【インタビュー】Lenny code fiction、ニューアルバム『ハッピーエンドを始めたい』にバンドの根本と願い「第2章が始まった」
Lenny code fictionが、2018年に発売した『Montage』以来のニューアルバム『ハッピーエンドを始めたい』をリリースする。今作に向けて、Lenny code fictionというバンドをこれまでになく深く内観することで「ずっと幸せを探している」ことに気づいた彼らは、自分達のアイデンティティを明確化し、サウンドと歌詞ともにまた新たな表現を手に入れた。「脳内」(『炎炎ノ消防隊』)、「ビボウロク」(『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』)、「SEIEN」(『魔王学院の不適合者 Ⅱ ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~』)という3曲のアニメタイアップを含む全11曲からなる渾身の今作について、BARKSはメンバー全員にインタビューを実施。インタビューの終盤には「今がいちばん充実してる」と述べた彼らが辿ったのは、どのような心の旅だったのだろうか。さらに、アルバムのリリースツアー<ハッピーエンドを贈りたい>の意気込みについても語ってもらった。
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■オレたちはUSじゃなくUKだよね
──久しぶりのフルアルバムである新作『ハッピーエンドを始めたい』は、幸せを掴みにいくという大きなテーマを掲げた作品になりましたね。どういったキッカケから生まれた作品なのでしょうか?
片桐 航(Vo/G):コロナ禍の影響もあり、しばらくリリースができない時期からフルアルバム自体はずっと見据えていたんです。実際にそれをどういったものにしたいのか、というのを昨年の頭にチーム全体でしっかり話し合って。
──バンドとして、何を目指していくのか、と。
片桐:はい。僕らは楽しくて騒げるようなタイプのバンドでもないし、不満だけを歌うバンドでもないから、そこを探す為に人生観まで掘っていったとき、幸せになりたいんや、というのが根本にあると気づいたんです。文句も言うし、悔しさもあるけど、“幸せ”を目標として動いていくというか。これまでの曲を振り返っても、ただ幸せな瞬間を歌ってるのではなく、さらに幸せを掴みに行く様を歌ってるんですよね。そこから、幸せを掴みに行くという大きなテーマと、2023年7月にリリースすることを決めて動き出したんです。
▲片桐 航(Vo/G)
──その気づきは、誰かがポロッと話したようなことから広がったんですか?
片桐:それこそ、歌詞を書いてる自分の幼少期まで遡った話をしてて。生き方みたいな話になって、「どうしたいの?」と言われたときにポロッと出てきたというか。
ソラ(G):そのときのことよく憶えてるんですけど、「小学校のとき、スクールカーストってあったじゃん。航はどこにいたの?」みたいな話をしてたんですよ。で、「1軍ではなかった」みたいな(笑)、そういうことを聞きつつ、みんながどういう人間なのかを踏まえた上で気づいたことでしたね。
──新しくテーマを設けたんじゃなく、無意識のうちになっていたことを顕にしたという。
kazu(Ba):メンバー全員そうなんですけど、誰ひとり陽キャじゃないですし(笑)。
──昔はクラスでちょっと斜に構えてたり、何かを抱えてるような人がバンドをやっていたけど、最近はクラスの人気者がそのままバンドをやってるよね、みたいな話もあるんですけど。
ソラ:クラシカルなタイプですね、僕らは(笑)。
一同:ハハハハ(笑)。
kazu:というのもあったんで、ハッピーな人間がハッピーなことを歌ってるとか「オレたち順風満帆に成功してるぜ!」みたいな前向さじゃないよね、っていう話にもなりました。そこからサウンドの話にもなったんですけど、オレたちはUSじゃなくUKだよね、っていう。
▲kazu(Ba)
──ちょっと湿り気があるような。
kazu:そうなんですよ。「オレたち、カッコいいぜ!」っていうだけじゃないバンドだから、何かちょっとジメッとした部分、後ろ向きな部分もあったりする。そういった方向性を決めてから、フルアルバムに向けての曲作りもそうだし、「脳内」、「ビボウロク」とシングルをリリースしていったんですけど、わりとUKを意識した空気感を求めていったんで、1stフルアルバム『Montage』とはカラーが変わったところもありますね。もちろん、それが正解かどうかは今後やっていかないとわからないんですけど、今は凄くしっくりきてるので、チーム全体としても「今のレニーはこうだよね」と納得できてるんです。
KANDAI(Dr):個人としてはもう20年ぐらいバンドをやってきて、十分に幸せだと思うんです。この歳になってもドラムを叩けてて、バンドをやれてて、メンバーにも恵まれてる。ただ、もっと求めたくなるのも人間だなと思うし、より幸せは欲しい、っていう想いは僕もありますね。
──レニーとして10年も一緒にやってきて、改めて人間性をさらけ出すことに照れくささはなかったですか?
片桐:最初は全然ありましたよ。ただ、それをできてなかった20代前半という認識も同時にあったので、やっぱりちゃんと話し合えてたのが大きかったと思います。
──今回のタイトルは『ハッピーエンドを始めたい』。物事は始まった瞬間から終わりに向かってるとは言え、“エンド”という言葉をつけたのは少し驚いたんです。
片桐:最終的に幸せが待ってると信じてる部分は大きいですし、それをそろそろ始めたいというか。それに、エンドという言葉にも悪い意味は込めてなくて。近いタイミングで言えば、満員になってるツアーファイナルで最後に「幸せとは」を演奏するのもハッピーエンドですし。
──ひとつの人生みたいなタームではなく、もうちょっと短いスパンの中で、ハッピーエンドで締めくくることを繰り返していくような。
片桐:そうですね。もうちょっと言えば、熱い決意を込めた作品っていうことでもないんですよ。内向きな感情というか、“始めたい”っていう願いを込めているので。
▲アルバム『ハッピーエンドを始めたい』ジャケット
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