【インタビュー】ASKA、デイヴィッド・フォスターと共演「あの人の音楽に出会わなかったら自分の音楽はここまで長続きしてない」

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■「そんなこと、あるんですね」というのばかり。俺の人生は

── ASKAさんもドキドキワクワクですね。

ASKA:それを通り過ぎてプレッシャーです。僕は、それが終わったらすぐにツアーだから。最初は3月からツアーが入ってたのね。だけど、デイヴィッドが「ここしかない」とわざわざ開けてくれたのが3月の日程で。わざわざ自分との共演のためだけに来日してくれるんだから、こっちはツアーをずらしてでもと。ところが、翌月からと言っても4月1日からですからね。かなり大変なスケジュールです。

── とはいいつつも、デイヴィッドとの共演の準備は着々と進んでいて。当日はゲストヴォーカルとして宮崎薫さんの参加が発表されました。宮崎さんはASKAさんの娘さんでもありますけど、それを抜きにして「外人うけする声」ということで彼女を選んだとASKAさんがコメントされているのを読んだのですが。

宮崎薫

ASKA:うん。昔からそう思ってた。歌い出した頃から「日本人の声じゃないな」と思ってて。発音もネイティブだから洋楽を歌ってるのを聴いたときに、これは案外海外でデビューしたほうがいいんじゃないかなと思ってた時期もあって。実際、薫は1人でアメリカに出て行って、向こうのフェスに出たりしてるので、今回はいい機会かなと思って声をかけました。親だからとかではなくて、いちプロデューサーの目から見て、すごい身近に逸材がいたっていうだけ。それがたまたま親子だったということ。あと、デイヴィッドがアジアの女性シンガーをずっと探してるという話も知ってたから、そのプレゼンの意味もあって薫の歌を聴いてもらいたいなと。彼女にも自分の歌をアピールするつもりでやってみなというのもあった。

── 宮崎薫さんにシンガーになることをすすめたのはASKAさんなのですか?

ASKA:ううん。彼女は17〜18歳ぐらいから歌い始めたんだけど。そのとき歌ってるのを聴いて、自分が20歳の頃、ここまで歌えてたっけ? と思うくらいうまかった。本当に親の贔屓目じゃなく、すごい歌を歌うなぁと思ってたから、そのうちこっちの世界に入るんだろうなとは思ってた。一般の人がカラオケに行って、上手い人、いるよね? だけどプロとは違うんだよ。例えば野球でいうと、野手でもね、豪速球を投げる人はいます。けど、ピッチャーが投げる玉、最後に指先をピンときかせて投げる豪速球とは違う。薫は、歌い出した頃から歌手の歌を歌ってたから、デビューするのは間違いないと思ってた。

── ASKAさんを身近で見てきたからですかね。

ASKA:早くから洋楽をずっと聴いてたからだと思う。

── そんな宮崎薫さんとデイヴィッドとの共演も楽しみな今回の公演。公演に向けて、まだまだASKAさんがやらなければいけない作業はあるのですか?

ASKA:そうだね。俺の曲は長くて、どの曲も5分ぐらいあるから。でも、向こうのヒット曲は長くて4分。3分半が普通でしょ。だから、すでにデイヴィッドにはズバズバ切られてて。

── えっ…ASKAさんの曲を? 

ASKA:そう。日本語が分からないからメロディーのフィーリングだけでバンと切って、つないでくるからさ。だから、俺ももしかすると1番の途中から2番に入っていったりとか、いろいろやらなきゃいけないかもしれない。でも、作品だから。ライブも。自分の楽曲にこだわりすぎて妙なブツ切れになるぐらいなら、与えられた時間の中でどう作り込むかを考えなきゃいけないので。そこはこれからいろいろ積み上げていかなきゃいけないところだね。

── いやー。でも、考えようによってはそんな風にASKAさんの楽曲に大胆なアレンジを施せるのはデイヴィッドしかいないでしょうから、本当にここでしか聴けないASKAさんのステージになること、間違い無しですね。

ASKA:こんなことはもうないからぜひ、観に来て欲しいですね。あたふたしてる日本のシンガーのスリル感を共有して欲しい(笑)

ASKA/撮影:フォトスタジオアライ

── そうして、このライブは来場特典としてBlu-ray『ASKA Premium Symphonic Concert LIVE』(2022年8月6日に行なった名古屋公演を120分サイズで収録)を入場者全員にプレゼントすると書いてあったのですが。

ASKA:うん。VIP席ってそういうものがついてるでしょ? その感覚を全席にしたってだけの話。

── にしても、すごくないですか? 勿体無いじゃ無いですか。セル作品にしなくていいのですか?

ASKA:大丈夫、大丈夫。だって、もう配信でみんな観てるんだから。ぜひぜひみなさん観てください。でも、それぐらい特別な公演ってことですよ。こんなに早くデイヴィッドと共演できると思ってなかったからね。


── デイヴィッドの年齢を考えると、共演するのも今回が最後かもしれないですしね。

ASKA:いやいや。デイヴィッドはまだまだ現役ですよ。奥さん、だってまだ30代だし(笑)。最後に俺をプッシュしてくれたのも、その奥さんだから。デイヴィッドも俺も作曲家だから、アドリブで1曲作るなんてのは大変な作業じゃないんだよね。でも奥さんは作曲家ではないから、目の前で2人が作品を作っていく光景はマジックを見てるような感覚だったんだろうね。だから、僕がデイヴィッドに「コンサートを一緒にやりたい」と言ったとき、真っ先に奥さんが後押しをしてくれたんだよね。

── そんなこと、あるんですね。

ASKA:ね。「そんなこと、あるんですね」というのばかりだから。俺の人生は。


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