【俺の楽器・私の愛機】1214「ヴィンテージの洗礼」
【Greco・L100】(愛知県 こんちん 62歳)
ギター専門誌巻末の小さな広告写真に心奪われ、現物確認無しで取り寄せてしまったのが6年前。ジャパンヴィンテージ=光輝く天女様と妖しく戯れる日々を妄想しながら ワクワクドキドキ厳重な梱包を解くと・・ひび割れたバインディング、緑青が浮いた金属パーツ、塗装は縮んで外周が浮き上がってる・・
恐る恐る弾いてみると・・ 何かおかしい!あれ?1弦が指板を外れて宙に浮いてる?ネックとテールピースの芯がずれてるじゃん!広告主に即電話・・「ブリッジは固定されてないから 指板に乗るように調整して」「前のオーナーさんはそれで弾いてたんだから」最後には「まぁ当時の日本製なんてそんなもんっすよ」そっけない回答。
フムフムそう来ましたか。まぁ天女様はそう簡単になびいてはくれんわな。とことん付き合いましょ。しかし現実は厳しい。まずはブリッジの位置合わせ、オクターブ確認調整。弾いてるとズレてくるのでまた調整の繰り返し。天女様にはいつまで経っても戯れさせては貰えず、理不尽な我儘に振り回されるばかりの毎日。なんだかなぁめんどくさい楽しくない気持ち良くない。次第に触るのが億劫になりやがて放置すること5年。ホコリと共に自責の念が積もりゆく。
そんな折り、隣町に大きく「ギター屋」と書かれた看板を発見。えいやと飛び込んで これまでの経緯と苦しい胸の内を吐き出すと、優しく「直せますよ」と励まされてリペアをお願いすることに。
待つこと半年。黒のピックガードでお色直しの天女様は少し引き締まった印象。テールピースはセンターから1センチくらいずれたけど、弦は真っ直ぐ張られてる。とりあえずコード1発、あら?生音こんなにデカかったか?特にプレーン弦の高い音は激変。前はぺんぺん頼りない音だったのに しっかりとボディが鳴って抜けるように響くまるで別物。こんな事ならもっと早くプロに相談しとけば良かった。気持ちいい楽しいいつまでも弾いていられる。あんなに億劫だったのに今では暇さえあればずっと抱えてます。
現物確認はしないとあかん。でもしてたら買わなかったと思うから結果オーライ良かったと思います。
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「当時の日本製なんてそんなもん」という発言はいただけないなー。楽器を扱うプロとして猛省して欲しい。当時の定価10万円でこれだけの作りをしていることがとてつもなく凄いってこと、ちょっと考えれば分かるじゃん。コンディションが良くないことと楽器の造りが良くないことは別だからね。ここ試験に出ます。しかし、健康を取り戻せば最高の伴侶になるというエモい話、それもこれも出会いですね。しかしテールピースのセンターをずらすという調整方法もあるだなんて、なんだか凄い。(JMN統括編集長 烏丸)
★皆さんの楽器を紹介させてください
(1)投稿タイトル
(例)必死にバイトしてやっと買った憧れのジャガー
(例)絵を書いたら世界一かわいくなったカリンバ
(2)楽器名(ブランド・モデル名)
(例)トラヴィス・ビーン TB-1000
(例)自作タンバリン 手作り3号
(3)お名前 所在 年齢
(例)練習嫌いさん 静岡県 21歳
(例)山田太郎さん 北区赤羽市 X歳
(4)説明・自慢トーク
※文章量問いません。エピソード/こだわり/自慢ポイントなど、何でも構いません。パッションあふれる投稿をお待ちしております。
(5)写真
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※毎月の掲載数は2~4件ほどの予定です。選出はBARKS編集部で行ないます。
※掲載の選出対象は【俺の楽器・私の愛機】コーナーにて2022年5月30日以降に掲載された投稿が対象となります。
引き続き【俺の楽器・私の愛機】をお楽しみください。今後ともBARKS楽器人をよろしくお願いいたします。
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