【ライブレポート】GLIM SPANKY、<10th Anniversary Tour 2024>完遂「時代に関係なく響くものを」
GLIM SPANKYが8月30日、東京・Zepp Shinjukuにてメジャーデビュー10周年記念ツアー<GLIM SPANKY 10th Anniversary Tour 2024>のファイナル公演を開催した。8月7日の東京・渋谷チェルシーホテル(FC限定公演)を皮切りに、大阪・味園ユニバース、愛知・名古屋ボトムラインをまわった同東名阪ツアーの千秋楽がZepp Shinjuku公演だ。先ごろ公開したオフィシャルレポートに続いて、BARKSオリジナルレポートをお届けしたい。
◆GLIM SPANKY 画像
「大きなレーベルと契約して、身勝手なことをしちゃってるほうではあるけど(笑)、そうそう身勝手なことができない中で、なぜ音楽活動しているかっていうと、たくさんの人に聴いてもらえる音楽を作りたいとか、自分達の音楽をもっといろいろな人に届けたいとか考えていることが一番大きい。そういう意味では道半ばなので、10年とか、何年とかの区切りよりも、まだまだ進んでいこうと思っています!」──亀本寛貴(G)
観客のアンコールに応え、再びステージに戻ってきたとき、亀本寛貴ははっきりとそう言った。同様に松尾レミ(Vo, G)がこの日、言った「10周年ということもあって、昔から来てくれてる人もいれば、初めましての人もいれば、さまざまな人に出会えました。本当に10周年のツアーをやってよかったです」の「やってよかった」という言葉からは、(言葉尻を捉えるようで申し訳ない!)一区切りつけるにはまだ早いだろうという気持ちもどこかにありながら、今回の<10th Anniversary Tour 2024>に臨んだことが窺えるのだが、それでも「やってよかった」と思えたのは、東京、大阪、名古屋、そして再び東京と回りながら、さまざまな感情が湧いてきたからだろう。
どんな感情が湧いてきたのか。それは「結成してからこれまでアニバーサリーを意識したことはなかった。GLIM SPANKY史上初のアニバーサリー。すごく新鮮です。この10年やってきた中で、その歴史の中にみんながいるわけですよ」という松尾の言葉からぜひ読み取っていただきたいが、1曲目からいきなり観客に歓声と拳を上げさせた2014年発表のメジャーデビュー・ミニアルバムのタイトルナンバー「焦燥」から、10th Anniversaryを意識して、新旧の曲を披露していきながら、自分達が作ってきた数々の曲に対して、改めて誇りを感じたなんてこともあるのかもしれない。
“10th Anniversary”と謳って、懐かしい曲をちょっと多めに混ぜながら、懐古にも、回顧にもならないどころか、いつにも増して凄みを感じさせるライブになったところが、GLIM SPANKYのロックバンドとしての大きな魅力だ。「焦燥」から「FLOWER SONG」、そして「最高の夜にしよう!」(松尾)と「褒めろよ」に繋げると、声を上げながら拳を振り上げた観客の興奮は序盤から最高潮に!!
もちろん、アップテンポのロックンロールだけがGLIM SPANKYじゃない。トラッドフォーキーなスローナンバー「闇に目を凝らせば」でライブの流れを変えると、松尾がハンドマイクで歌う「レイトショーへと」のファンキーなサウンドで観客の体を揺らしながら、絶妙な転調とともに艶っぽさを楽曲に加えてみせる。
そこからセッション風に繋げた「いざメキシコへ」はトラディショナルなロックンロールと思わせ、リズム隊の低音を際立たせたダンサブルな展開が持ち前の不易流行の精神をアピールする。
そして、ライブは早くも1つ目のクライマックスを迎える。同期で鳴らしたシンセパッドに亀本が泣きのリードギターを重ね、演奏になだれこんだ「grand port」のアリーナロックを思わせるスケールとアンセミックな展開が観客を圧倒したのだ。「新宿!」と松尾に煽られ、興奮を抑えきれなくなった観客が声を上げ、指笛を鳴らし、そして、“Oh Oh Oh”とシンガロングする。
「台風のことを忘れちゃうくらい楽しい!」と松尾が快哉を叫んだのは、この日、台風10号の影響で大雨が降り、一時はライブの開催が危ぶまれたからだ。
秋にベストアルバムをリリースすることと、そこに新曲がたくさん入ることを発表して、今一度、観客を沸かせてからの後半戦は、亀本が巧みなフィンガリングを見せつけるように披露したギターソロから、弾みをつけるようにブルースをGLIM SPANKYなりに解釈した「ダミーロックとブルース」「Breaking Down Blues」という新旧のロックナンバーをたたみかけるように繋げ、観客を熱狂させていった。そして、その熱狂はそこに繋げた「怒りをくれよ」のたたみかけるような8ビートに煽られ、拳を振りながら観客が上げた「オイ!オイ!オイ!」という声とともに、この日、2つ目のクライマックスに!!
いつもだったら、そこからラストスパートを掛けていたかもしれない。しかし、“10th Anniversary”と謳ったこの日は松尾が高校時代に書いたというエピソードと曲に込めた思いを語りながら、「ロルカ」と「さよなら僕の町」の2曲を、ともにアコースティックギターを持った松尾と亀本の2人だけで披露して、曲が持つ正調フォークの味わいを楽しませる。
そして、再びバンドを迎え、松尾が大学時代に小田急線の下北沢駅がまだ地上にあった頃の町の風景を書いたという「夜風の街」を、フォークロックを思わせる演奏で披露すると、エレキギターに持ち替えた松尾がコードをかき鳴らして、バンドは「サンライズジャーニー」になだれこむ。ギターのリフはローリング・ストーンズ風、亀本が加えるギターのオブリはジョージ・ハリソン風、そして松尾が歌う譜割の大きな歌は、まさにGLIM SPANKYでしかないというロックンロールナンバーに直前のフォーク調の3曲に耳を傾けていた観客達は再び体を揺らし始める。
そこに繋げた「リアル鬼ごっこ」は、凛とした魅力を持つアップテンポのロックンロールだ。ロングトーンを生かしながら、フレーズをきらめかせた亀本のギタープレイも聴きどころ。
「音楽がないと死んじゃうのかって言われたらわからないけど、音楽は絶対あったほうがいい。GLIM SPANKYは10年目だけど、まだまだこれからだと思ってるし、まだまだ育っていきます。音楽は時代とともに進化していくものだから、時代に関係なく響くものを作っていきたいと思っているので、いろいろなものを含めてのGLIM SPANKYを一緒に楽しんでもらえたらと思います。最高の音楽仲間達に捧げる大事な曲を歌います」──松尾レミ
そんな思いを語ってから、松尾が歌い始めると、フロアから歓声が沸いた。「大事な曲です」と松尾が紹介したその曲は「大人になったら」。物分かりのいい大人になるふりをせずに夢をあきらめずに音楽を続けていくというこの曲に込めたデビュー前の松尾の向こう意気は、デビューしてから10年経った今も変わらないのだろう。
その「大人になったら」の一際エモーショナルな演奏から、「最後の曲です!」と重量級のアンセミックなロックナンバー「Circle Of Time」に繋げ、本編の最後にふさわしいクライマックスを作り上げる。そして、今年に入ってからすでに新曲を2曲リリースしていることに加え、『連続ドラマW ゴールデンカムイ 北海道刺青囚人争奪編』のエンディングテーマを担当する8組のアーティストの1つに選ばれたこと、そして、そのエンディングテーマがファンの期待を越える曲になっていることを発表して、デビュー10周年を経て、GLIM SPANKYが新たなキャリアを歩き始めていることをアピールすると、アンコールに応え、ダンサブルでアンセミックなロックンロールの「Fighter」と空間系の音色が爽やかな曲をきらめかせる「風にキスして」──前述した新曲を披露して、セットリストの新旧の振り幅を、より印象的なものにする。
そして、最後は「懐かしい曲! ずっとやってきた曲で盛り上がりたいと思います!」と2013年12月にインディーズでリリースしたミニアルバム『MUSIC FREAK』に収録されているヨコノリのロックンロール「Gypsy」で観客を踊らせると、<10th Anniversary Tour 2024>のツアーファイナルをメンバー達はもちろん、観客の笑顔とともに締めくくったのだった。
取材・文◎山口智男
撮影◎上飯坂一
■<GLIM SPANKY 10th Anniversary Tour 2024>8.30(金)@東京・Zepp Shinjuku セットリスト
02. FLOWER SONG
03. 褒めろよ
04. 闇に目を凝らせば
05. レイトショーへと
06. いざメキシコへ
07. grand port
08. ダミーロックとブルース
09. Breaking Down Blues
10. 怒りをくれよ
11. ロルカ
12. さよなら僕の町
13. 夜風の街
14. サンライズジャーニー
15. リアル鬼ごっこ
16. 大人になったら
17. Circle Of Time
encore
en1. Fighter
en2. 風にキスをして
en3. Gypsy
▼Apple Music プレイリスト
https://music.apple.com/jp/playlist/the-setlist-glim-spanky-the-goldmine-tour-2024-2024-3/pl.2339ab4ceb054837ae3c03bec2485f27
▼Spotify プレイリスト
https://open.spotify.com/playlist/4cPR9aIyDQLMh8AAaNy4Xu?si=a553dbfd467349cf
■メジャーデビュー10周年記念ベストアルバム『All the Greatest Dudes』
CD予約:https://glimspanky.lnk.to/atgdPR
【完全数量限定 10周年記念限定盤(2CD+Blu-ray+Goods)】
PDCV-1246 15,000円(税込)
※豪華LPサイズスペシャルBOX仕様
▶CD : 2 DISCS
▶Blu-ray:<The Goldmine Tour 2024>at 東京・日比谷公園大音楽堂 (2024.3.24)
▼Goods
・10周年記念オリジナルヴィンテージ加工Tシャツ[松尾レミ プロデュース]
サイズ:L[男女兼用]/ボディ色:スミクロ/素材:綿100%
・ピックチャームキーホルダー
・LPサイズオリジナルポスター 10枚セット
●フォトブックレット 48ページ
●歌詞ブックレット24ページ
※【完全数量限定】10周年記念限定盤はUNIVERSAL MUSIC STOREのみ限定販売
※Tシャツ、ピックチャームキーホルダーのデザインは後日発表
【初回限定盤(2CD+DVD)】
TYCT-69333 7,000円(税込)
▶CD : 2 DISCS
▶DVD:<The Goldmine Tour 2024>at 東京・日比谷公園大音楽堂 (2024.3.24)
●フォトブックレット48ページ
●歌詞ブックレット24ページ
【通常盤(2CD)】
TYCT-60240/1 4,500円(税込)
▶CD : 2 DISCS
●ブックレット40ページ
▼CD収録内容 ※CD収録内容は全形態共通
DISC 1 & DISC 2:全25曲収録予定
※収録楽曲はファンからのリクエストをもとにGLIM SPANKYメンバーが選曲
・Fighter
・風にキスをして
・ひみつを君に feat.花譜
さらに、新曲3曲含む全25曲収録予定
▼完全数量限定 10周年記念限定盤Blu-ray/初回限定盤DVD収録内容
<The Goldmine Tour 2024>at 東京・日比谷公園大音楽堂 (2024.3.24)
・The Goldmine
・褒めろよ
・Odd Dancer
・光の車輪
・話をしよう
・真昼の幽霊(Interlude)
・Summer Letter
・ラストシーン
・愛の元へ
・Glitter Illusion
・NEXT ONE
・怒りをくれよ
・不幸アレ
・美しい棘
・Innocent Eyes
・大人になったら
・リアル鬼ごっこ
encore
・サンライズジャーニー
・愚か者たち
・ワイルド・サイドを行け
※完全数量限定 10周年記念限定盤と初回限定盤のフォトブックレット、歌詞ブックレットの内容は同一です。
※完全数量限定 10周年記念限定盤と初回限定盤のフォトブックレット、歌詞ブックレットと通常盤のフォトブックレットの内容は異なります。
●全形態共通封入特典
抽選で豪華賞品が当たるシリアルナンバー付き応募チラシ封入
※賞品の詳細は後日発表
※シリアルナンバー付き応募チラシは初回限定盤、通常盤は初回プレス分のみ封入
●店舗別CD購入特典
・UNIVERSAL MUSIC STORE:アクリルキーホルダー(約60×60mm)
・TOWER RECORDS:ポスター(B2)
・HMV:ステッカー(約50×80mm)
・Amazon.co.jp:ラバーコースター(サイズ未定)
・楽天ブックス:リボンキーホルダー(約110×35mm)
・その他一般店:ポストカード
※各特典のデザインは後日ご案内いたします。
※サイズは変更になる場合がございます。
■<All the Greatest Dudes Tour 2025>
3月02日(日) 宮城・仙台Rensa
3月08日(土) 大阪・なんばHatch
3月09日(日) 愛知・名古屋DIAMOND HALL
3月14日(金) 福岡・DRUM LOGOS
3月15日(土) 広島・広島CLUB QUATTRO
3月21日(金) 東京・台場Zepp DiverCity TOKYO
■<All the Greatest Dudes Tour 2025 "Extra Show">
3月23日(日) 長野・飯田文化会館
http://www.glimspanky.com/
■GLIM SPANKY「ひみつを君に feat. 花譜」
配信リンク:https://glimspanky.lnk.to/himitsuPR
歌詞サイト:https://www.uta-net.com/song/359635/
■GLIM SPANKY ライブイベント出演情報
※アコースティック2人編成で出演
09/29(日) 長野<りんご音楽>
※アコースティック2人編成で15時台りんごステージ出演
10/19(土) 大阪<Chillin’ Vibes 2024>
※アコースティック編成で出演
10/27(日) 埼玉<麦ノ秋音楽祭2024 #Seeds>
※アコースティック2人編成で出演
10/30(水) 東京<Gibson 130th Anniversary Live「Go Beyond」>
※5人バンド編成で出演
11/04(月) 東京<THE BAWDIES「NEVER ENDING STORY」>
※松尾レミ ゲスト出演
11/09(土) 宮城<勾当台野音ライブ GLIM SPANKY with 仙台フィルハーモニー管弦楽団カルテット>
11/16(土) 長野<FM NAGANO「EVERGREEN CAMP 2024>
※アコースティック2人編成で出演
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