【インタビュー Vol.2】ASH DA HERO、5人の音楽履歴書「誰一人欠けてもこのサウンドは成立しない」

■決して俺のワンマンバンドではない
■ステージで分からせる自信がある

──個人的には先日、アルバム『Genesis』の特典映像でインタビューをさせてもらいましたが、その撮影中、“バンドをやるつもりはもうなかったけど、それでもこの5人で再びやろうと思った”といったニュアンスの発言があったんですよ。

ASH：うん。僕に関しては、コロナ禍というのがデカかった。コロナ禍でエンターテインメントが停滞して、諦めざるを得ない選択肢、止めざるを得ない選択肢を選ぶしかないって方もたくさんいて。プレイヤーだけじゃなく、支えてくれるスタッフさんだったり、ライブハウスやイベンターさん、取材してくれる編集さんやライターさんだったりもそう。完全な氷河期を迎えてしまった。でも、誰もそれでいいと思ってないのに止まっている状況はおかしくないか？って。血が煮えるような思いがすごくあったんです。で、何かアクションを起こさなきゃいけないと思って、ソロ時代に毎月新曲をデジタルリリースしたり。

──ソロとしてそのまま活動する道もあったと思うんですよ。

ASH：でもこういう時代だからロックが、ロックバンドが必要だろうってね。僕がそう感じたんだから、世界のどこかに同じ思いを感じている人もいるだろうと。あの日を取り戻したいというよりは、この先に進みたいという気持ちが強くて、そのためには新しく始めるべきだし、ロックバンドが必要でしょって。



──バンドになると、精神面でも強くなれると？

ASH：もちろん。バンドって塊の現象というか。最初にリトル・リチャードの話をしましたけど、ロックをやるだけだったらリトル・リチャードで良かったわけじゃないですか。でも、やがてそこからソロだけじゃなく、ロックのヒストリーの中にロックバンドというものが誕生するんだけど、それを説明できる人って、たぶんいないですよね。時代のダイヤルと、導かれるままに起こってしまった化学反応やスパークだと思っているから。

──実際にASH DA HEROというバンドになって、バンドらしい化学反応としてどういったものがありました？

ASH：細かいところからたくさんありますよ。どこから説明しようか？ってぐらいたくさん。一年前に全員揃ったのは、早朝のファミレスだったんですよ。

──もちろんブロンコ・ビリー？

ASH：ファミレスだから、ブロンコ・ビリーじゃない（笑）。パッと集まった瞬間、何かが始まるなって感じがしたんですよ。いや、もう始まってた。すでにこの5人の今みたいな空気感ができていたから。楽曲を作っていく中で、やっぱりソロ時代とは違って、俺にはみんなのエッセンスやプレイってものがガンガン入ってくる。それに、いい意味で間を取ろうって人が誰もいないし。サッカーで例えると、ファイブTOPみたいな。守備が誰もいねえっていう（笑）。鋭利な五角形になっているというか、星型かもしれないね。5つの点を持って、その点が尖りまくっている星型。だから個人的にはソロからバンドになって、圧倒的に違う。

Narukaze：“これが化学反応だ”って感じる以前に、とにかく楽しくやっていますからね。

ASH：誰か一人欠けたら、このサウンドは絶対に成立しない。星型の五角形はすごく尖っていてカッコいいんだけど、同時にものすごく不確定で不安定な要素も多いんですよ。それが奇跡的なバランスで、ものすごい輝きを放って、ものすごく尖っているというのが、たぶんロックバンドの魅力だと思う。化学反応ってそれじゃないですかね。



──それがアルバム『Genesis』に充満しているという。

ASH：アルバムを聴いてもらえたら、その一端は確実に感じてもらえます。ツアーに来てくれたら絶対に体感できます。ASH DA HEROは、俺のワンマンバンドでは決してないから。これを読んでいて、誤解している方がいたら、もうチケットをあげるから観に来いよって。それぐらい激烈な変化があるし、この5人でドーンとステージやったら分からせる自信あるから。

──チケットはあげないにしても、今現在、アルバムのレコーディング作業など全て終わって、9月からの＜ASH DA HERO LIVE TOUR 2022“Gensis”＞に気持ちが向かっていると思います。アルバム発表後のツアーとなると、今までのツアー以上に気持ちが引き締まりますか？

Narukaze：そもそもこのバンドの初ツアーですからね。アルバム『Genesis』を発表して3日後がツアー初日。来てくれる方は、3日間でガッツリと聴いておいてくれないと。

ASH：起きたら『Genesis』、通勤や通学中も『Genesis』、なんなら仕事中や勉強中も『Genesis』。我々の処女航海なので、集まってくれるオーディエンスやファンと同じ船に乗って突き進む。そんなツアーになると思いますね。

取材・文◎長谷川幸信
撮影◎大橋祐希







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