみつを君に feat. 花譜」のバックグラウンドを含め、両者の間にある“秘密”の数々に迫る。
◆ ◆ ◆
■花譜ちゃんの「美しい棘」を聴いた時
■“歌の主人公になってる”と思った
──花譜さんがGLIM SPANKYの「美しい棘」と「東京は燃えてる」をカバーしたことがきっかけで、前回のコラボ曲の「鏡よ鏡」、そして今回の「ひみつを君に」に繋がっていったと思うのですが、花譜さんがGLIM SPANKYを好きになったのはいつ頃、どんなきっかけからだったのでしょうか?
花譜:中学生の時、ラジオを聴いていたら、たまたまGLIM SPANKYの「愚か者たち」が流れてきたんです。“なんだ、このカッコいい曲は⁉”と思って、それから他の曲も聴き始めました。小学生の頃からずっとボーカロイドを聴いてきて、中学校の真ん中ぐらいでRADWIMPSを知って、そこから邦楽ロックをいろいろ聴き始めたところだったんですけど、その中でもGLIM SPANKYの曲は、まず(松尾)レミさんの歌声がめちゃめちゃカッコよかった。今まで聴いたことがない歌声というか、私には絶対出せない歌声だから、そこがまずガツンときて。
松尾:ありがとう。
花譜:めちゃめちゃカッコいいと思うと同時に、羨ましいという気持ちもありました。曲はおとぎ話みたいなイメージがありながらも、すごく真っ直ぐで、地に足が着いていて、すとんと胸の内に落ちてきてくれるような歌詞もめちゃめちゃ良かったです。
──カバーした2曲以外にも好きな曲があったら教えてください。
花譜:いっぱいあります(笑)。
松尾:嬉しい(笑)。
亀本:照れくさい(笑)。
花譜:「美しい棘」が入っている『I STAND ALONE』(2017年発表/3rdミニアルバム)は全曲好きだし、「サンライズジャーニー」も好きだし、「大人になったら」も好きだし。他にもいっぱいあるんですよ。
松尾:『I STAND ALONE』を挙げてくれるのはなかなかマニアックですね。
花譜:GLIM SPANKYを聴き始めたとき、同級生にも好きな子がいて、その子が『I STAND ALONE』を貸してくれたんですよ。
松尾:わー、嬉しい。同級生にもいたんだ。貸し借りとかなんか青春だな(笑)。
──GLIM SPANKYのお二人が花譜さんのことを知ったきっかけは、「美しい棘」と「東京は燃えてる」のカバーだったんですか?
亀本:そうですね。「“「美しい棘」のカバーをYouTubeに投稿します”って申請がきてます」って、僕らの所属レコード会社から話があって。その時、花譜さんのことは知らなかったから、“どんなシンガーなんだろう?”と思って聴いてみたら、すごく良かったんです。同時に、“こういうアーティストの方がいらっしゃるんだ”ってバーチャルシンガーという活動の仕方にすごく興味を持って。そこから花譜さんが所属しているKAMITSUBAKI STUDIOの活動をいろいろ見せてもらったんですけど、そういうシーンがあるということを僕らは全然知らなかったので、それにびっくりして。だから、バーチャルシンガーの方とか、それこそ花譜さんが聴いていたボーカロイドとか、そういう音楽の入口が、僕は花譜さんだったんですよ。
──花譜さんの「美しい棘」と「東京は燃えてる」を聴いたとき「すごく良かったと思った」と亀本さんは前回のBARKSインタビューでおっしゃっていましたが、どんなふうに良かったんでしょうか?
亀本:自分達で言うのもあれなんですけど、松尾さんっぽく歌おうとしてダメになってるパターンがすごく多いなって感じてたんです。“別に松尾さんっぽくしようとしなくていいのに。だって、そもそも声質が違うんだから、そんなふうにしなくていいのに”と思っちゃうことが多いんですけど、花譜さんはもう、自分の曲にしてくれてたんですよね。だから、オリジナルとカバー、どっちがいいか比べようがないっていうか、松尾さんよりいいねとか、松尾さんより良くないねとか、そういうベクトルでは比べられない。もう別の表現になっていたので、本当に素晴らしいと思いました。
松尾:わかる。ファンの子達から、「カバーしてるんですけど、レミさんみたいに歌えるようになるには、どうしたらいいですか?」とか、「レミさんっぽく歌うには、どうすればいいですか?」とか、いっぱいメッセージがくるんですけど、そういうときに私は、「“松尾レミっぽく歌わない”と思って歌うことが一番じゃないかな」って言うんですよ。もちろん、それっぽくしてすごくオリジナリティを出す人もいるし、ロックなんて真似の文化ですから、そういうオマージュからいろいろ進化していくものだっていう前提の上で言ってるんですけど。そもそもの歌の土台というのかな、そこの部分でまずは自分らしく歌ってみるってことが大事だと私は思っていて。
──花譜さんがそうだったと。
松尾:花譜ちゃんの「美しい棘」を聴いた時に、“歌の主人公になってる”と思ったんですよ。それってすごく難しいことで。GLIM SPANKYもカバーをたくさんするので、自分でも心がけてることなんですけど、 ただその楽曲をなぞるだけでは、ただのコピーにしかならないから、その曲の主人公になりきるというか、その歌に憑依するというか、リスペクトも含め、一回飲み込んだものを全部噛み砕いた上で、それを自分の体を使って表現することが重要だと思っているんです。でも、それってある種、魂を削ってやってる音楽表現のようにも感じるんですよ、私は。花譜ちゃんの表現っていうのは、そういう意味で、本当に魂がこもってるし、誰もができることじゃないと思う。そこにリスペクトもすごく感じるし、花譜ちゃんと精神的に繋がってる部分っていうのがあるんだろうなって思います。
花譜:ありがとうございます。
松尾:いえいえ、こちらこそ。あと、花譜ちゃんの声もすごく素敵で、私には絶対に出せない。だから、今回の「ひみつを君に」でも、“本当はこういうふうに表現したいんだけど、なかなかうまくできない”みたいなところでも、花譜ちゃんは私にはできない表現をしてくれていて。詞の世界とか、メロディとかを歌の表現力ですごく広げてくれて、それは本当にすごいなって思いました。
花譜:嬉しいです。
──今、お話に出た「ひみつを君に」が生まれた経緯を教えてほしいのですが、前回の「鏡よ鏡」から約3年ぶりに今回、二度目のコラボが実現したきっかけは、GLIM SPANKYのメジャーデビュー10周年を記念する企画として、GLIM SPANKYからオファーしたことなんですか?
亀本:そうです。10周年記念にリリースするベストアルバムに、他のアーティストとのコラボレーション作品を入れたいという話になりまして。誰とコラボしたいか、いろいろ名前を挙げていく中で、「鏡よ鏡」を作ったことが、自分の中でも音楽活動のターニングポイントになったというか。さっきも言ったように自分の音楽の視野がバンって広がったタイミングだったことを思い出して、“今回のコラボも自分の活動の中で重要なものになるんじゃないか。だったら花譜さんともう一度”と思ってオファーさせてもらいました。
松尾:この10年の間に新しい挑戦になったものとか、いい出会いになったものとかがたくさんある中で、それに負けないくらいワクワクできる人にお願いしようってなったとき、「花譜ちゃん、やってくれるかな?」って案を出したら、みんな「いいね」と言ってくれたんです。
花譜:オファーをもらったとき、本当に嬉しくて。今、こうしてお二人とお話していることも自分にとっては信じられないくらいなんですけど。またこんなふうにGLIM SPANKYさんの作品に参加させてもらえることはもちろん、10周年っていうめちゃめちゃ記念すべきタイミングで、私を選んでもらえたのもめちゃめちゃ嬉しかったです。
松尾:ありがとう。
花譜:こちらこそありがとうございます。
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