【インタビュー】Ken Yokoyama、8thアルバム『Indian Burn』完成「“雑巾絞り”は大変だけど、目いっぱいやらなきゃいけない」

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■いや、パンクロックって
■そんなに浅いもんじゃねえぜって


──だから歌詞は、聴いてくれるみんなへのメッセージでもありつつ、自分たち自身に向けて誓うように書いているように感じました。「Heart Beat Song」は、なぜ音楽を鳴らすのか、なぜ歌うのか、その考えが滲み出ていると思うんですが?

横山:そうですね。今になってこういう初期衝動的な歌詞を書いたのは、もしかしたらツネの影響があったのかもしれない。歌詞を書いたときには具体的な風景として、それはなかったんですけど、絶対に入り込んでいるのかなと思いますね。僕の印象としては、俺たち4人がファイヤーボールのようになって、朝焼けの中、中央分離帯を突っ走っていくような。文字通り、燃え尽きるまで突っ走るぞって意思を書きたかったんですよ。曲のBPMも220ぐらいあるのかな。要するに脈拍220ぐらいあるわけです。それぐらいドキドキしたまま突っ走るぞってことを、歌詞としても曲としても表現したくて。

──人生でいろいろ経験して、50歳を超えて書ける歌詞や意思がこのアルバムにあると思います。年齢を重ねた方々もアルバムと向き合ったら、ものすごく響いてくるはずです。

横山:パンクロックって、どうしてもスタイルとして激しいから、若者が入り込みやすい音楽でもあると思うんですよ。なんとなく世の中的に、僕たちの音楽を聴いて育ってきた人すらも“40代にもなってパンクロックもねえよ”って気持ちの方もいると思うんです。“いや、パンクロックってそんなに浅いもんじゃねえぜって。ちょっと聴いてみて”という気持ちがありますね。すごく等身大だし。イメージだけでパンクロックを捉えていたら、もったいないなって。触れ直すきっかけとして、このアルバムを聴いてみてよという思いがあります。


▲横山健 (G, Vo)

──絶対に響きますからね。あとインストの「Indian Burn」は、軽快な曲調と楽しいコーラスで誰にも響きます。すごいコーラスになってますけどね(笑)。

横山:コーラスの言葉はなんでも良かったんですよ。サーフロック的な曲ができたから、最初はサーフィン用語とかで探したんです。“ワイプアウト”とか使い古されちゃっているし、いい言葉が見つからなかったんですね。しょうがないから、語感のいい言葉となったら、“チッパイ”だったんですね(笑)。

──すぐに、そういう小学生めいたシモネタ関連に行き着いちゃうわけですね(笑)?

横山:そう。仮のつもりでチッパイと歌ってたら、そのまま通っちゃって。直前まで正式な曲名にもなるところだったんです(笑)。

──シリアスでリアルなメッセージもありつつ、こういう方面もしっかり押さえつつ、欲しがり屋を満足させますね、本当に。

横山:欲しいですよね? こういうあたりは僕の欠かせないエレメントなんで(笑)。

──まあ、みんな知ってますけど(笑)。あと「Heart Beat Song」のエンディングで、「ゴッド・ファーザーのテーマ」を弾いてますよね?

Jun Gray:健がね。

横山:初期衝動の曲だから、やっぱり自分も若者になったつもりで、なんか暴走族のイメージが出てきたんですよ(笑)。

Jun Gray:バイクで疾走するみたいな(笑)?

横山:それぐらいの衝動が入っているんで、最後に「ゴッド・ファーザーのテーマ」をバイクのアクセルコール切る感じで弾いてたら、エンジニアさんが「ああ、こういう感じの曲なんだ」って、初めて世界観を理解してくれたみたい。



▲Jun Gray (B)

──あと曲調の幅広さにもつながっていますが、ギターのトーンがものすごく多彩なんです。レコーディングでギターは何本使ったんですか?

横山:何本使ったかな…一応、各曲で使ったギターはスマホにメモしているんですよ。

Jun Gray:かなりの本数をスタジオに持ち込んでいたよ。俺は、いつも使っているメインのシェクター製ベースに、プラスであと1本ぐらい。ギターは表情を付けるためにいろいろ使い分けるだろうけど、ベースはレコーディングであんまり使い分けるものでもないからね。

──使ったベースは同じでも、フレージングはテイクのたびに変えるぐらい多彩ですから。

Jun Gray:フレージングはほら、才能が溢れ出て、散りばめられちゃうから。

横山:再びドヤ顔(笑)。

Jun Gray:いろんなタイプでも、僕はすぐに対応できるベーシストじゃないですか、“これはこう弾こう。こんなアプローチでも僕ならいける”とか(笑)。楽しかったですよ。今回、いろんなタイプの楽曲があったから。俺も南ちゃんもやりがいあった。EKKUNは曲によっては大変だったのかもしれないけど。でもこれだけいろんなことやっているから、バンドとして間違いなく成長できるレコーディングでもあった。

横山:ギターは、南ちゃんが6本ぐらいで、僕は10本ちょい使ってますね。グレッチやギブソンの箱モノもそうだし、テレキャスタイプも使ってます。今回、南ちゃんもテレキャスタイプを弾いているんですよ。いろんなギターのトーンが入っていて、聴いていて楽しくなりますよね。

──楽曲を作っている段階で、それだけ幅広いギターのトーンもイメージとしてあったという?

横山:いやいや。案外、ギターは僕も南ちゃんも、その場の思いつきというか。

Jun Gray:スタジオで曲に乗っけてみて、だよね。

横山:スタジオにギターを持っていくにしても、“久しぶりにこれを持って行ってみようか”ぐらいの軽いノリで。

Jun Gray:それでブースに入って音を出してみて、やっぱこれ違うなとか。ギター選びするにも時間を掛けていただろうし。

横山:特に重ねものの音色を作るのに、時間を掛けましたね。ベーシックはイメージがあるんですけど、ギターソロや重ねものは弾いてみて、“イメージと違ったな”とか、“ちょっと変えてみようかな”とか。そういうのはよくありました。レコーディング後半では、持ってきたけど使っていないギターがあったので、“もったいないから使おうか”とか(笑)。そういう趣味の世界に入っていった。いい曲ができたから、それを形にしたらどうなるのかって、ワクワクの中でレコーディングは進んでいった気がする。


──しかも音の歪み具合が今までより抑え気味だから、各フレーズも立っていて、アンサンブルが分かりやすくなってて。そこも聴いていて楽しいところです。シンプルなようでいて、実は複雑で頭も使ったアンサンブルや展開が、聴けば聴くほど発見できるんです。

横山:うん。嬉しいですね、それ。話がちょっと違うけど、バッド・ブレインズなんかを聴くと、音楽的にすごく豊かさを感じるんですよ。ディセンデンツもしかり。それ、理想なんですよね。

Jun Gray:ディセンデンツもそうだけど、年を取って出しているアルバムがさらに豊かだったりする。

横山:そう。サラーッと聴けるんだけど、結局、深みがあって、キャリアを重ねた者じゃないと作れない豊かさがあるんですよね。最近のディセンデンツがそうですよね。

──アルバム『Indian Burn』を作って、変わりそうな予感もするんです。ホールツアーを観たとき、若さで突っ走る感じもありながら、オトナの余裕みたいなものも感じたんですよ。それでこの幅広いアルバムですから、今までと違う景色も広がりそうな。

横山:もう、ベストじゃないですか。衝動もあって、余裕もあってというのは。すごいな、日本一のバンドっすよね?

──発音が違います。『オールナイトニッポン』のリスナーからのメールを思い出してください。東北訛りで“ぬっぽんいぢ”でお願いします(笑)。

横山:これは失礼しました(笑)。ぬっぽんいぢのバンドですよね。今回でフルアルバムとして8枚目で、その間にセルフコンピレーションやいろいろなオムニバスもやったりして、持ち曲がものすごくあるんですよ。『4Wheels 9Lives』のライブとは、ガラリとセットを変えられると思うんです。それが嬉しい悲鳴ですね。1本1本、違う表情のライブをセットリスト組みの段階でも想像できるし。

Jun Gray:新しいアルバムを中心にしたいけど、古い曲もやりたいし。“今までやってきたこの鉄板曲が入れられなくなる”って事態にもなるかもしれない。でもそうなっていくんじゃないですかね。

横山:自分たちにとって、これはライブでやらなくていいよねって曲が『Indian Burn』にないってことは、いいアルバムを作れた証拠なんで、本当に嬉しい悲鳴です。曲に導かれるように、僕もライブで語ることが違っていくだろうし、お客さんの受け止め方も変わってくるだろうし。それによってライブの雰囲気も変わっていくと思いますね。

取材・文◎長谷川幸信
撮影◎TOYO

■8th アルバム『Indian Burn』


2024年1月31日(水)発売
【初回盤(CD+DVD)】PZCA-106 ¥3,500(+税)
【通常盤(CD)】】PZCA-107 ¥2,500(+税)
▼CD収録曲
01. Parasites
02. My One Wish
03. A Pile Of Shit
04. Show Must Go On
05. These Magic Words
06. New Love
07. Better Left Unsaid
08. Indian Burn
09. Deep Red Morning Light
10. Long Hot Summer Day
11. A Little Bit Of Your Love
12. Heart Beat Song
▼DVD収録内容 ※初回盤
『Ken Yokoyama -不滅楽団編-』
収録時間:80分以上
現メンバーのインタビューを中心に、彼らの近年を追ったドキュメンタリーを収録。2024年でバンド結成20周年。改めてKen Yokoyamaというバンドとは何なのかを紐解く映像作品。



■<Ken Yokoyama「Indian Burn Tour」>

2月16日(金) 渋谷 Spotify O-EAST
open18:00 / start19:00
 w/ 10-FEET
2月17日(土) 横浜 F.A.D YOKOHAMA
open18:00 / start19:00
 w/ FOMARE
2月23日(金) 埼玉 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
open18:00 / start19:00
 w/ ENTH
2月25日(日) 水戸 LIGHT HOUSE
open17:30 / start18:30
 w/ ENTH
3月02日(土) 盛岡 CLUB CHANGE WAVE
open18:00 / start19:00
 w/ locofrank
3月03日(日) 仙台PIT
open17:30 / start18:30
 w/ locofrank
3月09日(土) 広島 CLUB QUATTRO
open18:00 / start19:00
 w/ dustbox
3月10日(日) 高松 MONSTER
open18:00 / start19:00
 w/ dustbox
3月26日(火) 新潟 LOTS
open18:00 / start19:00
 w/ KUZIRA
3月27日(水) 金沢 EIGHT HALL
open18:00 / start19:00
 w/ KUZIRA
4月07日(日) 福岡 DRUM LOGOS
open17:30 / start18:30
 w/ TBA
4月08日(月) 長崎 DRUM Be-7
open18:30 / start19:00
 w/ TBA
4月13日(土) Zepp Osaka Bayside
open17:30 / start18:30
 w/ TBA
4月20日(土) Zepp Nagoya
open18:00 / start19:00
 w/ TBA
4月26日(金) 立川 STAGE GARDEN
open17:30 / start18:30
 w/ TBA
▼チケット
前売り ¥4,800
※立川STAGE GARDEN公演 ¥5,800
【プレイガイド最速先行】
受付期間:1月26日(金)12:00〜2月4日(日)23:59
受付URL:https://w.pia.jp/t/kenyokoyama-ibt/


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