【速レポ】<中津川ソーラー>DAY3、OKI DUB AINU BAND、轟音の渦が巻き起こす歓喜のサウンドスケープ
3日間にわたって開催された<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2022>も終わりが近づいてきた。RESPECT STAGEの大トリは佐藤タイジも出演を熱望してきたOKI DUB AINU BAND。ワールドワイドな活躍を見せるバンドが登場となった。
◆OKI DUB AINU BAND 画像
彼らはカラフト・アイヌの伝統楽器であるトンコリを現代に復活させたOKI(Tonkori, Vo)が率いるダブバンドであり、アイヌに歌い継がれるウポポ(歌)の伝承曲やリムセ(踊り)にレゲエやロックをかけ合わせ、ダブマスター内田直之(Mixing)が加わり、趣深いサウンドに進化。まさしくハイブリッドな音楽を展開している。この日はOKI、沼澤尚(Dr)、中條卓(B)、HAKASE-SUN(Key)、Rekpo(Vo, Dance, Tonkori)、Manaw(Tonkori, Vo)、内田直之という編成で出演となった。
入念なサウンドチェックの後、オーディエンスから大きな拍手を浴びて、まずは「Topattumi」。柔らかみのあるトンコリのアルペジオに耳をそばだてていると、そこにドラムとキーボードが重なり、ヘヴィなサウンドを響かせると、舞うようなアンサンブルに昇華。OKIのつぶやくような歌も言葉ひとつひとつが刻み込まれ、Rekpoもコーラスもいい。オープニングにふさわしい華やかさもあり、輝きがどんどん増していくのだ。
ビシビシとくる低音に軽やかなキーボードとトンコリが乗り、OKIの野太くしゃがれた歌声もグッときた「Suma Mukar」でさらに熱気が上昇。オーディエンスもそんな音世界を存分に浴びながら自由に踊っていく。すっかり太陽も落ちた時間だが、野外の開放感と非日常感が生まれる暗がりが合わさり、音に没頭するにはいいシチュエーションでもある。
そして、OKIとRekpoが奏でたアイヌの口琴であるムックリの音色を堪能した後、ゲストとしてタイジを呼び込んで「Kon Kon」へ。“ココンココンコンコココン”という複雑なリズムだけどキャッチーで耳に残るフレーズを全員で何度も口ずさむ。その楽しげな空気に誘われたのか、うじきつよしも姿を見せて一緒に連呼。いや、これは楽しい。OKIの人柄がそうさせるのか、おおらかなムードも広がり、みんなで一緒に遊ぶ感じがたまらないのだ。
また、「Ankisma Kaa Ka」の後に披露された、OKI、Rekpo、Manawの3人によるウコウク(輪唱)も他ではなかなか観れないであろう、貴重な場面。Rekpoが高音と低音を巧みに使い分けながら主線を、OKIがコーラス、Manawがリズム的な役割を果たし、客席からのクラップも鳴り止まない。
そこから代表曲「Sakhalin rock」へ続くのだから盛り上がりも最高潮へ。アップテンポながら、トンコリの音色がそう感じさせるのか、どこか安らぐようなニュアンスもあり、大人も子供も踊る、踊る。決まった流儀などない。音に導かれるよう、思うがままに踊るだけだ。客席にはComplianSの際にも登場した大型傀儡師集団GIANT STEPSによる大きなあやつり人形が姿を見せれば、ステージ上はカオティックだけど決して破綻しない強者たちによるアンサンブルが繰り広げられる。タイジも吸い込まれるように再び登場し、こんな空間がずっと続けばいいなと素直に思う時間となっていく。
RESPECT STAGEで最後に鳴らされる曲となったのは「East of Kunashiri」。ミニマムなフレーズがリピートされていき、リバーブがかかったり、ニュアンスが変化したりと、徐々に広がっていくサウンドスケープ。ラストにかけては轟音の渦が巻き起こり、オーディエンスの歓喜も止まらない。RESPECT STAGEを締めくくるにふさわしい大熱演となった。
取材・文◎ヤコウリュウジ
撮影◎俵 和彦
【RESPECT STAGE】セットリスト
2. Suma Mukar
3. Kon Kon
4. 'ANKISMA KAA KA
5. Sakhalin rock
6. East of Kunashiri
■<中津川THE SOLAR BUDOKAN 2022>
会場:岐阜県中津川公園内特設ステージ
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