【ライブレポート】W.A.S.P.復活、リハビリを経て輝くブラッキー・ローレス
ブラッキー・ローレス(Vo, G)率いるアメリカのW.A.S.P.も、<Sweden Rock Festival 2024>の2日目に登場した。
W.A.S.P.は2023年に行われた40周年記念ツアーである<40th Never Stops World Tour 2023>のヨーロッパ公演中にブラッキーが背中を痛めた為、2023年のU.S.ツアーは中止となっていた。その後、椎間板ヘルニア2か所と脊椎骨折の治療手術を受けて、回復に向かっている事は聞いていた。術後、10ヶ月ほど経過した現在の健康状態が気がかりであった中、まずこのフェスティバルの出演が発表された(現在は秋からのツアー再開が発表されている)。
この日の冷たい風と砂埃も撒く中での待機時間にはなかなか辛いものもあったが、メンバーが登場した瞬間にそんな苦労はどこかへ消えてしまうのだから不思議なものだ。ブラッキー・ローレスというカリスマが、「Blind in Texas」で一気にオーディエンスを沸かせる。未だ欧州でも絶大な人気を誇り、老若男女のオフィシャルフォトグラファーたちまでが皆メタルファッションに身を包み、合唱しながら撮影している光景も物凄く嬉しい。
「昨年のツアーではスペインからドクターストップがかかってしまって、二度手術をしたんだ。今はリハビリもしていてとても良い状態だ。でも医者はまだツアーは無理だと言ったけど、俺はNoだと言った。医者はダメだ、俺はNoだ、ダメだ、Noだ、そしてなんてクレイジーなんだと俺に言った」。このブラッキーのMCに続いて「Crazy」が披露される。
たしか2023年のイタリア公演あたりで背中の痛みに耐えられずに椅子に座ってのプレイだったブラッキー。今回もまだ同様で、自慢のマイクスタンド"Elvis" は残念ながらステージにはなかった。彼にとって、孤独な長いリハビリは拷問だと言っている。座ってパフォーマンスをする事がどれだけの妥協なのかを考えると本当に頭が下がる思い。それでもパフォーマンスにマイナスは感じなく、メンバーであるダグ・ブレア(G)、マイク・デューダ(B)、アキレス・プリースター(Dr)も相変わらずパワフルでアグレッシブなステージ。時折、立ち上がってアキレスとコンタクトを取る場面でブラッキーの白いニーハイブーツも拝めた。
長尺のコンセプト代表曲である「Chainsaw Charlie(Murders in the New Morgue)」をハイライトにしたセットは、イントロ部分を少し勿体つけてオーディエンスからの反応を楽しんだ「Wild Child」、パワーバラードの「Miss You」、THE WHOのカヴァー「The Real Me」と既出の「Crazy」も含めて特に目新しさはないものの、今のリアルなブラッキーを飾らずに表現したものになっていたと思う。
タイムテーブルでは75分予定だったが、60分ほどで終了した短めのステージでもブラッキーの復活を見せるには十分なものだった。今年2024年は、1stアルバム発売40周年にあたる。このクラシックメタルアルバムを冠にした<Album ONE Alive Tour>が秋から北米で予定されている。
文・写真◎Sweeet Rock / Aki
< W.A.S.P. ~ Sweden Rock Festival 2024 ~>
1.Blind in Texas
2.L.O.V.E. Machine
3.Crazy
4.The Idol
5.Chainsaw Charlie(Murders in the New Morgue)
6.Miss You
7.Wild Child
8.The Real Me(The Who Cover)
9.I Wanna be Somebody