【俺の楽器・私の愛機】1089「Greco VB-200のプロトタイプが流出?」

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【Greco VB-200&VB-300】(埼玉県所沢市 加藤英一 63歳)


20歳ころまでバンド活動したあと全く楽器と縁のない生活でしたが、17年前に再び楽器に興味を持ち出し、近所のリサイクル屋で今回の2台のうちの1台を発見。もう1台はヤフオクで「見たことないPUが付いてる」と興味だけで落札したものでした。

バイオリンベースというとドイツ製が本家ですが、国産のグレコ製も実際に弾いてみると、本家とは低音部の太さが異なるものの侮れない音質を持っています。その感激から、仕事で知り合った人がフジゲン関係者だったのを思い出し、ドイツ製に負けないほど優れたベースを作った会社に伺って詳細を聞くことができました。またフジゲンを現在までに育て上げた横内祐一郎さんにもお会いし、車つながりで知り合いだった長男の横内照治さんと、このベースの誕生当時の思い出話を語ってもらえました。

最初は長野県大町市にある工場に連れて行ってもらって2台の生産時期を聞いてみると、1965年から電気部品の組み立てをしていた方の言う特徴から1台は1967年から1972年ころまで販売されたVB-300(プレートにシリアルが入る前の時代の製品)、見たことないPUが付いたのはVB-300と同時期に販売されていたVB-200だが「少し疑問に思うから、詳しいことは当時から塗装していた人に聞いたほうがいい」と言われた。



そして松本市の工場に行き、フジゲン創業直後からすべてのモデルの塗装を担当していた方に見てもらった。「昔を思い出して当時の構造図を書いてみたけど、このVB-200のボディ横部の構造は初めて見た。VB200も300も横のくびれた部分は別の木材を付けるから接合部を暗く塗るのに、これは一枚の板を曲げて作られてるから色が変わってない。しかも一番不思議に思うのがヘッドのロゴ位置が右端すぎる。こんなに偏ってたら不良品だから検品ではじいていたはず。

ただ思い出せるのは、1965年冬にドイツ製を分解して構造を徹底的に調べ、1966年のビートルズ来日後から試作開始、1967年に正式販売されたが、確か1~2本だけ1966年の見本市に出品するとかで急いで作ったことあった。その1~2本は翌日に展示するからと完成直後の夜に塗装したから、僕は帰宅後で見たことない。もしかしたらその試作品なのかもしれない」と言う。

試作品かどうかはどうでもいいことだが、横内祐一郎さんが「予想以上にバイオリンベースは売れて、会社として助かった。だから1970年代に視察でHofner社の人が来たけど、申し訳ない気持ちになったことを覚えてる」と話してくれたのは9年前のことだった。そうした逸話を聞いて、2台のボディにサインをしてもらったのは、決して手放さないということと、いつかこの2台はフジゲンにお返しするという意味を込めたかったからだ。

世界中でバイオリンベースの火をたやすことなく、多くのベーシストに愛された富士弦楽器製造(フジゲン)のVBシリーズ。1988年には、本物のドイツ製Hofner 500/1にグレコのヘッドマークを付けて日本で販売されるなど、単なる「コピーモデル」だけの存在ではなかったことは、忘れてはいけない。



   ◆   ◆   ◆

バイオリンベースへの深き知識と並々ならぬ愛情が垣間見れる投稿ですが、最後の一文にぶったまげた。「1988年には、本物のドイツ製Hofner 500/1にグレコのヘッドマークを付けて日本で販売」…こんな事実があったんですか?いやいやギターの歴史は掘り下げるととんでもない事実が飛び出てきそう。フジゲンもこんな慈愛にあふれるオーナーに支えられて、メーカー冥利につきるというものですね。(JMN統括編集長 烏丸)

★皆さんの楽器を紹介させてください

「俺の楽器・私の愛機」コーナーでは、皆さんご自慢の楽器を募集しています。BARKS楽器人編集部までガンガンお寄せください。編集部のコメントとともにご紹介させていただきますので、以下の要素をお待ちしております。

(1)投稿タイトル
 (例)必死にバイトしてやっと買った憧れのジャガー
 (例)絵を書いたら世界一かわいくなったカリンバ
(2)楽器名(ブランド・モデル名)
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(3)お名前 所在 年齢
 (例)練習嫌いさん 静岡県 21歳
 (例)山田太郎さん 北区赤羽市 X歳
(4)説明・自慢トーク
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※毎月の掲載数は2~4件ほどの予定です。選出はBARKS編集部で行ないます。
※掲載の選出対象は【俺の楽器・私の愛機】コーナーにて2022年5月30日以降に掲載された投稿が対象となります。

引き続き【俺の楽器・私の愛機】をお楽しみください。今後ともBARKS楽器人をよろしくお願いいたします。

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