【インタビュー】BAND-MAID、らしさが詰まった最新曲「Protect You」
相次ぐ新曲の登場と、さまざまな形でのお給仕の実施。ここにきてBAND-MAIDの動きがさらに加速度を増してきた。
6月28日には名古屋を皮切りにホールツアーもスタートしているが、その1週間後にあたる7月5日には「Protect You」と題された最新曲が登場。こちらはTVアニメ『グレンダイザーU』のエンディングテーマという話題性も伴うものだが、楽曲としても純粋にこのバンドの持ち味が凝縮され、なおかつ従来の同系統の楽曲とは一線を画する新鮮な感触を持ち合わせた興味深い楽曲だ。すでにお給仕(ライブ)でも披露され始めているこの最新キラーチューンに関することを中心に、7月上旬のある日、5人全員に話を聞いた。
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◼︎ご主人様お嬢様と共に、この先どんどん作り上げていきたい
──ホールツアーの初日となった名古屋でのお給仕からすでに「Protect You」がセットリスト入りしている事実に驚かされました。リリース前の新曲をいきなりお給仕で初披露するというのは、なかなかプレッシャーの伴うことだろうと思うんですが。
小鳩ミク(G, Vo):そうですっぽね。当初はツアー最終日の横浜でやろうかという話だったんですけど、SAIKIから「初日からやりますよ!」という言葉が出まして、「わかりましたっぽ!」と(笑)。それで名古屋でのお給仕から演奏することにしたんですっぽ。
KANAMI(G):「Protect You」に関しては、かなり前からリハーサルで合わせてきて。いつでも披露できるようにしておこうという話になっていたんで、各自での練習もしてきていたんです。あとはお給仕で実際にやってみることで、本当の意味で曲を完成させていくというか。だから今は、まさにその段階にある感じです。
──実際にステージで演奏してみないと「完成した」という実感が得られにくいということですか?
KANAMI:そうですね。やっぱりグルーヴ感とかもそうですし、自分自身も家で練習したりリハーサルでやったりする時と、実際のお給仕で演奏する時とでは、プレイするうえでのスタンスというか、気持ち的にも変わってくるところがあるので。やっぱり曲って、お給仕での演奏を積み重ねていくうちに完成していくものだって思ってます。
AKANE(Dr):私の場合もやっぱりお給仕でやってみないと、その曲で求められる自分のテンション感だとか叩き方がわからない部分というのが多くて。お給仕でやることで、照明の感じとか、ご主人様お嬢様のしぐさとか表情を通じて、どういうものが求められてるかというのが明確に見えてくるので。その曲の中で各メンバーの目立つべき場所というか、どこで自分が前に出て、どこで引くべきなのか、みたいなこともわかってくるんですね。そういうのは今後、お給仕での演奏を重ねながら掴んでいけるものだと思ってるので、ご主人様お嬢様と共に、この先どんどん作り上げていきたいなって思います。
──なるほど。しかし一聴してわかるのは即効性の高そうな曲だということ。初めて聴いた人たちでもすぐに同調しやすいところがあるし、新曲という感じがしない馴染みやすさがあると思います。
小鳩ミク:頭から「♪ウーララララ」っていう一緒に歌いやすくてインパクトの強い始まり方になっているので、最初から結構、みんなで盛り上がりやすいというか、入り込みやすい楽曲だと思っていますっぽ。それは実際、ステージの上からご主人様お嬢様が盛り上がってる様子を目にしながら、自分たちでも実感してましたっぽ。
MISA(B):普段、新曲を初披露する時の感覚とはまた違っていて、決してまだ慣れてる曲ではないのに、なんだか純粋に楽しく演奏できたというか。今後のお給仕でどんどん成長していくことになるんだろうなってことが、すぐに自分でもわかる感じでした。
SAIKI(Vo):うん。純粋に楽しかった。
小鳩ミク:ただ、この曲、SAIKIは苦しいっぽね。呼吸ができないから。
SAIKI:いや、ブレスはできるんだけど、ずっと口を動かしっぱなしになる曲だから、どうしても口の中に、なんというか、私の分泌液が(笑)。つまり唾液が溜まってしまうんです。それを飲み込むタイミングがない。
KANAMI:あ、そういうことになっちゃうんだ!
SAIKI:これは、ボーカリストじゃないとわかんないところだと思います。だからこの先は、お給仕を重ねながらそのタイミングを探していこうかなって(笑)。ただ、盛り上がりを作りやすい楽曲だなっていう感触はありました。楽器隊が織りなすうねりみたいなものに、すごくまとまりの良さを感じましたし、それは10周年を迎えたバンドだからこそ、こうしてツアー経験を重ねてきたバンドだからこその強さだなって。特に激しい系の新曲を出した時、「聴きどころがありすぎてどこを聴いたらいいかわからない」みたいなことを言われることが結構あるんですね。それに対してこの曲の場合、ここではドラムのビートが、ここではベースのメロディラインが、ここではギターの音色が……という感じで、それぞれスッと耳に入ってくるところがあって。そういうのは、まさに今のBAND-MAIDだからこそできてることじゃないかなって、すごく感じてるんです。そういう演奏に乗るメロディと歌詞もとてもBAND-MAIDらしさが詰まったものだし、そうやってすべての要素の耳馴染みがいい感じになっているからこそ、初披露でも盛り上がったんじゃないかなって思いますね。
──とても客観的な分析ですね。先日、THE WARNINGとの対バンの際に初披露されたコラボ曲、「SHOW THEM」についても当て嵌まることですが、初めて聴いた人たちを巻き込む力の強い曲だと思うんです。そういう曲を求めていたところもあったんでしょうか?
SAIKI:それはもう前々から、常日頃からありましたね。ミュージシャンが集まってバンドをやってる以上、どうしても攻めたものになりがちというか、一発でわかりにくい変態チックなものになる傾向って結構あるはずだと思うんですけど(笑)、そこで敢えて引き算をして、パッと聴いてすぐさま私たちだってわかる曲、初めて聴いても乗れる曲というのはずっと求めてたので、それが形になって良かったなと思いますね。各々の役割分担がうまくできてるんじゃないかな。
MISA:私は、何よりもメリハリを意識してます。この曲に限ったことじゃなく、ここ1年ぐらいずっと心掛けてきたのがそれですね。
──なるほど。確かにBAND-MAIDの楽曲、特に速いものについては情報量豊富なものが多いです。それに対して今回は引き算によって要素がうまく整理されていて、それが印象度を高めているということなんですね? そしてこの楽曲はTVアニメ『グレンダイザーU』のエンディングテーマでもあります。オリジナルの『UFOロボ グレンダイザー』は70年代の作品ですから、皆さんはきっとその名前すら知らなかったはずですが。
小鳩ミク:まだ生まれてないですっぽね(笑)。
KANAMI:知らなかったです。ただ、今回のお話をいただいた時、『グレンダイザーU』のチームから結構いろいろと具体的なご要望をいただいて。しかもそれが、これまでのBAND-MAIDの曲を引き合いに出しながら「あの曲ほどには激しくない感じ」とか、そういった伝え方をしてくださったので、「自分たちの曲をかなり聴き込んでくださってるんだな」ってすごく嬉しい気持ちになったのを憶えてます。実際、要望は具体的なほうがこちらとしても助かりますし。というのも、正直なところ私には元々の『グレンダイザー』がどういうものなのかわからなかったので、「どういう話なの?」みたいなことを訊いて教えてもらったりもしてたんです、お父さんに(笑)。そんなふうにして曲のイメージを膨らませていって、わからないからこそ自分でも勉強して、どんなふうにしたらアニメが盛り上がるんだろうかって考えながら作らせていただきました。ストーリーについては資料をいただいていて。それを参考に、こういう物語なんだなっていうのを踏まえたうえで制作することができたんですけどね。
──エンディングテーマの場合、それこそバラードになるケースも少なくないと思います。この曲の場合はむしろ真逆ですが、それでもどこかで“エンディングっぽさ”みたいなものは意識したはずですよね?
KANAMI:そうですね。元々そんなに「エンディングだからバラードをやりたい」というのも自分としてはなくて、やっぱりBAND-MAIDらしさみたいな要素をしっかり出させて欲しいということは、こちらからも強くお伝えしていて。ただ、やっぱりエンディング感が欲しいという話はうかがってたので、アニメ用のバージョンはちょっとだけ前半部分を変えて作ってたりもするんです。BAND-MAIDのリリース音源に関してはお給仕で演奏した形通りのもので、アニメ用にはエンディングに合うような形のもの。そうやって、どちらもお楽しみいただけるように2パターン作ってあるんです。
──歌詞については、小鳩さんがストーリーを踏まえながら捻り出したもの、ということになりますか?
小鳩ミク:そうですっぽね。今回、KANAMIも言っていたように、アニメ側から結構しっかりと要望やニュアンスを伝えていただいていて、エンディングテーマでは主人公のデューク・フリードのほうじゃなく、ヒロインのほうをメインにした雰囲気にして欲しいというお話しだったので……。小鳩もお話をいただくまでは見たことがなかったので、調べさせていただいたんですっぽね。ストーリーについての資料をいただいてはいても、それだけだと情景だとか元々の雰囲気というのが掴みにくいところがあったので、それをより理解できるように漫画の原作、昔の映画版の映像とかを探してみたりとか。なかなか手に入りづらかったんですけど、どうにかそうやってイメージを膨らませていきましたっぽ。物語的にはダブル・ヒロインみたいな形になっていて、それがルビーナとテロンナという双子の姉妹で、しかも複雑な設定もあるんですっぽ。そういう部分も歌詞の中で見え隠れするような感じにできたらいいなと思って、さまざまな要望をより深く突き詰めて考えながら書いていきましたっぽ。
──「Protect You」というタイトルもそうした物語上の設定と無関係ではなさそうですね。“help”とか“rescue”ではなく“protect”、つまり“救う”というよりも“護る”というニュアンスが重要だったわけですか?
小鳩ミク:この双子の姉妹はとても芯の強い女の子たちで、主人公に支えられる側でもあり、支える側でもあるという感じなんですっぽね。そうやってお互い助け合っている部分もありながら敵対しているところもあったりするので、それぞれに護りたい部分というのがあって。それを護りながら、闘いながら生きていく強さみたいなものを表したいなと思った時に、やっぱり“help”とか“rescue”だとちょっと違うな、というところがあって。自分が護るんだ、という意志の強さを示したかったこともあって、敢えて“protect”という言葉にしたんですっぽ。
──物語にはやや複雑なところもありますが、この楽曲自体はとてもわかりやすいです。
MISA:すごく雰囲気のある曲だなあと思いますし、やっぱり始まりから「♪ウーララララ」っていうみんなで歌える感じになっているのもすごくカッコいいな、と思いました。自分のベースについては、サビのSAIKIの歌のメロディをかなり意識したものになっていて、ベースでうねりとかを出せたらいいなと考えながら作りましたね。
AKANE:ドラムに関しては、やっぱりイントロのブラストビートですよね。マシンガン的な二度打ちのブラストビートを使って、攻撃的な感じでインパクトのあるドラムにしたつもりです。あと、1サビ、2サビとかのビートは頭打ちになっていたりとか、わりと疾走感のある感じになってるんですけど、大サビでは敢えて頭打ちにせず、音数を詰める感じにもせず、大きな8ビートにすることによって、それぞれを際立たせながらバンドの一体感を伝えていくような感じを意識しました。そのうえでアウトロではまた攻撃的に戻っていくので、ドラムについてはそこでメリハリをつけてる感じですね。
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