【ライヴレポート】DEZERT、<Let's Go Budokan?!>第一部<心臓編>で「積み上げてきた文化を尊重したい」

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DEZERTが9月23日、東京・品川インターシティホールで<Let's Go Budokan?! -みんなで武道館へダイナマイ!!->を開催した。本公演は、9月25日リリースの傑作音源集『絶対的オカルト週刊誌』発売を記念して行なわれたもの。<心臓編>と<脳味噌編>の2部制ワンマンライヴはアルバム収録曲を全て披露し、さらに同内容のCDも付いてくるという、大盤振る舞いの内容だ。同公演より第一部<心臓編>のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆DEZERT 動画 / 画像

タイトルにある通り、本公演は約3ヶ月後に迫る日本武道館でのワンマン<DEZERT SPECIAL ONEMAN LIVE at NIPPON BUDOKAN「君の心臓を触る」>へ向けて、DEZERTとファンが改めて気持ちを高め合う、いわば決起集会のようなもの。さらに言えば、DEZERTがメジャーデビューと武道館ワンマンの開催を発表したのも、ちょうど1年前の9月23日であった。


こういった状況から、かなり気合いの入ったライヴが展開されるのでは?と予想していたが、幕が開いてみれば、そこには肩ひじ張らず、自由奔放に音楽を楽しみ、13年のキャリアと共に積み重ねてきた一曲一曲を真摯に届けようとする、いつもの4人がいた。

まずは真昼間の14時からスタートした<心臓編>。SEはなく、気合いの入った歓声とメンバーコールに迎えられた4人は、白を基調としたパンキッシュな衣装で登場。普段とは違う雰囲気のメンバーに期待感の高まる中、「胃潰瘍とルソーの錯覚」「「絶蘭」」と、多様なDEZERTの楽曲の中でもドロドロとした質感の楽曲を立て続けに投下し、鮮烈なオープニングを飾った。オールバックで決めた千秋(Vo)は、マイクスタンドの前に仁王立ちし、獣のような鋭い視線でフロアを射抜く。


ここで初披露の新曲「心臓に吠える」を投下。ヘヴィなリズムを繰り出し続けていたSORA(Dr)が、両手のスティックを投げ捨てて豪快に煽ると、フロアの熱量はさらに一段階上がる。真っ赤なライトに照らされながら、“鼓動が彷徨う眩しいステージで 性懲りなく叫んで 産み落とす僕の遺書は 今 痛いほどに此処で生きたいと叫んだ”と、思いをぶちまけるように咆哮する千秋。Miyako(G)とSacchan(B)の高ぶる感情をそのまま体現したような轟音も重なり、オーディエンスの心の奥を切なく掻き乱す。フロアでは、夢中でヘッドバンギングをしたり、力強く拳を突き上げたり、ただ真っすぐにステージを見つめていたりと、観客が思い思いのやり方で、この鮮烈な新曲を受け止めていた。最後に千秋が“似た鼓動が重なって 僕等を引き連れて吠えろ”と半ば絶叫するように放った言葉は、そんな彼らへ向けた切実な祈りのようにも感じられた。


キュートで危険な雰囲気漂う「ミスターショットガンガール」で一体感を作り上げたあとは、雰囲気を一変させ、ミディアムバラードの名曲「「遭難」」を披露。Miyakoのエモーショナルなギターソロが、この曲の持つ切なさを最大まで増幅させる。Miyakoと千秋が二人で上手にしゃがみこみ、至近距離でアイコンタクトを交わしながら始めたのは、「蝶々」。千秋の「天使になろうぜ!」という煽りをきっかけに、観客が一斉に片手を高く掲げて飛び跳ねる。その美しい光景を見つめながら、“ありのまま生きたいのは誰だってそうなんだ”というフレーズを、自分の胸に手を当て、フロアを指さしながら歌う千秋。続く「遮光事実」でも、胸を強く叩き、フロアに手を伸ばす仕草を何度も繰り返していたのは、自身の思いが届いてほしいという強い気持ちの表れなのだろうか。

ここで一旦暗転したのち、「Call of Rescue」へ。上半身の力を抜いてゆらゆらと不気味に揺れ動く千秋の白い衣装には、気づけば鮮やかな血糊がついて官能的な姿に。Miyakoの奏でる不穏なフレーズをきっかけに始まった「「誤解」」では、地を這うようなSacchanの低音と、爆音で殴るような迫力満点のSORAのドラムが完全に暗闇と化したフロアに響く。真っ赤なライトが薄暗いステージを照らすと、メンバーの影がステージ後方の赤い舞台幕に大きく映し出され、恐怖すら感じるヒリついた緊迫感が生まれていた。


ここからライヴは自由奔放なムードに。キックに合わせて拳を突き上げるフロアに、「ちょっとお上品すぎない? DEZERTは池袋BlackHole出身なんで、どす黒くて気合いの入った声が聴きてぇんだ」と煽るSORAは、手数の多いドラムソロを破竹の勢いで投下。千秋から“ベースソロじゃないベース”とリクエストされたSacchanは、ごく小さな音から華麗なスラップという斬新なプレイで翻弄。Miyakoは、千秋からマイクを奪い取り、「へんたーい、へんたーい」と自ら歌い出す。ギターソロでは激しいフレーズを掻き鳴らした後、Miyakoのミラー加工されたギターのボディで身だしなみを整える千秋を尻目に、なんと歯ギターまで披露し、観客の度肝を抜いた。

そんなやりとりを繰り広げている間にフロアは左右に分かれ、ウォール・オブ・デスの準備も整ったところで、ようやく曲がスタート。疾走感と重厚感を兼ね備えたサウンドに合わせてぶつかり合うフロアは、先ほどSORAが指摘した“お上品”とは正反対に、ライヴハウスと見紛うほどの熱気が渦巻く。盛り上がりがピークに達したところで、なぜか千秋が、二人羽織をするような体勢でSacchanの後ろからベースを弾き、元々セットリストにはなかった「包丁の正しい使い方~終息編~」のフレーズを演奏し始める。再びフロアの中心に道ができるが、未だ背後で楽しそうに弾き続けている千秋に、手持無沙汰なSacchanが「そろそろいいかな?」と問いかけ、笑いが起こる場面も。

フロア前方はウォール・オブ・デス、後方はサークルモッシュという凶悪な空間を作り上げ、大いに暴れさせた後は、間髪入れずに「「秘密」」を投下。イントロで圧倒的な高揚感が高まる中、「この曲から始まったんだよなぁ、おい!」と千秋が叫ぶと、ドラムセットの前に全員が集結。メンバー同士で向き合いながら、お互いを煽り合うように激しく頭を振る。その熱が伝染するように観客も最高潮の盛り上がりを見せた。


熱気を帯びたフロアへ、千秋が今の思いを素直に語り始める。

「前から言ってるけど、いつかCDもなくなると思う。それでも出すのは儲かるからじゃなくて、世話になってきたから。13年やってて、V系の文化を変えようと思ったり、ダイバーとか欲しがってた時期もある。でもお前たちが積み上げた文化もあるわけ。『秘密』でも、ある日誰かが座りだしてびっくりしたよ。でも今は勝手に座るでしょ。そうやって積み上げてきたフロアの文化を尊重したい。それと同じで、先人たちの積み上げたCDを出そうと思う。最近あんまり難しいことは考えてなくて、要らん発言をやめておこうと思ってる。SNS時代、一言間違えたら終わりでしょ。だから中和させるために、とりあえず語尾にひまわり(の絵文字)つけてる(笑)。でもライヴハウスでは素直で居られるし、カッコつけられるし、自分のこと好きになれるんだ。君たちにもそうなってほしいとずっと思ってる」──千秋

赤裸々だからこそ胸を打つ言葉と共に感謝の気持ちを伝え、その思いを託すように、DEZERTが歌う最大級の愛の歌「ミザリィレインボウ」へ。ステージから放射線状に白い光の線が無数に放たれ、幻想的な光景を作り上げる中、一人ひとりに語り掛けるように、音に、歌に思いを乗せる。汚さも美しさも全てを優しい音楽で包み込み、大きな感動と共に第1部<心臓編>は幕を下ろした。

取材・文◎南 明歩
撮影◎冨田味我

■<Let's Go Budokan?! -みんなで武道館へダイナマイ!!>2024年9月23日(月/祝)@品川インターシティホール SET LIST

▼第一部:心臓編
01. 胃潰瘍とルソーの錯覚
02.「絶蘭」
03. 心臓に吠える
04. ミスターショットガンガール
05.「遭難」
06. 蝶々
07. 遮光事実
08. Call of Rescue
09.「誤解」
10.「変態」
11. 包丁の正しい使い方〜終息編〜
12.「秘密」
13. ミザリィレインボウ


◆第二部<脳味噌編>レポートへ

■傑作音源集『絶対的オカルト週刊誌』

2024年9月25日(水)発売
配信リンク:https://lnk.to/occultmagazine
【初回限定盤(2CD+Blu-ray[3枚組])】
CRCP-40686/87 11,000円(税込)
※トレカ5枚封入
【通常盤(2CD(2枚組)】
CRCP-40688/89 4,400円(税込)
※トレカ1枚封入
※トレカは全15種類のランダム封入
https://www.dezert.jp/news/detail/28561


▲初回限定盤


▲通常盤

▼CD収録内容 ※初回限定盤/通常盤共通
[DISC-1] -心臓編-
01.「絶蘭」
02. 新曲1
03.「誤解」
04. 胃潰瘍とルソーの錯覚
05.「遭難」
06. ミザリィレインボウ
07. ミスターショットガンガール
08. 蝶々
09. Call of Rescue
10. 遮光事実
11.「秘密」
12.「変態」
Bonus Track. デザートの楽しいラヂオ ~心臓ドロドロ入院編~
[DISC-2] -脳味噌編-
01. 脳みそくん。
02. バケモノ
03.「君の子宮を触る」
04. Sister
05. カメレオン
06. 大塚ヘッドロック
07.「殺意」
08. Thirsty?
09. 新曲2
10.「遺書。」
11. TODAY
12.「切断」
Bonus Track. デザートの楽しいラヂオ ~脳味噌トロトロ退院編~

▼Blu-ray収録内容 ※初回限定盤のみ収録
<DEZERT LIVE TOUR 2024 “The Heart Tree”【TOUR FINAL】-僕等の夜について編->
2024.6.22 三郷市文化会館 大ホールを収録
※全22曲


■『絶対的オカルト週刊誌』発売記念イベント

▼『似顔絵書いて握手しましょう会』
09月07日(土) littleHEARTS.新宿店 イベントスペース
13:00~ / 15:00~(2部制) ※予定枚数終了
参加メンバー:[1部] 千秋、Sacchan [2部] Miyako、SORA
▼『普通のサイン会卍』
09月08日(日) タワーレコード錦糸町パルコ店 イベントスペース
13:00〜 ※予定枚数終了
参加メンバー:千秋、Miyako、Sacchan、SORA
▼『腕相撲!!メンバーに勝ったらサイン会』
09月14日(土) エンタバアキバ内イベントスペース
13:00~ ※予定枚数終了
参加メンバー:千秋、SORA
▼『あっち向いてホイ!!メンバーに勝ったらサイン会』
09月15日(日) タワーレコード新宿店 9Fイベントスペース
13:00〜
参加メンバー:Miyako、Sacchan
▼『アコースティックライブ』
09月29日(日) タワーレコード渋谷店B1F CUTUP STUDIO
13:00~ (14:00終了予定) ※予定枚数終了
参加メンバー:千秋、Miyako、Sacchan、SORA
▼『めちゃくちゃ普通のサイン会卍』
10月06日(日) タワーレコード名古屋パルコ店 イベントスペース
13:00〜 ※予定枚数終了
参加メンバー:千秋、Miyako、Sacchan、SORA
▼『~みんなでクラウンを占拠せよ~個室・個別イベント+サイン入り個別ポスターお渡し会』
10月13日(日) 日本クラウン(株)本社会議室
13:00~ / 15:30~ / 18:00~(3部制) ※予定枚数終了
参加メンバー:千秋、Miyako、Sacchan、SORA
▼『やっぱり普通のサイン会卍』
10月19日(土) タワーレコード梅田NU茶屋町店 イベントスペース
13:00〜 ※予定枚数終了
参加メンバー:千秋、Miyako、Sacchan、SORA
【追加スケジュール】
▼『生写真渡スン会(かーい) 2024』
09月28日(土) ヴィレッジヴァンガード渋谷本店
12:00~
参加メンバー:千秋、Miyako、Sacchan、SORA
▼『千秋のスーパー独演会~アコギ1本でやってみましょう!!〜』
10月12日(土) タワーレコード渋谷店B1F CUTUP STUDIO
12:30~ (13:30終了予定)
出演:千秋

■<DEZERT Presents【This Is The "FACT"】TOUR 2024>

10月05日(土) 名古屋DIAMOND HALL
 vs lynch.
 open16:15 / start17:00
10月20日(日) 大阪BIGCAT
 vs Sadie
 open16:15 / start17:00
11月15日(金) Zepp Shinjuku
 vs MUCC
 open17:00 / start18:00
https://www.dezert.jp/news/detail/28549


■<DEZERT PARTY Vol.15 / Vol.16>

▼<DEZERT PARTY Vol.15>
11月1日(金) 東京・恵比寿LIQUIDROOM
出演:DEZERT、ΛrlequiΩ、deadman、メリー、RAZOR
▼<DEZERT PARTY Vol.16>
11月2日(土) 東京・恵比寿LIQUIDROOM
出演:DEZERT、LM.C、Royz、Verde/(Shou)、vistlip
詳細:https://www.dezert.jp/news/detail/32692


■<DEZERT SPECIAL ONEMAN LIVE at NIPPON BUDOKAN「君の心臓を触る」>

2024年12月27日(金) 東京・日本武道館
OPEN 17:30 / START 18:30
(問) SOGO TOKYO 03-3405-9999
▼チケット
全席指定 ¥6,600(税込)
※未発表音源「オーディナリー」CD付き
※営利目的の転売禁止
※未就学児童入場不可
特設サイト https://dezert-budokan.com/

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