【インタビュー】SOPHIA 松岡充が語る、18年ぶりの<獅子に翼>「やり切ったときに初めて進むべき未来が見つけられる」
■“裸なSOPHIA”でいこうかなと思ってます
■いろんな演出で観せる<獅子に翼>ではなく
──<獅子に翼>詳細は6月13日のSpotify O-WEST公演で発表されました。これは復活したファンクラブ“Eternal”の初イベント<Eternal presents Dear SOPHIAns>にて、オフィシャルYouTubeチャンネルでもライブ配信しながらアナウンスされましたが、その理由は?
松岡:今の時代、SNSで情報拡散することが当たり前になっているけど、SOPHIAというバンドの性質上、そこにもっと熱量が欲しいと思ったから。他のアーティストやタレントさん達が当然のように開設していたオフィシャルYouTubeチャンネルにも、SOPHIAは容易に手を出してこなかったんですよ。もしSOPHIAという看板でやるなら、ちゃんとメンバーが熱量を注いでやらないと、と思っていたので。それで、「SOPHIAでYouTubeチャンネルを作ろうぜ」ってなったときにEternalも復活して、すごい数の人が一気に戻ってきてくれたんですよね。
▲松岡充(Vo)
──その時期と<Eternal presents Dear SOPHIAns>が重なった。
松岡:そう。ちょうどイベントをやろうということになってた時期だったんです。最初は「渋谷公会堂(現LINE CUBE SHIBUYA)で」という話も出たけど、O-WESTは、阪神大震災があったときに僕らがデビューして、状況が不安定ななかで回ったツアーのファイナルの場所で。そういう思い入れがある会場だったから、都のがんを告白するのもO-WESTにして、SOPHIAがターニングポイントを迎えるときにライブをやってきた場所。だから、“ここでやるのがふさわしいんじゃないか”と思ってO-WESTにしたんです。そのイベントのタイミングで、本気のオフィシャルYouTubeチャンネルをスタートさせたかったし、これがあれば、会場に来ることができなかったみんなも観ることができるんじゃないかと。それでO-WESTのイベントを生配信にして、みんなに伝わる状態のなかで<獅子に翼V>の詳細を発表したんです。
──なるほど。そして、今回開催する<獅子に翼V>に向けて、WOWOWではこれまで開催されてきた<獅子に翼>シリーズのライブ映像もSOPHIA特集としてオンエアされます。
松岡:これはかなり貴重な映像なんですよ。大変だったんですよ、もう映像がなくて。ハードもソフトも、体制まで変わってるから。
▲豊田和貴(G)
──所属レコード会社も当時と今では違いますからね。
松岡:僕らがデビューしたトイズファクトリーは、ずっとサブスクを解禁してなかったんで、「なんでー?!」と言ってたんですが(笑)。でも、そこにも人の思いがある。なんでもかんでもサブスクにすりゃいいってことではないじゃないですか。だから、SOPHIA復活のとき、僕らがサブスク解禁をちゃんとお願いしたら喜んでやってくれて。トイズファクトリー在籍時代の音源サブスク解禁に加えて、ミュージックビデオも一挙に公開してくれたんですよ。今回のWOWOW特番の映像もそう。トイズファクトリーだけではなく、元東芝EMIやユニバーサル、今までお世話になったたくさんの方々に協力していただいて、過去の<獅子に翼>の資料を集めることができた。移籍してもレコード会社のみなさん、僕らのことを快く思ってくださっているんだというのが分かって、嬉しかったですね。
──“SOPHIA愛”で今もつながっているわけですね。
松岡:そうなんです。さっきのFM大阪さんもそうですし。なにひとつ新しくスタートしたというのはないんですよ、たぶん。これまでのご縁でやってます。
──そう考えると、本当に義理堅いバンドであり、スタッフも含めてSOPHIAですね。
松岡:そうなんです。
▲黒柳能生(B)
──そうして10月9日当日、WOWOWでも生中継される<獅子に翼V>。今回の見どころはどこになりそうですか?
松岡:考えてはいるんですけど、まだメンバーにもスタッフにも提示してないんですよ。
──キーワードは?
松岡:…裸(笑)? “裸なSOPHIA”でいこうかなと思ってます。もう、なにかを纏って、なにかの力を借りて、いろんな演出で観せる<獅子に翼>ではなく。逆に、それらを脱いでいくというか。別に物理的に全裸になるって意味ではないですよ? 要らないものを削いで削いで、結果そこには、ネイキッドでナチュラルで、そのまんまなSOPHIAの歌があるというライブにしたいなと今は考えています。
──ほほぉー。
松岡:もちろんいろんな演出があって、いろんなメンバーの表情が観られて、いろんなパターンがあってというのも<獅子に翼>の特徴ではあるんですけど。今回は真っ直ぐに立つ。それを今やるべきなんじゃないかなと僕は思ってます。だから、これからそれに合うようなセットリストを考えて、よりネイキッドなよりナチュラルな状態で、メンバーそれぞれが真っ直ぐに<獅子に翼>に向き合うような純粋なライブにしたいと思ってますね。
▲赤松芳朋(Dr)
──会場は野外ではなく、<獅子に翼>史上初の屋内開催として、完成したばかりのKアリーナ横浜が選ばれました。
松岡:開業直後の“音楽特化型アリーナ”ということでKアリーナ横浜を選ばせてもらったんです。できたばかりで綺麗だし、豪華なので、それだけでも演出になるぐらいの会場です。<獅子に翼>はこれまでも大きな会場でやってきましたけど、今回もとても大きいキャパの会場です。けれども、気持ちはO-WESTとかライブハウスと一緒です。目の前のあなたと直接つながりたい。遠くにある景色じゃなくて、オーディエンス一人ひとりとまっすぐに対峙する。そんなライブにしたいなと思っていますし、そうなると思います。
──精神は変わらずと。
松岡:当時、なぜSOPHIAの曲に心震えたのか。そこにはなにかあると思うんですよ。そのときの人間関係なのか、将来への悩みや不安なのか、はたまた自分の生まれ育った環境がそうさせたのか。そこには悲しみも喜びも切なさもあるだろうし、いろんな感情があって。そういうときに、たまたまSOPHIAの楽曲が沁み込んだんだと思うんですね。おそらく当時の自分を乗り越えて、それぞれが今の自分になっている。でも、たしかに今も、あの頃と同じこの心臓が動いてるんだと感じてもらえるようなライブ。オーディエンスそれぞれが“あのときもこの心臓だった。この曲を聴いて、心臓がドキドキしたんだ”ということを感じてもらえるライブにしなきゃいけないと思ってます。ただ演奏して“あ〜、この曲懐かしいな”ではない。やるからには当時のことを引っ張り出しながら、今の時代にそれを感じる。そういうライブにすることが、僕らが今やるべきライブじゃないかなと思ってます。
▲都 啓一(Key)
──実にSOPHIAらしいですね。
松岡:“見てください。僕たちこんなに素敵な音楽をやってるんですよ”とか“僕たちこんなに華やかなんです。カッコいいでしょ”というようなショーをやるつもりはない。“ここに来るために、いろんなものを乗り越えて。それでもここに来たんだ”という人が目の前にたくさんいる。その事実をしっかりと受け止めて、一緒に心の中をこじ開けます。本当は開けたくない扉も。そんな覚悟を持って、目の前にいるオーディエンスと向き合ってますから。
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