【インタビュー】ASKA「すべてにおいてエンターテインメント性を醸し出せるステージを」
近年のASKAはシンフォニックコンサート、バンド形態でのコンサート、ディナーショー、デイヴィッド・フォスターとの共演、フェス出演など、さまざまな形で精力的なライブ活動を展開してきた。その成果が実を結び、さらなる展開へと繋がったのが、2024年9月21日からスタートする全国ツアー<ASKA CONCERT TOUR 2024≫2025 -Who is ASKA !?->である。2025年1月27日まで続く予定で、現時点で29公演が決定しており、すでにソロになってからの最長のツアーとなった。
また、全国ツアーに続いてはアジアツアーへも控えている。さらに2024年6月22日と26日には、デイヴィッド・フォスターの公演<HITMAN David Foster & Friends>へのゲスト参加も決定。ツアーのことなど、ライブ活動について、ASKAに聞いた。
──2023年のツアーファイナル時に、「自分をかきたててくれるミュージシャンとしての喜びを途切れさせたくないので、来年もツアーをやろうと考えている」と発言されていましたが、その言葉どおり、長期的な全国ツアーが決定しました。
ASKA:2018年からかなりの密度でコンサートを行ってきたんですね。このあたりで少しゆっくりしなれければと思い、「前のペースに戻すね」と公言していたんですよ。ところが、前回のツアーに入った時に、近年ないくらい声の調子が良くて、以前の歌い方に戻ってきている実感があったので、この感覚を忘れないようにするためにも、早めにツアーをやることにしました。当初は「次のツアーは2年後」と言ってましたが、「いや、1年後にしてほしい」とお願いして、急きょ変更しました。
──ソロ活動を開始して以降、4か月にわたるツアーは初めてです。しかも本数も29公演で、2012年から13年にかけて回った<ASKA CONCERT TOUR 12>>13 ROCKET>の31公演に迫っています。しかも、これからまだ増える可能性もあるんですよね。
ASKA:僕が無理を言ってツアーの予定を早めてもらったこともあり、ホールがなかなか取れないんですよ。全国的にもそうなんですが、とくに東京がきびしい。コロナで足止めされていたミュージシャンたちが一斉にライブを活発に行うようになった状況もあります。今、なんとか潜り込めないか、イベンターのみなさんに頑張っていただいているところです。
──近年、ASKAさんはツアーのテーマについて“今のありったけ”という言葉を使っていますが、その意識は継続しているのですか?
ASKA:“今のありったけ”を表現する意識はありますね。60歳を超えた頃から、新しいアルバムを作ろうがなんだろうが、その時にやりたい曲をやるんだという気持ちが強くなってきました。ライブって自分の軌跡なので、1979年のデビューからその時までに自分の作った楽曲がすべて対象だと考えています。“これまでの軌跡”というニュアンスは、今回とくに色濃くなりそうですね。ソロ曲かどうかも関係なく、自分の作ってきた楽曲を、今の自分の声で再現して歌ってみたいと思っています。
──ソロとして初めて行く場所、久々の場所もあります。
ASKA:ここ最近行けなかった都市に関しては、土日が取れなかったとしても、なんとかやりたいと考えていました。最近は土日でなければ、コンサートに足が向かないという傾向があるようですが、行ける時に行きたいという気持ちが強かったんですよ。
──自分たちの町にASKAさんが来てくれるのは、とてもうれしいことだと思います。
ASKA:ソロでは鹿児島、山形、島根、山口、青森が初めてですね。ともかくその日その日のステージを思いっきり楽しむことに集中しようと考えています。
──毎回、ツアー終盤に、「もうすぐ終わってしまうのがさびしい」とコメントされてましたが、今回は29本あるので、やりごたえがあるのではないですか?
ASKA:いやいや、たとえ40本あっても、50本あっても、ツアーって結局はあっという間に終わってしまうんですよ。でもね、「もう終わってしまうんだ」というフレーズを使えることがうれしいという(笑)。
──その言葉が使えるのは、ツアーが充実していることの証しですもんね。今回のツアーのスタートは9月なので、まだ半年ほど先になりますが、今の時点でライブについて考えていることはありますか?
ASKA:今回は1990年代のステージをイメージしています。1990年代って、エンターテイメント性を追求したステージが多かったじゃないですか。その後、バンドサウンド中心になり、“重要なのは舞台セットじゃないんだ”という感覚が一般的になりましたけど、今回はちょっと1990年代の感覚にステージを戻してみようかと考えています。漠然とした感覚なんですが、すべてにおいてエンターテインメント性を醸し出せるステージをイメージしています。
──1990年代のステージのイメージを持ったきっかけ、理由はありますか?
ASKA:単純に、ライブの空気感にこだわった時代が長かった気がするんですよ。もちろんライブ感は大切なものですが、エンターテインメントであることをもっと重視してもいいんじゃないかと思ったからですね。コロナが収束の方向に向かっているタイミングだったことも大きいですよね。みんなが萎縮してしまっていた空気を、エンターテインメントの持っている非日常性によって、一新したくなりました。
──ハードな現実を一瞬でも忘れさせてくれることは、エンターテインメントの重要な役割ですよね。
ASKA:よく「ラスベガスのショーはすごい」という話を聞くじゃないですか。日本人が語るエンターテインメントとアメリカ人が語るエンターテインメントって、雲泥の差があると思うんですよ。「そこに近づけ」ということではないんですが、もっと日本人としてのエンターテインメントの追求の仕方があるんじゃないかなって。その時その時を駆け抜けてきたからこそ、見えてくるものもあると思っているので、今の自分にできるエンターテインメントショーを追求しようと考えています。1本1本に全力を投入し、お客さんと一緒に最高の気分を味わっていただきたいです。
──選曲の基準は?
ASKA:CHAGE and ASKAの曲も普通にやろうと考えています。以前は、区分けをしなきゃいけないという意識が強かったんですよ。自分がCHAGE and ASKAの曲をやるんだったら、アレンジも変えなきゃいけないと思っていたんですが、今はそういう区分けは必要ないですね。
──そう思うようになったのはいつ頃ですか?
ASKA:前回のツアーの時には、もう吹っ切れていましたね。「モーニング ムーン」や「On Your Mark」も普通の感覚で入れていました。
──エンターテインメント性を追求することは、1990年代のCHAGE and ASKAのステージとも共通するところがありますよね。当時のステージも壮大でし、演出も大掛かりでした。
ASKA:当時は、僕らが大掛かりなことをやっていたというよりも、世の中全体としてそういう傾向があって、大規模なことをやれるミュージシャンはみんな、やっていた気がしますね。ただし、当然当時との違いはあるわけで、今の時代に今の自分がやるとしたら、どんなステージなのか、これから少しずつ詰めていこうと考えています。
──今はアイディアを練っている段階ということですね。
ASKA:そうですね。エンターテインメント性をより強く意識するようになってから、映画の見方も少し変わってきました。映画のあるシーンを観た時に、あるシーンがヒントになって、そこから広がって思いつくことがあるんですよ。今はいつでも好きな時間に、家で映画やドラマを観られるでしょう。だから、ただ“おもしろい・おもしろくない”ではなくて、ライブや楽曲を作るヒントとして観ている意識もありますね。このセリフを言われたら、きついな、こう言われたら、主人公はどんな気持ちになるんだろうと考えたが、曲を書くきっかけになることもありますし。
──エンターテインメントという領域で考えると、映画やドラマも人の感情を揺さぶるという点では、音楽と共通しますよね。
ASKA:そうですね。最近は韓国ドラマがすごいですよ。ちょっと前まで、『ペントハウス』に引きずり込まれて、夢中で観ましたね(笑)。映画やドラマだけじゃなくて、現実の世界情勢も含めて、アンテナを高く張り巡らすことで、その時にしかできないものを生みだせるのではないかと考えています。
──ツアータイトルにある“Who is ASKA !?”は、デイヴィッド・フォスターさんがラジオのゲストとして出演された際に、発したフレーズがヒントになっているとのことですが。
ASKA:そうです。デイヴィッドがジョークで「Who is ASKA !?」と言ったのですが、その瞬間に、ジョークだとは思わずに、ラジオのスタッフが固まってしまったんですよ。このフレーズはおもしろいなと思って、使うことにしました。最近、僕のライブに若い世代の人が観に来てくれる機会も増えていて。僕を知らない世代も出てきているので、そういう世代に向けてという意味でも、“Who is ASKA !?”は当てはまるかなと。今回のツアー、学生席(中学生高校生を対象としたキャッシュバックサービス)とファミリー席(小学生同伴者対象)も設けています。サブスクで1990年代の音楽でプレイリストを作っている若い子たちもたくさんいると聞いていますし、このタイトルしかないなと思いました。
──近年のASKAさんのライブは、若い世代も増えていて、年齢層がさらに広くなっています。ご自分ではどう感じていますか?
ASKA:年齢層が広くなっていることは感じていますし、ありがたいですよね。ご年配の方もたくさん観に来ていただいていますし、お母さんに連れられてきたのか、高校生くらいの方もいますし。ポール・マッカートニーが若い学生の子たちに安いチケットを出す試みを行っていたんですよ。リアルタイムで自分の音楽聞いていなかった世代に対して、“自分を見つけてくれてありがとう”という意味も込めて、値段を下げているとのことで、素敵だなと思ったので、学生席とファミリー席を作ることにしました。
──あらゆる世代を楽しませるエンターテインメント性あふれるステージということですね。
ASKA:「いいライブだったね」じゃあダメなんですよ。「また行きたいね」と言わせるライブでなきゃ。
──観に来る人に向けて、メッセージをいただくとしたら。
ASKA:ライブというよりも、2時間のショーを楽しみにしてくださいということですね。
──今回のツアーは2025年1月まであって、その先にはアジアツアーが入ってきます。アジアでライブを行うことについて、どう考えていますか?
ASKA:アジアツアーは以前からずっと考えていたことですね。コロナもあり、タイミングを見計らって、この時期になりました。アメリカでもやってみたいと考えていて、もしかすると、アメリカまで足を伸ばせるかもしれません。海外でのライブに関して、「進出」という言葉の使われるケースが多いんですが、僕のは「進出」じゃない。僕がロンドンに住んでいる時に、演出家の故・蜷川幸雄さんのロンドン公演を観に行ったんですが、日本人で満杯でした。高橋真梨子さんがロンドン公演を行った時も、ロイヤルアルバートホールだったっけ?満員だった。つまり、海外コンサートは「進出」ではなくて、現地に住んでいる人たちの郷愁をくすぐるものでもあるんだなと実感しました。僕が、たまたまニューヨークにいた時、マジソンスクエアガーデンで加山雄三さんがライブを行なってた。日本の方がたくさん集まっていたでしょうね。そういうことなんだなと思いました。「アメリカ進出」みたいな気張ったムードが漂うやり方ではなくて、僕のコンサートを観たいと思ってくれる人のところに行くというだけですよね。
──言われてみると確かに、「進出」という言葉が似つかわしくないと感じました。
ASKA:先日、台湾で長年活躍しているジョナサン・リーの武道館公演に、ゲストで出演させていただいたんですが、観に来ているお客さんの多くは台湾、中国の方で、中国語での大合唱が起こっていました。僕もああいうステージを海外でやってみたいと思っています。
──アジア公演に関しては、CHAGE and ASKAとしても、ASKAさんのソロとしても、継続して行ってきた経緯があり、音楽を通しての国際交流の役割も果たしてきました。そうした役割について、どう考えていますか?
ASKA:国と国の交流の役に立てたらという気持ちは変わらずありますね。当時の自分たちの楽曲が、その役割になっていた面はあったと思っています。今は当時とはまた状況が違いますが、アジアツアーをコンスタントに続けていきたいですね。その時々によって、国と国と繋ぐ音楽は必ずありますからね。日本の若いミュージシャンも、普通に海外でライブを行なうようになるでしょう。
──時期的にはこちらが先になりますが、2023年の共演に続いて、6月22日、26日の<HITMAN David Foster & Friends>というタイトルのデイヴィッド・フォスター日本公演への参加も発表されています。2018年のデイヴィッド・フォスター日本公演の時に、ASKAさんがデイヴィッドさんの楽屋に招かれて、「Friendsのメンバーに入れてほしい」と伝えたことが、今回見事に実現したわけです。
ASKA:実現しましたね(笑)。やはり自分の思いは、まず口にすることが大切ですね。今回の公演のゲストに関しては、今年もデイヴィッドが来るんだったら、観に行きたいなと思っていたんですよ。「だったら一緒にやらないか?」と声をかけてもらったところから実現しました。前回は僕のバンドにデイヴィッドが参加してくれる形で、その時に、デイヴィッドが「YAH YAH YAH」をとても気に入ってくれていたので、今回はデイヴィッドのバンドで一緒に「YAH YAH YAH」をやってみたいですね。
──それは実現したら、すごいことになりそうですね。デイヴィッドさんのバンドにはどんな意識で参加しようと考えていますか?
ASKA:音楽って共通言語だから、その空間を楽しみながら、歌えたらいいかなと思っています。デイヴィッドは一瞬にして空気を変えることができる人。なかなか、あそこまで一瞬で変えられる人はいないです。ワールドワイドなエンターティナーですね。
──全国ツアー、アジアツアー、デイヴィッド・フォスター公演へのゲスト参加、さらにアルバム制作も進行中とのことで、2024年も充実した音楽活動を展開しています。今後のビションについて、思うことはありますか?
ASKA:とりあえず、70歳まではシャウトしていたいですね。
──前回のツアーでは、近年でもっとも声が出ていることに驚きました。
ASKA:自分でも身体が変化してきていることがわかるんですよ。喉の鳴り方が少し前までとは違って、昔に戻っています。ただ、「去年は良かったけれど、今年はダメだよね」ってことにならないように、途切れないように、歌い続けていきたいですね。
取材・文◎長谷川誠
<Travel TV presents ASKA CONCERT TOUR 2024≫2025 -Who is ASKA !?->
2024年9月21日(土)東京 J:COMホール八王子
2024年9月25日(水)大阪 オリックス劇場
2024年9月26日(木)大阪 オリックス劇場
2024年10月3日(木)福岡 福岡サンパレスホテル&ホール
2024年10月4日(金)熊本 熊本城ホール メインホール
2024年10月6日(日)鹿児島 川商ホール(鹿児島市民文化ホール)第一
2024年10月19日(土)神奈川 神奈川県民ホール
2024年10月24日(木)岩手 盛岡市民文化ホール 大ホール
2024年10月26日(土)山形 やまぎん県民ホール(山形県総合文化芸術館)
2024年11月4日(月祝)北海道 札幌文化芸術劇場hitaru
2024年11月8日(金)岡山 倉敷市民会館
2024年11月10日(日)広島 広島文化学園HBGホール
2024年11月15日(金)兵庫 神戸国際会館こくさいホール
2024年11月16日(土)京都 ロームシアター京都メインホール
後半公演(2024年11月23日~2025年1月27日公演)
2024年11月23日(土)島根 島根県芸術文化センター 「グラントワ」大ホール
2024年11月24日(日)山口 周南市文化会館
2024年11月29日(金)新潟 新潟県民会館 大ホール
2024年12月1日(日)石川 本多の森 北電ホール
2024年12月8日(日)静岡 静岡市民文化会館 大ホール
2024年12月13日(金)青森 リンクステーションホール青森(青森市文化会館)
2024年12月15日(日)宮城 仙台サンプラザホール
2024年12月20日(金)兵庫 アクリエひめじ 大ホール
2024年12月21日(土)大阪 箕面市立文化芸能劇場大ホール
2025年1月11日(土)愛知 愛知県芸術劇場 大ホール
2025年1月12日(日)愛知 愛知県芸術劇場 大ホール
2025年1月17日(金)沖縄 那覇文化芸術劇場なはーと 大劇場
2025年1月18日(土)沖縄 那覇文化芸術劇場なはーと 大劇場
2025年1月25日(土)香川 サンポートホール高松 大ホール
2025年1月27日(月)大阪 フェスティバルホール
※2025年2月からはアジアツアーを開催予定
全席指定 S席:12,000円(税込)/ A席:9,000円(税込)※会場によって区分は異なります。
ファミリー席:16,000円(税込) ※着席指定
◆S席・A席をご購入いただきました中学生・高校生は当日会場の専用窓口にて学生証提示でキャッシュバック。
S席:当日 5,000円(税込)キャッシュバック(実質 7,000円)
A席:当日 4,000円(税込)キャッシュバック(実質 5,000円)
※公演日当日、学生証をお忘れの方はキャッシュバックの対象となりません。予めご了承ください。
※当日ご来場いただけなかった場合、キャッシュバックの対応は致しかねます。
※ファミリー席は学生キャッシュバックの対象ではございません。
※ファミリー席はファンクラブ会員限定先行抽選予約・ローソンチケット先行抽選予約期間内での限定販売となります。
※ファミリー席はお子様連れのお客様のために指定席内に設ける着席指定のチケットになります。
※ファミリー席は小学生(12歳)以下のお子様とその保護者を対象とします。保護者のみ、お子様のみでのご入場は出来ません。
※保護者1名につきお子様1名となります。
※ご入場時にはお子様の年齢が証明できるものをご提示いただきます。(マイナンバーカード、パスポート、保険証など)
※未就学児入場不可
公式チケットトレードリセール「チケトレ」設定予定
https://tiketore.com/magazines/guide
【チケット先行予約・発売日】※前半公演
FC1次先行:4月26日(金)10:00~5月6日(月)23:59
FC2次先行:5月14日(火)10:00~5月19日(日)23:59
ローチケ1次先行:5月7日(火)10:00~5月13日(月)23:59
ローチケ2次先行:5月20日(月)10:00~5月26日(日)23:59
一般発売日:2024年6月22日(土)10時~
※後半公演については後日アナウンスします
<HITMAN David Foster & Friends ASKA , Katharine McPhee, Pia Toscano>
埼玉 大宮ソニックシティ大ホール
開場15:00 開演16:00
2024年6月26日(水)
大阪 フェスティバルホール
開場17:30 開演18:30
18,000円(税込、全席指定、特製プログラム付)、学生席3000円
一般発売: 4/20(土)10:00
◆ツアー特設ページ
◆ASKAオフィシャルサイト
◆David Foster & Friends 特設ページ