【俺の楽器・私の愛機】935「完全に〝コレクターズ・アイテム〟です!」
【ヤマハSGV-700】(南関東 キー ないしょ)
1970年にヤマハ株式会社が台湾南部に位置する高雄市の輸出加工区に設立した現地法人で、2007年3月末に閉鎖(2008年に清算)した高雄山葉(カオシュン・ヤマハ)による、2000年製『ヤマハSGV-700』
高雄山葉閉鎖後、インドネシアに新たな現地法人・ヤマハ・ミュージック・マニュファクチュアリング・インドネシア(PT.Yamaha Music Manufacturing Indonesia)を設立、現在多くのギターやベースの廉価モデルを生産している。因みに、日本製によるハイエンドのギターやベースは、ピアノ製造も行う静岡県掛川市のヤマハ株式会社掛川工場(株式会社ヤマハミュージックマニュファクチュアリングが運営)でスポット生産されている。
《メーカー解説文》
【ゴールドパーツ&シャイニーカラーのゴージャスSGV】
ビンテージイエロー、ソニックブルー、シェルビーブルー、パールグリーン、レッドメタリックといった、レアかつ美しいボディーカラーを採用。シャイニーカラーのボディー&ヘッドにゴールドパーツが映えます。
■ボールベアリング&ローラーサドル採用の新開発トレモロユニットを装備。
■新開発シングルコイル・ピックアップをマウント。リアのダブルシングル・ピックアップは、2つのシングルコイル・ピックアップをパラレル配線したもの。バランサーツマミにより、2つのピックアップのミックス量を自由にコントロール可能。ピックアップセレクターSWとの組み合わせで、豊富なサウンドバリエーションが得られる。
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1965(昭和40)年12月19日公開の映画『エレキの若大将(東宝配給)』で、主役の若大将・田沼雄一役の加山雄三を始め、そば屋の隆役の寺内タケシ(R.I.P.)、のちに若大将と隆が参加するプロのバンドブルージーンズ(実在するバンドがそのまま出演)等が劇中に於いて、モスグリーン・カラーの『ブルージーンズ・カスタム』のプロトタイプを使用した事で注目を集め、翌1966年に通称〝ブルージーンズ・モデル〟と呼ばれた2機種・『SG-7』及び『SG-5』として市販化された。
『ブルージーンズ・カスタム』は、日本が製造したエレクトリック・ギターとしては、他社のコピーではない、オリジナル・デザイン及びスペックを持った最古のモデルと言われている(寺内の意見が反映されてか、各部仕様は「モズライト」の影響が顕著に伺える)。
また、1986年に復刻版『SG-7 20th Anniversary model』が限定生産され、更に1995年12月には、初めてオリジナル同様のモスグリーン・カラーを採用し、その他細部に渡り復刻度の極めて高い『SG-7AS True Replica』が500本限定生産されている(共に日本製)。
『ブルージーンズ・カスタム』や『SG-7』等について、もっと詳しい情報が知りたければ、1996年4月13日発行のリットーミュージック・ムック、『Guitar Graphic Vol.5(ギター・グラフィック第5号)』81頁「YAMAHA SG-7AS TRUE REPLICA HISTORY」を参照して頂きたい。
筆者は、数ある「若大将シリーズ」の中でも最高傑作と謳われる『エレキの若大将』を、自身のベスト映画の1本として挙げており、DVDも所有(Blu-ray化望む!)、有に100回以上は観ている。
筆者の生前に制作された古い映画だが、劇中には60年代当時に販売されていた数多くの「テスコ」の楽器や、加山本人の所有機であり、ザ・ベンチャーズとして二度目の来日公演の際に対談したノーキー・エドワーズ(R.I.P.)から譲り受けた白い『モズライトMARK-I THE VENTURES model』も観る事が出来、日本のエレクトリック・ギターの歴史に於ける貴重な映像記録なので、老若男女問わずエレクトリック・ギターを嗜む全ての人達に、是非とも鑑賞して頂きたい。
更に、劇中のエレキ・サウンド・パートの吹き替え演奏は、寺内とブルージーンズのメンバーが担当している点も着目ポイントであり(寺内がレコーディングに使用したギターは、フィエスタレッドの『フェンダー・ジャガー』と、元のカラーはサンバーストで、のちに黒い漆で上塗りし、幾度もの修繕を施し生涯に渡り愛用し続けた『モズライトMARK-I THE VENTURES model』)、それらの音源は、サントラ盤CD 『若大将シリーズ/京南大学編その2』として発売中である。
リイシューに伴い『SGV-700』は、現在の音楽シーンにもマッチする様、最小限のアップデートがなされており、セラミック・マグネットを採用したピックアップは高出力化、ネックは「ジャクソン」の特許技術として知られる「スカーフ・ジョイント」による補強が施され、ナット幅40㎜のナロー・ネックは、ややスリムで癖の無いグリップ感である。
既に生産完了しているが、現在も根強い人気があり、後進国産でありながら中古市場では当時の定価よりも高値で取引されている。
映画の影響もあり、オリジナル『ブルージーンズ・カスタム』のモスグリーンに近いパールグリーンの『SGV-700』は特に人気で、偶に中古が出ても、瞬く間に売れてしまう程だ。
多分に漏れず、筆者も以前から状態の良いパールグリーンの中古個体を探していた。
そんな折、まだ店頭販売及びデジマート等にUPされる前に、販売先である東京都立川市の楽器店の公式Twitterで販売予告されていたツイートをたまたま見て、直ぐさま連絡し即買いした。
この『SGV-700』の中古販売価格は税込み79,800円、当時のメーカー希望小売税込み価格68,250円を11,550円も上回る売価だが、状態の良さを考慮すれば、これでも現在の市場実勢価格としては安値な方である。
【SPECIFICATION】
◆YEAR OF MANUFACTURE:2000(Made in Taiwan)
◆BODY:Alder
◆NECK:Maple(Bolt on)
◆FINGERBOARD:Rosewood 22F(250R)
◆BRIDGE:Original SGV Type
◆PICKUPS:Original Single Coil(Ceramic)×3
◆CONTROLS:Master Volume, Master Tone, Balancer, 3P-Selector SW
◆SCALE:628.6㎜
◆HARDWARE:Gold
◆FINISH:Pearl Green(PG)
◆PRICE:65,000(No Tax)
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愛が深い。溺れそうになった。それにしてもブルージーンズ・カスタムのこの意匠、今もなお挑発的で何にも似ていない個性の塊ですよね。技術もさることながらセンスも飛び抜けていたヤマハの実力が伺い知れます。SGV-700が発売された時、懐かしさとともにビザールな匂いを感じたものですが、前知識も先入観も持たずにこのギターと出会っていたら、ただただアグレッシブでカッコいいと一目惚れしてしまったかも。私はこのボディでSSH&フロイドローズ、指板はスキャロップで攻めたい。メチャかっこいいやん。(JMN統括編集長 烏丸)
★皆さんの楽器を紹介させてください
(1)投稿タイトル
(例)必死にバイトしてやっと買った憧れのジャガー
(例)絵を書いたら世界一かわいくなったカリンバ
(2)楽器名(ブランド・モデル名)
(例)トラヴィス・ビーン TB-1000
(例)自作タンバリン 手作り3号
(3)お名前 所在 年齢
(例)練習嫌いさん 静岡県 21歳
(例)山田太郎さん 北区赤羽市 X歳
(4)説明・自慢トーク
※文章量問いません。エピソード/こだわり/自慢ポイントなど、何でも構いません。パッションあふれる投稿をお待ちしております。
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※掲載の選出対象は【俺の楽器・私の愛機】コーナーにて2022年5月30日以降に掲載された投稿が対象となります。
引き続き【俺の楽器・私の愛機】をお楽しみください。今後ともBARKS楽器人をよろしくお願いいたします。
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