【俺の楽器・私の愛機】1152「ギター製作家の「俺の嫁」」

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【カスタムギター】(近畿のどこか 匿名希望の人 50代男性)


いつも楽しく連載を拝見させていいただいております。当方、アコースティックギターの個人工房を細々と営んでおります。名乗るほどの者ではございません。いえ、名乗ったところでほとんど誰も知らないでしょう。


日々、お客様向けのカスタムギター製作にまい進しておりますが、時には新しい工法や素材のテストも必要です。また、近年ご無沙汰ぎみなギター演奏の歓びをとりもどしたくなり、半月で完成させました。

小ぶりな19世紀マーチンスタイルにカッタウェイ。スケールは630ミリ。低めの弦高による多少のビリつきも愛嬌のうちです。ボディは地産スギ。トップの木目はセンターの柾目から板目へと変化し、あたかも波形のよう。控え目なショルダーレスト加工。箱鳴りの生々しい息づかいを感じる「モニタースリット」。ブリッジミュートしやすいピン位置設定により、弾けばビビットなプリプリサウンドが飛び出します。

もともとはラウドに鳴り見た目も派手なギターが好きでしたが、素朴な弾き方が似合うこのギターは「やっと会えたね...」と言いたくなる愛機、そう、「俺の嫁」なのです。

自宅兼工房にお客様が来られた時にはいつも「俺の嫁」を紹介するのですが(嫁、とは決して声に出して言いませんが...)、やれテンションが低いだの音が小さいだの地味だのと、残念ながらあまり褒めてもらえません。

お客様が帰られたあと嫁に、「さっきは...すまなかったな...」と詫びるようにつま弾くと、彼女はちょっぴりスネつつも優しく、清らかな声で「ううん、気にしてないよ...」と私に答えてくれるのでした。

先生...先生!私は異常でしょうか!!!




   ◆   ◆   ◆

「さっきは...すまなかったな...」「ううん、気にしてないよ...」という会話は由緒正しき変態の証。異常とは思いませんが、他人様からはドンビキされる珍獣です。それにしても、こんなかわいいギターを作るルシアーなのに、なぜ名乗らない。え、誰?誰?私は「ビビットなプリプリサウンド」という文言にしびれた。そういうギターが欲しいのよ。音量なんかいらない。会話できるギターが欲しい。追柾目的な(?)木の取り方で、こういうトップの顔つきもキュートだし。次回は「俺の嫁」ではなく、主力商品をガツンと紹介してください。もちろんブランドも名乗ってね。(JMN統括編集長 烏丸)

★皆さんの楽器を紹介させてください

「俺の楽器・私の愛機」コーナーでは、皆さんご自慢の楽器を募集しています。BARKS楽器人編集部までガンガンお寄せください。編集部のコメントとともにご紹介させていただきますので、以下の要素をお待ちしております。

(1)投稿タイトル
 (例)必死にバイトしてやっと買った憧れのジャガー
 (例)絵を書いたら世界一かわいくなったカリンバ
(2)楽器名(ブランド・モデル名)
 (例)トラヴィス・ビーン TB-1000
 (例)自作タンバリン 手作り3号
(3)お名前 所在 年齢
 (例)練習嫌いさん 静岡県 21歳
 (例)山田太郎さん 北区赤羽市 X歳
(4)説明・自慢トーク
 ※文章量問いません。エピソード/こだわり/自慢ポイントなど、何でも構いません。パッションあふれる投稿をお待ちしております。
(5)写真
 ※最大5枚まで

●応募フォーム:https://forms.gle/KaYtg18TbwtqysmR7

「楽器人の投稿がmusic UP'sに掲載されます」

全国約1,000カ所の音楽関連スポットで、毎月20日に配布中されるフリーマガジン「music UP's」にて、楽器人の特集を掲載、【俺の楽器・私の愛機】で紹介された投稿の中からあなたの愛機をご紹介させていただきます。

※毎月の掲載数は2~4件ほどの予定です。選出はBARKS編集部で行ないます。
※掲載の選出対象は【俺の楽器・私の愛機】コーナーにて2022年5月30日以降に掲載された投稿が対象となります。

引き続き【俺の楽器・私の愛機】をお楽しみください。今後ともBARKS楽器人をよろしくお願いいたします。

◆【俺の楽器・私の愛機】まとめページ
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