【インタビュー】KIRITO、ソロ本格始動後初アルバムに意地と証明「これまでバンドに100%を注いできた人間が今、解き放たれた」

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KIRITOが11月9日、ソロ本格始動後初となるフルアルバム『NEOSPIRAL』をリリースした。2022年1⽉、代々⽊第⼆体育館2dayをもって活動を無期限休⽌したAngeloだが、その3日後にはKIRITO名義によるソロ本格始動を宣言。以降、アコースティックライブ開催、3曲連続配信リリース、バンドスタイルでの全国ツアー実施など、立ち止まることなく進めてきた歩みは、疾風怒濤の勢い。キリト名義のソロという下地があったとは言えど、PIERROTやAngeloから一貫してきたストーリーを間髪入れずにKIRITO名義で昇華させたという意味では、脈々と流れ続ける血の濃さと新たな局面が『NEOSPIRAL』に封じ込められて実に鮮明な仕上がりだ。

◆KIRITO 画像 / 動画

歌詞の物語全体に張り巡らされた伏線とその回収の妙技はKIRITOならではのもの。収録された12曲すべての言葉は深く、思想にまで展開したメッセージが鋭い。一方で、注目すべきはそのサウンドにもある。ソロ本格始動第一弾アルバムながら、『NEOSPIRAL』が響かせたのは、一朝一夕に成し得るはずのない高度で圧倒的なバンドサウンドだった。ソロ作品ながら歴戦のバンドに勝るとも劣らないスキルと熱量の高いバンド感は、ある意味問題作と言っていい。

転がり続ける石に苔が生えることはない。未来を創造し続けてきたKIRITOの最新作にして最高傑作が『NEOSPIRAL』だ。BARKSでは、1月の代々⽊第⼆体育館2dayを振り返り、KIRITOソロのスタンス、キリトソロとの違い、KIRITOがバンドサウンドである理由、そしてアルバム『CIRCLE』の全容と収録各曲に込められた思いについて訊いたロングインタビューをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■僕にとってのPIERROTでありAngeloが
■今のKIRITOと考えてもらえればいい

──Angeloのアルバム『CIRCLE』リリース時(2021年11月)以来のBARKSインタビューとなるので、これまでの流れも振り返りつつお話を訊ければと思います。まず、2022年1月に国立代々木競技場第二体育館で開催されたAngeloの無期限活動休止前の最後のライヴは、今どう映りますか?

KIRITO:あの2日間でしっかりと集大成を見せられたし、自分自身、Angeloというバンドを最後までやりきったと言えるような完成度の高いライヴだったと思います。

──節目の公演ではあっても内容に関しては、初期からのヒストリーを総括するようなセットリストではなかったですよね。そこはKIRITOさんの中で意識した部分ですか。

KIRITO:それはまさにAngeloというバンドを表していて。常に最新が最高の形であるっていう僕の考え方をバンドとしても最後まで貫いたんですよね。過去のものではなくて、一番新しい状態のものが一番いいものだっていうポリシーですね。

──セットリストを決める際に、たとえば、久しく演奏していなかった初期の曲を組み込もうということは考えませんでした?

KIRITO:ああ……そういう考えは僕の中にはないですからね。まあ、やっぱりバンドが止まるので、それまですごくいろいろな感情があったけど、代々木の2日間をきちんとやれたことで、そういった想いが浄化されたというか。自分としてもやりきったと思えたので、ライヴが終わった時にはもう感謝の気持ちしかなかったですね。だから、すごく清々しかったですよ。


▲『NEOSPIRAL』初回生産限定盤

──そしてその直後から、ソロアーティスト“KIRITO”としての活動がスタートしました。Angeloから地続きで切れ目なく活動が継続している印象でしたが、その辺りは意識していた部分ですか?

KIRITO:そうですね。Angeloがバンドの意志として一度終わらざるをえないという結論を出してから、ラストの代々木まで1年ぐらい時間があったので。それまでに、そこから先のストーリーを自分の中で考えていたんです。作品の世界観的には地続きのストーリーでもあるし、僕の活動としても、Angeloを経て、今度はKIRITOでという実際の流れをどうするか考えたり。……そこで、全部をつなげて、止まらずに続けていこうという想いがありましたね。

──では、PIERROTからキリト名義のソロやAngeloへ変化した時とは違って、自分の中にある様々なものを整えた上でのリスタートだったということになりますか?

KIRITO:いや、準備期間の有り無しは、自分にとってはあまり関係なくて。まあ、時間はあったほうがいいに決まってるんだけど、それが突発的なものであったとしても、止まらずに続けるってことはやってきたんですよ。何だったらさらに遡って、僕がPIERROTのギターからボーカルに転向する時もそうでしたよね。

──ああ、なるほど。

KIRITO:PIERROTはまだ、インディーズで無名の時だったけど、それでも当時いたファンにとっては大きな変化だったはずで。ボーカルへの転向を決める以前からすでにスケジュールが組まれていたライヴは、1本もキャンセルしなかったし。そう決めた次のライヴからもう僕はボーカルとしてステージに立ってPIERROTを続けていたので。だから僕は、この大きな流れの中で、止めたことがないんですよね。自分のパートが変わろうと、バンドが変わろうと、バンドからソロになろうと、形態は関係なく僕自身の流れは止まらないってことをずっと貫いている。ギタリストがボーカリストに転向するなんてことになれば、普通はバンドが止まったりするんだろうけど、僕の場合、止めないで続けるということに関しては、たぶん異常に力が出るんでしょうね。

──止めてしまってはいけない局面であればあるほど、自然とそういう力が働くんですかね。

KIRITO:そう。やっぱりそういう時に考えるのは、僕らの活動や作品を楽しみにしてる人たちのことですよね。そこで何かしら発表する時には、当然多少なりとも悲しませることになってしまうわけなんだけど、だったら形を変えようと何をしようと、せめて止まらずにいることぐらいが、その時にできることというかね。こっち側で何か内情がいろいろあったにせよ、聞かされるほうは突然じゃないですか。そもそも決していい話ではないから。だから、その代わりと言っては何だけど、形は変えつつも常に止まらずに、何かしらの行き場所を作るから、という考えで生きてきたんですよね。

──今回、バンドがない状態でソロを始めるというところでは、Angeloからの正統な流れを受け継ぐソロという感覚ですか?

KIRITO:もう完全にAngeloから続いてますね。KIRITOが世界を作って、パフォーマンスで発表していくという形態で言うと、第3形態というか最終形態みたいな感覚なんですよ。遡ればそれ以前のバンドというのは、Angeloが第2形態であり、PIERROTが第1形態であり。なので、僕にとっては当然その全てが地続きだし、よりクオリティをアップさせて臨んでますよ。


▲『NEOSPIRAL』通常盤

──となると、これまでのキリト名義のソロで活動していたタイミングでの想いとは異なりますよね。

KIRITO:全然違います。やっぱり僕はバンドで始まって、バンドで世に出てきた人間なんですね。たぶん、僕ほどバンド全体の音やバンドそのもののプロデュースにとことんこだわってきたボーカルはいない。そう思うぐらい、バンドのことを一番に考えて、100%自分自身をバンドに投入してきた人間だから、それが他のバンドとの差別化を生む要因のひとつだったと思うんです。そういう人間が、今バンドがない状態で“KIRITO”としてすべてをかける。すべてを注ぎ込んだらどういうことになるのか。今回のソロは、その証明になると思うんですよ。以前のソロは、並行してバンドがあった上でのソロだった。なので、少し悪い言い方をすると、バンドに100%を注ぎ込んだ上で、それと並行したソロで自分は何をやるべきだろうか?って考えていたところが多少なりともあったわけで。

──今は、Angeloとソロとで境界線を作る必要はないということですね。

KIRITO:そうなんです。それどころか、僕にとってのPIERROTでありAngeloだったものが、今の“KIRITO”なんだっていう風に考えてもらえればいいと思う。

──これまでバンドにこだわってきた人が、今ここで自身の名前を前面に出したソロを始動する。それは様々な経験を経たからこそ、心境の変化含めてたどり着いたところでしょうか。

KIRITO:そうですね……最初から自分が“何が何でもこうしたい”って望んだ形ではないんだけど、やっぱりいろんな意味でそこに行かざるを得ないっていう。感覚として絶対的な必然を感じながら、今ここにいるんですよね。何かに突き動かされているというか、ちょっと運命的なものも感じつつ、今に至っている。自分の人生を振り返った時に、あっちこっちに行こうとしても、結局“そこ”に来るんだなって感じることが多くて。そういう超必然的な意味では、PIERROTでギターからボーカルになった時の感覚と少し似てるかな。そうすることが、結果一番いいんだろうなって。さっきも言ったけど、何か人生の大きな川の流れみたいなものに押し出されているような。

──その感覚を信じた、これまでの選択は間違ってなかったという自負もある?

KIRITO:たぶん、そういう時ほど間違ってないんですよ、僕は。もうちょっと軽い感じで、“こういうこともやってみたいな、やってみようかな”っていうレベルのことって、あまり上手くいかなかったりするんだけど。本当に上手くいく時って、自分の感覚だけじゃなく、何かいろんなものが絡み合って、必然的にそこに自分を追いやるというかね。

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